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言い伝え1

翌日は朝からテウと馬車に乗って湖へ出かけた。てっきりセイも伯爵家へ来るのかと思ってたら現地集合らしい。

湖までは馬車で小一時間はかかるとの事なので、昨夜の疑問をテウにぶつけてみた。

「ねえ、なんで私の事を婚約者候補にしようなんて伯爵様も侯爵様も思ったのかなぁ?」

「ウィステイン侯の考えはわからないけど、うちには言い伝えがあるんだよ。そのせいだな」

「言い伝え?」

「俺のルティウスという名前はその言い伝えに基づいてつけられてる」

肩をすくめながらテウが話してくれた事を要約すると、ウェルドリッジ家でオレンジの髪、赤茶の瞳の男子が生まれた場合はルティウスと名付けられる。そしてその男子と遜色ない魔力を持つ女子は国を救う可能性があるので、例え身分が釣り合わなくとも交際を反対したりしない事。望むなら夫人として家に迎え入れるべし、という事らしい。

何代か前の伯爵令嬢が子孫に伝えるべく書き残したという話だけど、今度はなんでそんな言葉信じてるのかが不思議だ。

「その令嬢は不思議な人だったらしくて伯爵家の領地で起きた伝染病を早々に収めたり、今やこの国では一般的になったアイスクリームを開発したりして今の伯爵家の繁栄の礎を築いたんだ。だから彼女の言葉は我が家では非常に重要視されてる」

ン?なんかその人の方が転生もののお話の主人公っぽくないですか?そう思ったけど、テウにそれを聞いていいのかどうか…。

「その言い伝えってこんな風に他の人に話しても大丈夫なの?」

「どうなんだろうな。極秘という話は聞いたことはないが、多分こんな話をしたら馬鹿にされる可能性が高いからあまり人に話したりはしないかな」

「私には話しても良かったの?」

「だって、フィーは馬鹿にしたり呆れたりしてないだろ」

「そりゃあ自分から聞いたのにそんな失礼な事出来ないじゃない」

「そもそもこんな話本気にする相手の方が珍しいんだよ。だから人を見る目がある人間ならわざわざ口止めする必要もないって話だな」

「因みにその話って、セイやウィステイン侯爵家の方々はご存じなの?」

「俺は多分セイに話したことはないな。他の方々が知ってるかどうかもわからない」

「じゃあ侯爵家が私をセイの婚約者にしようとしてる理由は知ってる?」

「いや、何も聞いてないな。聞いたらこちらも聞かれるってわかってるからお互いに牽制し合ってそこは触れないようにしてた感じだな」

という事は侯爵家にも似たような言い伝えがあったりするんだろうか。

それよりもその伯爵令嬢がそんな予言みたいな言い伝え残したのってなんでなんだろう。

「テウの名前は指定されてるのに、相手の女の子についてはもうちょっと詳しい情報ないの?平民だとか髪の色とかそれこそ名前とか?それともそこは内緒なの?」

残念ながら、そう言って肩をすくめるテウはうそをついてる様には見えないんだよなあ。

「でもその条件なら当てはまる人たくさんいそうだよね」

その伯爵令嬢が転生者だとして、ヒロインの情報を伝えようとしたらもうちょっと分かり易いヒントないのかな。「エリュスト」のヒロインを思い浮かべてみるが基本的に乙女ゲームのプレイヤーキャラって自己投影しやすくする為にはっきり描かれてない事が多いし、もっと真面目にプレイすれば良かったと思っても後の祭りだ。確か顔は出て来てないから瞳の色とかは不明。髪色は茶色っぽかった気はするけどどうだっけ?記憶を探ろうとしたところで残念ながら目的地に到着してしまったのでそれ以上思い出すことは出来なかった。





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