灼熱の砂漠を進め
サバンナを出発し砂漠の国を目指す一行。
国境を越え砂漠の入口にある村で砂漠に入る準備を整える。
水や暑さを凌ぐフードなどを購入して砂漠へと足を踏み入れる。
砂漠は過酷な土地、首都までそれなりに距離もあるためまず道中のオアシスに向かう事に。
「砂漠はやっぱりあっついねぇ」
「ええ、流石にこの暑さはきついというか」
「まずは首都への道中にあるオアシスに向かうとしますわよ」
まず向かうのはオアシスに決まる。
オアシスは砂漠を渡る人達が野宿をするためにテントなどを張っているという。
「それにしてもこの暑さは流石にしンどい、でも湿度がないだけマシなのかな」
「乾いた風が吹いてるのは砂漠特有の気候ですよね」
砂漠は確かにとても暑い。
だが湿度がないので、想像しているよりは暑く感じない。
気温こそとても高いが、湿度がないだけ花春には全然快適に感じるようだ。
転生者で日本育ちの花春には湿度がないというだけで快適さが全然違うらしい。
「それにしても暑いには暑いけど、乾いてるだけ快適ではあるね」
「砂漠の暑さはあくまでも熱がメインですもの」
「湿度がないだけで暑さの感じ方がこうも違うのかぁ」
「確かにこの暑さの感じ方だと密林の国の方が暑く感じますね」
イーリアも密林の国の方が暑かったと感じているらしい。
それは密林の国は湿度が高い土地だったのも影響しているのだろう。
花春が感じ慣れている暑さは砂漠ではなく密林の暑さなのだ。
なので砂漠の暑さは思っているより暑く感じていないようだ。
「それにしても砂漠は足を取られやすいなぁ」
「落ちたら引っ張り上げてあげますから」
「イーリアって人一人ぐらいなら持ち上げられるのか」
「意外と力がありますわよね、イーリアさん」
「それにしてもこの暑さだと内部の熱が大変な事になってきますね」
サミヨはアンドロイドという事もあり、砂漠の暑さは内側に熱がこもるらしい。
定期的に排熱はしているようだが、それでも砂漠はきついとか。
花山も義肢が熱を帯びて動きにくそうにしている。
「砂漠のモンスターって蛇とか骸骨のモンスターが多いのか」
「砂漠を渡る際に死んだ生き物が魔物化したりもしているようですわね」
「生き物が魔物化したりするのか、それは知らなかった」
「砂漠に出現する骸骨のモンスターは、砂漠を飛んでる鳥とかが魔物化したんですね」
そんな砂漠を進んでいくとオアシスが見えてくる。
日も傾き始めてきたため、オアシスで野営を張る事にした。
「砂漠にもオアシスがあるンだね」
「オアシスは何ヶ所かありますわ、砂漠を渡る人達の野営地にもなりますの」
「野営地、確かにここなら人も多いしね」
「ではまず設営だな、そのあとはオアシスにいる者達に話を聞くのもよかろう」
そんなわけでキャンプの設営に入る。
錬金術士からもらったテントにキッチンやベッドなどがあるので休むのには困らない。
それから少しして日が落ちてきたため、オアシスで各自自由にする事に。
「行商人なンかも多いンだね」
「そうですわね、砂漠の国から物を運んだりする人達もたくさん通りますもの」
「いろいろ扱ってる人が多いな、見てて楽しいや」
「おや、お嬢さん、何かご用ですか」
花春が目を留めたのはどうやら宝石商の様子。
商人の人もそれに気づいたのか、話をする事に。
「おじさンは商人の人だよね?」
「ええ、宝石商をやっております」
「宝石商、私の家も宝石商から買い付けていたりしていましたわね」
「見てみますか?見るだけならタダでいいですよ」
そういう事ならという事で商品を見せてもらう事になった。
その売り物は輝く宝石の数々。
話では砂漠の国は宝石の一大産地らしい。
特にダイヤモンドがたくさん採れるという事のようだ。
「いろンな宝石を扱ってるンだね」
「ええ、特に砂漠の国はダイヤモンドがたくさん採れるんですよ」
「ダイヤモンドですか、高価な宝石の代名詞ですわね」
「砂漠の国で採れるダイヤモンドは大粒のものも多く、貴族などに人気でしてね」
「なるほど、ダイヤモンドはやっぱり人気なンだなぁ」
宝石商曰くダイヤモンドは装飾品以外にも使われる事が多いという。
ダイヤモンドの針は細工職人には人気の道具なのだとか。
なおダイヤモンドはそのままなら硬い宝石だが衝撃に弱く、ハンマーで叩けば砕ける。
流石に売り物を壊すような事はしないが。
「ちなみにダイヤモンドって大きさで値段も変わるよね?」
「もちろんです、大粒のものだと10万カルドぐらいですね」
「それでも10万なんですの?」
「10万カルドといえばBランク冒険者の稼ぎの半年分ぐらいですね」
「だとしたら思ってる以上に高いのか」
10万カルドはBランク冒険者の稼ぎの半年分ぐらい。
だとしたら思ってるよりは高いという事になる。
ちなみに宝石は属性の加護を得られたりもする。
トパーズなら天の加護、アメジストなら冥の加護といったような感じだ。
「気に入ったのなら各国の首都にある支店を訪ねてみていただければ」
「支店なんてあるンだ、実はかなりの大規模商会だったりする?」
「はい、お客になるかは分からないですが、私はこういう者です」
「オスマイル宝石商会長、会長でしたのね」
「はい、もし宝石が欲しい時はお安くしますよ」
その商人は大規模な商会の元締らしい。
つまり商会を束ねるドンという事になる。
それが直接買い付けに行く辺り、自分の足で行く事の大切さを知っているのか。
とりあえず名刺だけ受け取り、他の商人も見て回る事に。
「おや、何かご興味でも?」
「あなたも行商人ですわよね?」
「はい、主に砂漠の国で作られる布の取引をしていますね」
「布、シルクとかそういうのかな?」
「おや、ご存知なのですね」
こっちの商人は布を扱っているという。
砂漠の国で作られるシルクは高級品で、貴族御用達の品でもあるとか。
またフェルト生地やヘンプ生地なんかも扱っているという。
平民向けの安価な布も扱っている辺り、明確に客層を分けて商売しているのか。
「これはなンの布なのかな」
「これはヘンプですね、大麻の生地ですよ」
「大麻ですか、麻布は耐久性に優れ、季節関係なく重宝する、でしたわよね?」
「ええ、夏は涼しく冬は暖かく、平民の方はヘンプで作った服が安価で人気なんです」
「大麻の布、ヘンプって万能な布なンだね」
ヘンプは夏は涼しくなり、冬は暖かくなる優秀な布だ。
また高機能性でもあり、サステナブルな布でもある。
それでありながら比較的安価なのは平民にはありがたい限りである。
砂漠を越えるのに着用する熱を防ぐフードなんかもヘンプで作られているそうな。
なお日本語にすると大麻であり大麻ではない。
日本だと違法薬物としてのイメージが強いのはある。
なお麻の生地自体は割とポピュラーではある。
ヘンプは馴染みはそこまでないかもしれないが。
「もし必要なら首都にある布屋に行ってみてくださいね」
「支店でもありますの?」
「需要の大きいものを扱う行商人は基本的に大きな商会の所属が多いですからね」
「なら首都に着いたら見てみようかな」
「はい、あとせっかくなので名刺を渡しておきますね」
その名刺を受け取りテントに戻る。
そのまま食事を済ませ、明日は砂漠の国の首都を目指す事に。
夜の砂漠は冷える事に加えアンデッドが多く出る危険地帯である。
「明日は砂漠の国の首都を目指さないとね」
「明日ならここから歩いて辿り着けそうですわね」
「熱さもこのフードを被っていれば凌げますしね」
「大麻のフード優秀だなぁ」
「では明日の早朝に出発しますか」
そうして朝になり次第砂漠の国の首都を目指す。
ヘンプフードは熱をカットしてくれる優秀なもの。
砂漠を渡るには最適なものである。
ヘンプは暑さにも寒さにも強い優れた布なのだ。




