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明日はどっち⁉

あみだで決めたという事は3人だけの秘密にすることにして、まずは侯爵様に結果の報告をする。

「それではジョセフィーヌ嬢はテウ君を選んだという事だね」

私たち3人の顔を見回しながら侯爵様が確認するのに、挙動不審になりそうになる私の手を横からテウが握ってくれる。返事の方はセイが代わりに答えてくれた。

「はい。残念ながらフィーネは僕の妹になる事になりました」

「それではウェルドリッジ伯爵に使いを出して話し合いの場を設けねばならんな」

「いえ、私の方で父には本日話を致します」

普段は『俺』って言ってるテウが『私』と言うのにちょっと驚いて見上げると少し照れくさそうにちらっと見返してくれる。

「先ほど3人で話したのですが、婚約についてはあくまで候補という事で学園であまり目立ちすぎないようにしてあげたいと思っているのですがどうでしょう?」

「フィーは、ああもう我が家の養子になるという事で、これからはそう呼んでもいいかな?」

「はいもちろんです、侯爵様」

「私の事もそんな他人行儀ではなく父と呼んでくれたら嬉しいんだがな。妻ももちろん母と呼んで欲しいと言うだろう」

「ええと、善処します」

私の答えに侯爵様は優しい笑顔を見せてくれたが、それは実の両親や家族との別離を意味する事でもある。

「そんな顔をしなくても2つめの家族が出来たと思ってくれれば良い。君の家族と会う事を禁じたりする気はないし貴族社会で暮らすための後ろ盾くらいに思ってくれて構わないよ。まあ妻はずっと娘を欲しがっていたから娘らしく甘えてやってくれたら喜ぶと思うがな」

「父上だって娘が欲しかったのは同じだと思いますけど」

侯爵様の言葉にセイが揶揄うように声をかけてて少し緊張がとける。

「どうかこれからもよろしくお願いします、侯、お、お父様」

「ああ、もちろんだよ、フィー」

珍しくでれでれとした感じの笑顔の侯爵様の横からセイが面白がって、お兄様は?と言ってくるのにはわざと知らん顔をしておいた。


後日、伯爵家の方々やうちの両親も一堂に集っての話し合い、というか結果発表?が開催された。

私がテウを選んだと思ってウキウキしてる伯爵家の方々には申し訳ない気がしてあまり目を合わせられないでいたんだけど、そんなに緊張するなというテウの声かけで私は緊張してるんだという設定になった。

まあ両親がどんな顔するかなって点では実際緊張もしてたんだけどね。

その両親はやっぱり緊張の面持ちでやってきたんだけど、侯爵様からの面会の制限はしないという一言に安堵してた。伯爵家からの同意も得られてひと安心したのか後は黙ってみなさんの話に耳を傾けているだけだった。

「それではジョセフィーヌを我が侯爵家に迎える為、養子縁組手続きを即刻行わせて頂くという事で皆さまよろしいですな」

侯爵様の言葉にその場のみんなが黙って頷く。

「テウとの婚約については正式には行わず婚約予定という事で、それとなく噂になる程度にとどめるとの話でしたな。そのためにも時々は我が伯爵家を訪れていただきたいと思いますが」

伯爵様の意見にも同様にみんなが頷いていた。

こうして学園入学に向けて身の振り方が決まってひとまずほっとした。


「セフィ、入学までにまたこちらにも会いに来るが、ベルや母上にもまた顔を見せに来てやって欲しい。そして二人でデートもしたいから俺に時間を作って欲しい」

帰り際テウがそんな事を言いながら、今までなら手を取って口づけていたのがなんと頬にキスを落として帰っていった。

熱を持つその頬に手をやっていると、今度はセイが後ろから近寄って来て耳元で囁いた。

「フィーネ、婚約者候補は仮だって覚えてる?僕も家では本気で口説きに行くから覚悟してね」

驚いて振り返るとあまりに近くてセイの唇に触れてしまいそうになり、慌てて少し後ろへ下がる。

「ふふ、これからは僕の事をもっと男性として意識して貰えるように頑張るからね」

面白がってるようなセイに背を向けて逃げるように自分の部屋へ向かう間も、ドキドキいう心臓の音が止まらなくて自分の胸に手をあてる。


部屋に戻り椅子に深く腰掛けるとここ数か月の間に起こった出来事が頭をよぎる。

子どもの頃から転生者としての記憶はあったけれどまさかこんな風に乙女ゲームのストーリーに関わるような立場になるとはまったく思ってなかったから現状が信じられない。

ヒロインと勘違いしてるセイやテウ、侯爵家や伯爵家のみんなには悪いけど、勘違いさせるような曖昧な予言をした彼らのご先祖様(多分転生者)のせいなんだからばれた時に出来るだけ私の事は責めないで欲しい。もう今となってはそう願うしかないし、そのためにも出来るだけみんなと良好な関係を築いていこう。

そう決心したら色々吹っ切れたんでせっかくのご令嬢暮らしを可能な限り楽しんで生きていく決意固め、お気に入りのふかふか豪華ベッドへ飛び込んだ。

もう明日がどっちに向かおうと知ったこっちゃないのである!





今までお付き合いいただきありがとうございました。これにてひとまず完結です。

思ってたより長くなってしまいましたが勢いにまかせて書いて来た為サブタイトルとかつけられなくてすみませんでした。

本当は2~3話を1話くらいにまとまたらもう少し読みやすかったかもと反省しております。

次に書く時にはもう少し全体の話を決めてから書いていけたらいいなと思ってますので、機会がありましたらその時はよろしくお願いします。

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