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セイは年齢より大人びてると思ってたけど、テウは年相応な感じで話し易いからか、貴族社会の色々な事を聞けて結構有意義な散歩だったかもしれない。お庭の案内の後はそのまま昼食も一緒に頂いた。伯爵夫人は夜会の為の準備があるそうだし、ベルは友人宅へでかけたそうで、貴族の女性って思ってたよりも忙しいそうだし外出も多いんだね。
「テウは今日はこの後はどんな予定なの?」
「午後からはダンスのレッスンだな」
「子供のうちからダンスも習うのね」
「何、他人事みたいに言ってるんだよ。当然フィーも一緒だぞ」
「えっ、私も?」
「王立学園ではダンスパーティーが年に何度か行われるからな。その時にダンスも踊れなかったら恥をかくのは自分だぞ」
テウの言葉に思わずうへぇと心の中で舌を出す。今までの勉強の中で一番苦手かも。
何しろ私には運動神経がない。そして音感も多分ない。多分なのは平民には音楽に触れる機会がほとんどないからだ。前世は音楽が聞こえてこない日なんてなかったけど、楽器を習った事なんて学校の授業くらいだし、それさえも苦労してたくらいだから推して知るべし。
という訳でテウをパートナーにした初めてのダンスレッスンは散々だった。
「テウ、ごめんなさい。足大丈夫だった?いや大丈夫じゃないよね。本当に申し訳ない」
「ぷっ。そんなに必死に謝らなくても大丈夫だ」
「え、でもヒールで踏まれたからかなり痛かったよね?」
「そりゃあ痛くないとは言わないけど、フィーなんて軽いしこれでも運動神経はいい方だからな、ちゃんと上手い事避けてるから、ヒールではほとんど踏まれてないよ」
「良かったぁ」
テウの言葉に少し安心する。怪我なんてさせたら首が飛ぶ、とまでは言わなくてもどんな目にあうかわからないもんね。
「自分でもヒールで踏んではなかったってわかるだろ?」
「いや、もう全てにおいていっぱいいっぱいでそこまで把握できてない」
ははは、とまさしく腹を抱えて笑うテウを恨めし気に見上げてしまう。
「そんなに笑わなくてもいいじゃない」
「いや、なんかフィーっていつもすましてるっていうか、あっという間に貴族らしい所作も身に着けてたから、苦手なものもあったんだってちょっと新鮮」
「テウと違って私は運動神経良くないのよ!そして音感もよくないの!もう今日は終わりでしょ。部屋に戻るね」
拗ねてさっさと部屋に戻ろうとしたら慌ててテウが追いかけてきて手を差し伸べてくれた。
「悪かったよ、そんなに怒るなよ。その靴ではエスコートなしで歩くのは危ないだろ。部屋まで送るよ」
優しい言葉をかけて貰ったのについ意地を張ってしまって一人で歩き出す。いつもの身軽な服装の様にさっさと行こうとしたら、つま先でドレスの裾を踏んでしまった。
「危ない!」
とっさにテウの腕に腰を支えられて事なきを得る。
「ありがとう」
意地を張ってしまった事を含めて恥ずかしくなり思わずうつむいてしまったら、腰から離れた手が私の手を捕まえてエスコートの体制に持って行く。
「怪我はしてないか?初めてなのにからかってしまって悪かった」
「大丈夫です。私もつい意地を張ってしまってすみませんでした」
今度はちゃんと目を合わせて謝る。
「怪我がなくて本当に良かった。お前を怒らせるつもりはなかったんだ。許してくれるならさっきまでみたいに気安く話してくれたら嬉しい」
なんていうかテウってワンコ系美少年だったのか…。シュンと垂れた尻尾と耳が見える気がする、などと考えてる前世30代のお姉さんを許してね。ここまでされてまだ意地張ってたら本当に子供みたいだ。真摯に謝ってくれるテウに倣って、ここは自分も素直になって部屋までエスコートされて戻ると、お庭で選んだお花が部屋に綺麗に飾られていた。




