小さな島に行く
島国の冒険も一週間近くが経過した。
そんな花春達は小さな島にやってきていた。
様々な果物を育てている農家がいるので、小さな島にも農園がある。
冒険者クランの支部もあるが、小さな島なので最低限の機能しかないようだ。
「ここは本当にそこまで大きくない島なンだね」
「ああ、本島に帰る船に間に合うように見て回るぞ」
「はい、では行きますか、ここにはどんな果物があるのか」
島の散策を始める花春達。
本島に渡る船の出発まで5時間ぐらいだとのこと。
「風が気持ちいいね、ただこの規模だと塩害とか凄そうだな」
「実際風で岩肌が削れて落石とかが結構起きるらしいですね」
「風で岩肌が削れるって、風と塩害とで金属とか結構ボロボロになりそうだ」
「農園は島の西側みたいだな、この距離なら帰りの船には間に合うだろう」
そのまま島の西側にある農園に到着する。
そこでは日本で言うマンゴーのような果物が栽培されていた。
「これマンゴーかな、美味しそう」
「市場に出荷するものはすでに出荷済みだが、まだずいぶん残っているな」
「食べられたりしないかな、味が気になる」
市場で買うのもいいがもぎたてを食べたくなるのがこういう場所だ。
農園の主に話を聞いたところ、金さえ払えば好きに採っていいという。
なのでお金を払い、もぎたてをいただく事に。
美味しい食べ方も教えてもらい、早速いただく事にした。
「ン、これめっちゃ美味しい、甘いしみずみずしいし、流石の美味しさだ」
「確かに美味しいな、やはり果物を育てるのが本業なだけある」
「はい、凄く美味しいですね、この味は真似しようとして出来るものではないです」
「しかし都会で食べる果物と比べて味が違いすぎますわ、もぎたてがこんなに美味しいとは」
果物を堪能した花春達。
ついでに島の食品店などにも行ってみる。
加工済みの食品なんかも売っているという。
「知らない食べ物がたくさン売ってるね」
「島国のさらに孤島だからな、独自の料理などもあるのだろう」
「都会では見られない食べ物ばかりです、こういうのは勉強になりますね」
「帰りの船の時間に間に合うようにしつつ次を見に行きますか」
そのまま島の散策を終えて帰りの船にも間に合った。
本島に戻り、また本島の散策に戻る。
そしてそのまま近くの街の冒険者クランに向かう。
「クエスト…あれ?国策クエストが来てる」
「えっと、巨大な鳥の確認という依頼みたいですわね」
「巨大な鳥とはなんですかね、魔物とかでしょうか」
「そういえば噂には聞くな、この国の山には巨大な鳥がいると」
「確認という事は、生存の確認とかでいいんでしょうか」
「とりあえずこれを受けようか、確認だけならそンな苦労はしないだろうし」
その依頼を受け巨大な鳥の確認に向かう。
その鳥がいると言われるのは、島の中央にある山らしい。
なのでそこに向かう事にした。
「この島の中央に大きい山があると思ってたけど、そういう事だったンだね」
「そうですわね、しかしあの山の頂上に見えたのは鳥の巣だったとは」
「あの鳥の巣にその鳥がいるみたいですね」
そのまま山へ向かい山の上を目指す。
そんなに標高は高くないので、すぐに頂上に到着する。
そこには確かに巨大な鳥の巣があり、そこに巨大な鳥がいた。
「大きい鳥だなぁ、なンなンだろうこの鳥」
「この国のシンボル的な存在なのでしょうか」
「私でも知らない話は多いというのを実感させられますね」
そのまま確認を終えたので冒険者クランに戻り報告を済ませる。
報酬を受け取り、次はどうするかの計画を立てる事に。
「このあとどうする?本土に戻る?」
「私は決まった事に従うが、そうだな、なら本土に戻ったらまた別の国に行くか」
「海沿いの国から行ける国だと、一番近いのは密林の国でしょうか」
「密林の国ですか?どんな国なんでしょうか」
密林の国、木々が生い茂る熱帯の国らしい。
この世界は国境を超えると突然別世界になる事は珍しくない。
そういえば以前北に向かおうとして国境が封鎖されていた事を思い出す。
あの先へは今は行けるのだろうか。
「そういえば以前通れなかった北への国境って今は通れるのかな」
「そういえばそんな事もありましたね、政治的混乱で国境が封鎖されてたっていう」
「そっちに関しても情報を集めてみるか?」
「そうですね、今後行くかもしれませんし情報は欲しいですね」
「なら冒険者クランに行けば情報ぐらいは入っているかもしれませんね」
とりあえず北の国境についての情報を集める事にした。
今は政治的混乱も落ち着いているのか、それともさらに酷くなったのか。
花春が転生前に希望した世界の条件とは少し違うように感じているが。
「ふむ、北の国境、封鎖はまだしばらく続きそう…って書いてあるね」
「まだしばらく北へは行けそうにないのか」
「命の保証はしない山越えルートはあるって国境の兵士の人は言っていましたね」
「流石にそこまでリスクを背負っていく気はないかな」
「なら目的地は密林の国でいいですか?」
北へはまだしばらく行けそうにないので、密林の国に向かう事で決まる。
そのためには本土に戻らないといけないので、まずは首都へと戻る事に。
時間はあるので、今日中には本土に戻れそうだ。
そのまま首都まで戻り船にも間に合ったようだ。
「船に乗るってなると気が滅入るなぁ」
「マスターは船酔いが酷いですからね、三半規管がボロボロに弱いんでしょうか」
「花春さんは頭はいいと感じますし、技術的にも優れていますのにね」
「気分が悪くなるのは確定として船に乗るか」
「こればかりはどうにかしないとならんな」
そのまま船に乗り本土の海沿いの国へと戻る。
その時点で日が落ち始めてきたので、今日はここで休む事にした。
「さて、魚を買ってきたし、早速捌くとしますか」
「船酔いが酷いが、立ち直るのも早いですわね」
「回復は早いみたいですしね、花春さん」
「とりあえず我々は先に晩酌を始めてしまうか」
「花山さんとフリージアさんはお酒が飲めるんでしたね」
花山とフリージアは酒も飲める年齢だ。
とはいえ酒の好みもまた違う様子。
花山は和酒を好み、フリージアは洋酒を好む様子。
なお交換して飲む程度にはお互いの好みにも理解はある様子。
「ふぅ、やはり酒はいいな、体が落ち着くものだ」
「お酒って美味しいんですか?」
「ペリスさんはお酒が気になりますの?」
「はい、家にいた時は来賓との席でお父様が酒を飲み交わしていましたし」
「まあ酒の味というのはイメージと違うからな、最初は美味しく感じないものだ」
花山もフリージアもはじめて飲んだ酒は美味しくなかったと言っている。
それが今ではすっかり美味しく飲めるようになったと。
ペリスも貴族である以上、お酒を飲めるようにならねばならないわけだが。
「はい、マグロステーキ、ソースはジンジャーソースね」
「美味しそうですわね、花春さん魚も捌ける辺り料理の腕前の高さを感じますわ」
「お酒にも合うと思うよ、飲まない人にはジュースね」
「ではいただきますか、いただきます」
そのまま食事をしつつ密林の国について話す。
密林の国は木々が生い茂り、蒸し暑い熱帯の国だ。
なおその生い茂るジャングルにより陽の光はあまり差し込まないという。
なので結構暗い感じの国でもあるらしい。
「密林の国って熱帯なンだね、蒸し暑さって不快感が凄いからなぁ」
「熱帯の国は湿度が極めて高い上に、突然スコールが降ってきたりするからな」
「気候も変わりやすいって事ですから、レインコートは持っておいた方がいいですね」
「蒸し暑くて突然のスコール、でも密林で陽の光はあまり届かないか」
「密林の国は気候が突然変わるというのは聞きますもの」
「それへの対策も必要ですね、とりあえずレインコートは必須ですか」
「まずは明日国境に向かうとしますか」
そんなわけで次の目的地は密林の国に決まる。
北への国境はまだしばらく通れそうにない。
しばらくは南や東西の冒険が続きそうだ。
北に行けるのはいつになるのやら。




