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眠れぬ夜

伯爵家での最後の夜はセイを含めての晩さん会。

伯爵家で誂えて貰ったドレスのうち、ベルのオーダーしたものを着せてもらった。テウにエスコートされて参加したけど、結論を確認されることもなくたわいもない会話(主に私のドレス姿への称賛)と美味しい食事を堪能してあっさり終了した。

食事の後はまたテウに部屋まで送ってもらって最後に一言だけ声をかけられた。

「フィーの選択がどうであってもいつでも力になるつもりだから、今後何かあれば俺の事を頼ってくれ。あと、一緒に歩いていけたらいいなと俺が思ってる事は忘れないで欲しい」

その言葉と共に手の甲へキスを落とされた。セイとは違ってテウにそんな事されたのは初めてでちょっとドキドキしてしまったのは多分ギャップ萌えって事にしておいた。


その夜はこれからの事を考えて中々寝付けなかった。

侯爵家にしろ伯爵家にしろ、私を子息の婚約者に望む理由は一応わかったわけだけど、多分その予言を残した人は二人とも転生者なんじゃないかな。そして「エリュスト」に基づいた予言というか提言を残してるんだけど、残したタイミングが早い伯爵家の方が侯爵家に比べて情報が風化してる感じ。しかも私なみにゲームの攻略が出来てないのか元から情報不足な気がする。

でもどちらも本来のお相手はヒロインなんだと思う。

ただ、セイとテウが王立学園へ既に入学してるって事はゲームは開始してるしヒロインとももう知り合ってるはずなんだよなぁ。なのにセイもテウも私との婚約に反対する様子がないのが不思議で、時期的には夏休みは親密度上げるイベントがいっぱいあるはずなのにヒロインなにしてるの?

個別ルートへ入るのはまだ先のはずだけどひょっとして他の攻略対象者に既に的を絞ってしまった後って事?突然ヒロインに婚約者をかっさらわれる可哀想な子になっちゃうのを恐れてたけど、その心配は少ないのかもしれない。

だとするならドラゴンが学園に現れたりすることはないから身の危険に怯えなくてもいいのかしら。

ただ逆に彼らはドラゴンキラーだとか救国の英雄なんて呼ばれる事もない。果たしてそうなった時に彼らや彼らの家はどう思うんだろう。


彼らの期待する人物ではないとどう伝えたらわかってもらえるのか。流石に侯爵家・伯爵家のあれだけの人数に対して転生者であると明かすのは怖すぎるんだよね。

あー、なんで私ヒロインの家名を覚えてないんだろう。デフォルト名だとボイス付きで呼んでくれるからエヴァンジェリン、通称 エヴァってところはちゃんと覚えてるのになぁ。親密度が高まってくるとアンジェって呼んでくれるのも思い出せるというのに。と言ってもまだ学園に通ったことも無い平民の私が彼女を知ってるのも変だし手づまりな事に変わりないのか。

結局結論が出ないまま気づいたら寝落ちしてしまっていた。




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