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流行は貴族から

メスドラーマ国の首都を目指して進む花春達。

そんな中でも西側諸国の流行なども目に入ってくる。

流行は首都から生まれるというのが西側諸国共通の認識らしい。

そして流行は貴族から生まれるのだと。


「この街は首都に比較的近いからなのか、いろいろ華やかだね」


「流行は首都から生まれるというのが西側諸国共通の認識ですもの」


「そして流行は貴族から生まれるというのもまたありますからね」


そんな貴族達とは別に平民向けの市場なんかもまた存在する。


貴族と平民はきちんと棲み分けはされているようではある。


「平民向けの市場なンかも見てて楽しいね」


「こういう安い串焼きなんかが美味しいものですわよね」


「フリージアさん、貴族なのに結構庶民的なものも好きですよね」


フリージアは冒険者としての経歴もそれなりに長い。

なので貴族でありながら味覚は平民に寄ってきているのか。


とはいえその辺の目利きは出来るようではあるが。


「でも料理って結局はいいものを使えば美味しくなるのは当然なンだよね」


「そうですね、でも平民向けの料理の方が美味しいと感じるのは味付けとかなのか」


「大衆向けの料理って安価な食材をどれだけ美味しく出来るかだよ、料理人としてもね」


「あら、言いますわね、ですが平民向けの料理はそれこそ食材の活用次第ですわよね」


花春曰く大衆向けの料理は安価な食材をどれだけ美味しく出来るかだという。

特に中華料理なんかは安価で大量に作れる大衆料理の筆頭だ。


高級な食材を使えば美味しくなるのは当然である。

真のプロというのは安価な食材をどれだけ美味しく調理出来るか、それが腕なのだと。


「果物なンかも美味しいなぁ、農園とかがあるのかな」


「西側諸国は葡萄酒が名産の国も多いですものね」


「なるほど、でもワイン以外にも果物は使うよね?」


「葡萄酒は基本的に貴族向けのお酒ですね、平民は果実酒を主に飲んでますよ」


「なるほど、平民向けのお酒はリキュールか」


ペリス曰くワインは主に貴族が飲むお酒なのだという。

平民が飲むお酒といえば基本的には果実酒、つまりリキュールであると。


他にはジンなんかも平民向けのお酒らしい。

なので果物はそうした理由からも豊富にあるのだとか。


「高級店なンかを見ると華やかさは感じるなぁ」


「貴族は流行の発信者ですもの、まあ平民にはそこまで縁はないでしょうけど」


「持ってるお金の桁がまず違うもンね」


「お金の事もそうですけど、平民に貴族の使ってるものを買える余裕はまずないですしね」


「とはいえ貴族は平民にとっての見本にならないといけないンだよね」


貴族とは民を守り暮らせるようにしていかねばならない。

西側諸国の貴族もその辺は理解しているのか、分かりやすい腐敗貴族は珍しいようだ。


とはいえそれは過去の歴史から来るものであるのもまた事実。

西側諸国の価値観などは血の海に築かれた屍の山の上にあるものなのだ。


「でも分かりやすい腐敗貴族がいないっていうのは凄いのかもね」


「昔はそれこそ腐りきっていたと聞きますものね、西側諸国は」


「それが変わる大きな事件とかがあったって事か」


「実際過去に大規模な一揆やクーデターが起きてますからね、西側諸国は」


そんな大規模な一揆やクーデターが起きてからは貴族達も考え方を改めたのか。

実際それにより平民も貴族も人口の二割が死傷したと言われている。


もちろん貴族側にも被害は多数出たという事らしく、無敵の人を生まない政治を始めたとか。

無敵の人はどんな政治をしても一定数生まれるもの。


そんな無敵の人が生まれる数を極力減らす政治をしているのが西側諸国なのだと。

だからこそお金が極力途切れないようにするという事を大切にしているとか。


「とはいえ分かりやすい腐敗貴族がいなくなったのは過去の一揆やクーデターのせいか」


「ええ、なので貴族や王族が一番恐れているのは農民や軍部の怒りを買う事ですのよ」


「それで分かりやすい腐敗貴族はいなくなったンだね」


「ええ、なので貴族や王族は過去を恐れているという事でもあるんですよね」


西側諸国の貴族達はとにかく他人の怒りを買う事を恐れるのをその血に刻まれているのだろう。

農民や軍部の怒りを買った事で大規模な反乱を起こされた過去。


東の国の人や亜人への差別感情が昔より薄くなっているのも、長い月日の影響か。

西側諸国の貴族や王族は目下の人間の怒りを買うとどうなるか知っているのだ。


「でもそれだけ貴族や王族を震え上がらせたっていうのは凄い話かもね」


「数の暴力で貴族や国の兵隊達にも多数の被害が出ましたものね」


「貴族達はとにかく貧しい人を一人でも減らそうっていう事らしいですからね」


「貴族と平民は棲み分けがされてて、貴族の流行に平民が乗るのは難しいのは事実か」


「まあそれでも平民が貴族の流行になるものを生産していたりしますが」


貴族の流行になる装飾品や食べ物は平民が作っている。

それもまた嘘ではないという事らしい。


要するに流行は見つけてくるものという感じらしい。

貴族の家の御用商人が勧めてきたものがそのまま流行りになる事も珍しくないという。


そんな事情もあり、生産者は実は平民であるという事は珍しくないという。


それを見ているのは別行動をしている花山達だったりする。


「生産者なんかは平民が多いんですね」


「そうだな、貴族の流行は実は平民が作っている、それが現実なのだろう」


「まあ貴族が絶賛してる葡萄酒なんかも作ってるのは農民が経営する酒蔵だったりしますし」


「そういう意味では貴族の流行は平民や農民が作り、貴族が広めるのだろうな」


貴族は流行の発信者であり、それが意味する事はなんなのか。

それはつまり流行が生まれると生産者にはそれだけの仕事が生まれる。


そして多くのお金もまた入ってくる。

普通に働いているとまとまったお金は手に入れにくい仕組みの西側諸国。


しかし貴族がそれを広めるとそれだけの稼ぎになる。


流行が生まれると大金が入るが、廃れればまた前の暮らしに戻る。


西側諸国の平民や農民は金を使い切らない事を大切にしているという。


「貴族が流行の発信者、その辺は貴族は本当にいいものを見る目があるって事ですか」


「生産者が平民や農民というのは普通にある話ですからね」


「そもそも貴族がよく飲んでいる葡萄酒は農村で作られている事がほとんどだからな」


貴族がよく飲んでいる葡萄酒のほとんどは農村で作られている。

なので貴族は農村を疎かにする事は出来ないというのも分かっている。


また貴族がよく食べている高級な食材もほとんどは農村から運ばれてくる。

そして装飾品なんかは平民が運営する工房で作られていたりする。


それを貴族の商人が運営する商会を通して流通する仕組みなのだ。


そんな西側諸国の仕組みは平民や農民や軍人の仕事を大切にする今の政治にある。


西側諸国の野盗が生まれる理由はそんなお金を散在する人達がなるのかもしれない。


「さて、明日は首都に着けるかな」


「そうですわね、もう首都のラアンベリは目の前ですわよ」


「ならば明日には首都に着けそうだな」


「では明日は首都に入る事を目指しますか」


「はい、首都に入ったらその先も決めないとですね」


そうして明日には首都に入れる事は確実となった。

西側諸国の貴族や王族は目下の人間の怒りを買う事を何よりも恐れている。


平民も農民も軍部もとにかく無敵の人にさせない事が第一の政治だ。


その一方で街の路地裏などには厳しい現実もまた散見されるのだが。

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