幼馴染
2週間ぶりの我が家、久しぶりのベッドの堅さに眠れないかも、と思ったはずなのにあっという間に寝落ちたらしい。前世なら腰が痛くなりそうなもんだけど若いからか礼儀作法の授業の一環で鍛えられた筋肉のおかげなのか、とってもすっきり爽やかな目覚めだった。目が覚めたのがすっかり太陽が登り切ってさえいなければね。
という訳で大寝坊である。これはもう朝食って時間じゃないね。ランチ営業が始まってしまうと慌てて降りていったら、家族みんなから疲れてるんだから今日は家の仕事はせずにゆっくりするように言われてしまった。
渡されたブランチをのんびり食べた後は久々に街をぶらぶらするか。
チープな小物をひやかし、屋台のおやつをつまんで久々の庶民の生活を満喫する。
ぶらぶら歩くのもそろそろ疲れて来たので家に戻ろうと踵を返したら少し先に見慣れた顔をみつけた。向こうもこちらに気づいた様で少し速足で近づいて来る。
「ジョー、お前無事に帰って来れたのか?」
私の事をジョーと呼ぶこいつは所謂幼馴染って奴だ。我が家が近隣の農家さんから仕入れた野菜や肉などを運んでくる前世でいう処の運送業者さんやってる近所の家の3兄弟の末っ子で同い年。家族も含め近所の人も私の事をフィーって呼ぶのに、そんな可愛いキャラじゃないだろといってジョーってあだ名をつけて一人そう呼んでる。セイやテウみたいな美少年じゃないけど育てば結構いい男になるんじゃないかなっていう割とはっきりした顔立ちで近所の同年代の女子からは中々に人気だったりする。
「久しぶりね、ジャン」
「貴族に攫われたって噂聞いた時はビックリしたぞ。おばさんやマリーが勉強しに行ってるだけだって言うから安心したけど終わったのか?」
「いや、一旦休暇で戻って来たって感じかな。明後日にはまた貴族のお屋敷に行かないと」
「いじめられたりしてないか?大丈夫か?」
「ジャンがそんなに心配してくれるとは思わなかったよ」
「別に心配とかじゃないけど、気になるだろ!」
おお、照れてる照れてる。口は悪いけど根はいいやつなんだよね。もうちょっと大人になって素直に女子に優しく出来るようになったらめちゃくちゃモテそう。
「貴族の知り合いなんていままでいなかったけど、私がお世話になってる方々はすごく良い人ばっかりで色んな事勉強させてもらってるし、食事やドレスなんかも凄く贅沢させて貰ってるよ」
「それっていつまで続くんだよ?」
「うーん、取りあえず王立学園に入学するまでなのかなあ?」
「はあ?王立学園ってそんなとこ貴族が通うとこだろ!」
「ああ、そこまでは聞いてないか。まあ普通はそうなんだけど、ちょっと事情があって学園に通う必要があって今はそのための事前準備なんだよ」
わけがわからないという顔をしたジャンの手には箱につめられた酒瓶がいくつか見える。
「ジャン、配達の途中なんじゃないの、大丈夫?」
「あっ、やべ。ちょっと配達行ってくる。お前いつまで家にいられるの?」
「2日はいるよ」
じゃあまた家に行くからその時はなし聞かせろよ、と立ち去り際に言い捨ててジャンが去っていく背中を見送る。喧嘩友達って感じだったけど、改めて見ると中々のいい男になりそうで攻略対象になるのを期待されるサブキャラ位にはなりそうだなあ、なんて失礼な事を考えなら自宅へ向かって歩き出した。
ちょっと仕事がバタバタしてるので少し投稿間隔が広くなるかもしれません。




