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その後はペースを落としてくれたテウにお庭を案内してもらう。流石お屋敷が広いだけあってお庭も広い。このドレスに合わせた華奢なヒールの靴で歩くにはエスコートは必須だよね。
そもそも前世の大人だった時でもこんなヒールは冠婚葬祭の冠婚とかでないと履いた事なかったのに、こんな子供のうちから履くことになるとは。そんな風に足元を気にしていたからか庭にある四阿へ案内されて座らせてもらった。
侯爵家のお庭はゴージャスだったけど、伯爵家のお庭はちょっとメルヘンちっくだ。やっぱり令嬢かいるかいないかの違いが大きいのかな。
「とても可愛らしいお庭ね」
「やっぱり女の子はこういうのが好きなのか?」
「うーん、女の子だからかどうかはわからないけど一般庶民にはこんなお花が溢れてるお庭を見る機会なんてないから、なんていうか凄いなぁって単純に思うよ」
「花をプレゼントされたりしないのか?」
「しないわね。侯爵家でセイに貰ったのが初めてだったよ」
「ちぇっ。先にうちに来てれば俺の方が初めてだったのに」
「え?テウもお花をプレゼントしてくれるつもりだったの?」
「母上とベルからフィーが気に入った花を庭師に切ってもらって後で届けろって言われたからな」
その言葉に思わずくすくす笑ってしまったら、テウから不思議そうな顔をされた。まだ反抗期とかではないのかな?前世との違いとか平民と貴族の違いとかどちらの違いなのかはわからないけど、照れくさいお年頃かと思ったら素直で可愛い。しかもそれをそのまま言ってしまうなんて、セイとは随分違って腹芸はしないタイプみたい。
「なんか面白い事いったか?」
「伯爵夫人達の指示に従ってるのもそれを私にそのまま言ってしまうのも、なんか私の思ってたテウのイメージとも、貴族のご令息のなさることとも随分違うなあと思ったら少し面白かったの」
「お前の中の貴族のご令息って奴はセイか?別にあいつ、普通な訳じゃないからな」
「あ、やっぱりそうなの?でもセイだけじゃなくてディードリッヒ様もそんな感じだったけどなぁ」
「あの二人は確かに似てるよな。真ん中のクヴァル様はちょっと違うけど」
「クヴァル様は夕食を2回ほどご一緒しただけでほとんどお話もしてないの。確かに見た目は他の二人と少し違ってたかも」
「クヴァル様は武官目指してるからか、もうちょっとざっくばらんだぞ。他はみんななんか持って回ったような話し方をするんだよな。まあそういうのは貴族っぽいんだろうけどさ」
「へえ。テウは武官を目指してるの?」
「本当はそうしたかったけど、俺は伯爵家の嫡男だから家を継がないといけないんだ」
「貴族の家督を継ぐ方は仕事はしないの?」
「うちには領地があるからな。当主の仕事は領地運営だ。それ以外の仕事を持つことは実質不可能だな。例えばセイみたいに子爵の爵位を持ってても領地がなければ王城で役職を賜って仕事をする」
「え?セイって侯爵令息なだけでなく子爵なの?」
「本人から聞かなかったのか?」
「うん。三男だから侯爵家を継ぐことはないって言ってたけど…」
そう言えばゲームの中でそんな事を言ってたような気がする。
「因みに例えばセイが爵位がなくてお兄さんが侯爵を継いだらセイは貴族ではなくなってしまうの?」
「そうだな。子爵の次男、三男なんかは貴族の跡取り令嬢と結婚したりしてどこかの爵位を継いだりしなければ爵位はなくなるから、騎士爵を得ようと騎士を目指すことが多いが文官になって実績を残して叙爵を狙う場合もある。伯爵以上の家柄の場合は手持ちの爵位を子孫に譲ることが多い。セイはそのパターンだな」
そうか、セイだったら跡取りじゃないしちょっと裕福な平民として暮らすこともあるのかなという期待は出来ないって事なのね。気楽で裕福だったらラッキーとか思ったけどそれはダメとわかってちょっと残念。




