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伯爵家での暮らしも侯爵家とほとんど大差ない感じで、貴族としてのマナーや嗜みとしての社交術、魔法や座学に苦手のダンスを日替わりでこなしつつ、お茶やお食事をテウと共にする。
伯爵家の場合はベルも一緒のシーンも多かったので、同年代の女の子とたわいもない会話が出来るのは楽しかった。
社交術って奴が中々曲者で会話術がメインなんだけど、腹の探り合いみたいなのは前世の大人の時でも苦手だったのに、まさか子どもの頃から学ぶ事になるとはね。なんだかセイが腹黒そうに見えたのはこういう教育をうけてるからなんだって改めて思ったけど、やっぱりテウも苦手らしい。
「自分の望む方向へ会話で相手を誘導するとか面倒だよな」
「そうだよね」
「あら、兄様もフィーもそんな事を言ってて相手にどんどん優位に物事を運ばれたらどうするんですの」
小悪魔系美少女のベルはセイ同様得意分野らしい。
「ベルはセイと気が合いそう」
「そうだ。お前がセイの婚約者になればいいんじゃないか」
「そうするとセイ様はいずれ兄様の義弟になるわけですね」
ベルの切り返しにうーんと唸って真剣に考え込むテウがちょっと不憫だ。
「どっちかっていうとセイの方がテウの弟っての嫌がりそう」
「わかってるわね、フィー。それに私とセイ様だと似すぎてて多分ダメですわ」
ああ、近親憎悪って奴なのかな。流石に言葉にしてしまうのは憚られたけど、確かに甘い雰囲気になる気はしないね。
「ああもう座学とか面倒!魔法とか剣術の訓練してる方がずっと楽だ」
こんな事を言ってても別にテウは脳筋って訳でもなくて体を動かす方が好きだってだけなんだと思う。一緒に授業受けた統計なんかもきちんと理解してたしね。
「そう言えばテウは学園には通ってないの?」
「今は夏のバカンス中だからな。来月になればまた学院での授業も始まる事になる」
「ベルはまだ学院には通ってないのよね?」
「ええ、残念ながら私はフィーより1年遅れて通う事になるわ」
「約半年後にはフィーも通うようになるんだからダンスはそれまでにもうちょいなんとかしないとだな」
テウに痛いところを突かれた。実際今まで習った全ての授業の中でどう考えてもこれが一番苦手なのだ。
「ベルやセイはダンス得意そう」
「私は人並みだと思いますけど、一度レッスンに付き合って貰いましたが、セイ様は確かにお上手ですわ」
「テウよりも?」
そう聞くと、ベルは思わせぶりにテウの方を見た後、お兄様もそんなに悪くありませんよ、と答えてくれた。テウはそっぽを向いて何も言わなかったけど少し悔しそうなところを見るとダンスはセイに軍配があがるらしい。
「そう言えば今更なんだけど、ベルがセイ様って呼んでるのに私はセイもテウも呼び捨てにしてて本当にいいのかなあ?」
「別に本人が良いって言ってるんだから構わないだろ。少なくとも俺の事は様付けて呼ぶなよ!」
「私はセイ様とは年も離れてますし、個人的に凄く親しい付き合いがある訳でもありませんので」
「そうなんだ。てっきり家族ぐるみの付き合いなのかと思ってた」
「元々は侯爵と父上が学友なので親交はあるんだ。セイと俺は同い年だから父たち同様良い学友になるのではと幼い頃に引き合わされてるが、それ以外の兄弟同士はそこまで親密な付き合いはしていないな」
なるほど、侯爵と伯爵が友人だから家格が違っても侯爵家に押し切られずに両家で話し合いが持たれることになったのね。今更ながらに今回の成り行きに納得出来たのだった。




