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閑話・セイ

子どもの頃、テウからいつかドラゴンを倒すんだと聞いた時、そんなものはおとぎ話の中にしか出てこないと思ってた。

それなのにその話をした後、父上からわざわざ部屋へを呼ばれて問われた。

「お前は将来ドラゴンと戦う事になったらどうする?」

「ドラゴンは本当にいるの?悪い奴だったら倒さなきゃ」

「ドラゴンはとても強い。それでも戦うならお前は強くならなくてはな」

その後大叔母さまの話を聞いた。僕の名を付けてくれたという彼女にはここではない世界で生きた記憶があり、そこでこの世界の歴史が記録されたものを読んだ事があると言っていたと。

ウィステイン侯爵家の3人の男子の末っ子セイとウェルドリッジ伯爵家のテウとある少女の3人が王立学園に現れたドラゴンと死闘を繰り広げて勝利したという記録もその中にあったそうだ。

因みにこの話を父が聞いたのは僕が生まれる前、次男のクヴァルが生まれ名前が決まった直後で、上の二人の名前と父と親しくしてる、ウェルドリッジ現伯爵を見て確信したのだとか。

父からこの話を聞いてから元々魔力量が多いと言われていた風の魔力の訓練のみならず剣についても当時の将軍の師匠だった方の元で学ばせてもらった。

テウは幼馴染として身近な存在だったけど、もう一人一緒に戦う少女とは何者なのか?そこは父に問いただしても誰だかわからなかった。

大叔母さまは「誰になるかわからない」と言っていたそうで、どんな少女かと思いを馳せていた。

初めて王城へ参内した時に1つ年上の第二王女殿下にはもしやとも思ったけれど仮にも王女殿下が僕のような侯爵家の跡取りでもない三男に降嫁することなどありえない。

学園入学後に出会った男爵令嬢でひょっとしてと思った子がいたけれど、光の魔力の強力な使い手である彼女の事は王太子殿下が非常に興味を持っているのはすぐにわかったから、殿下の側近や護衛騎士くらいしか近寄る男子はいない。まさか殿下と恋のさや当てをしようなどとするのは公子くらいだろうが我が国の公子も隣国の公子も前述の王女殿下が気になっていると専らの噂だ。

何よりその二人の少女は全然僕に興味がなさそうだったのがその少女ではないと判断した決めてでもある。


そしてついに共に戦うはずの少女を見つけた。

まさか平民だとは思わなかったけど、大叔母さまの話では身分差があるような話だったからそれもかまわない。

実際初めて会った彼女は大した教育を受けていないなんて思えないほどしっかりとした考えを持っている様に見えた。共に我が家を訪れた彼女の両親よりもよほど肝が座っているようで、僕らと話す時もチョコレート色の髪に縁どられた顔をあげて僕たち一人一人を見回す同色の瞳には強い力が宿っていて目を離せなかった。

しかも彼女にはテウも興味を示しててもうこれは間違いないと、そっと視線を向けた父上も同じ意見と見え頷いてくれた。

後で知ったのだが、父とウェルドリッジ伯爵とは学生時代からの盟友だったから大叔母さまからの話を伝えているんだと思っていたところ、そうでなかったらしい。伯爵家には伯爵家でフィーをテウと縁づけたい思惑があって伯爵家とフィーの取り合いが始まってしまったのには驚いた。

けれど彼女からあの嵐の夜の出来事についての言葉を貰った時に彼女の隣に立ちたいと強く思ってしまったから相手がテウでも負けられない。

あんな嵐の対応ごときでつまずくようではドラゴンキラーなど遠い夢では、と焦っていた僕を救ってくれた上に、その劣等感を相性が悪かっただけだと一言で吹き飛ばしてくれたんだから。



途中まで書いてた31話を急に思いついてセイ視点の話に替えたら思ったより難産でした。。

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