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その夜は久々の家族そろっての夕食。と言いたいところだけど食堂を営む我が家は夕飯はお店の合間に立ち食いのようにして食べるのが常だ。そんな感じだからお土産のスコーンは昼食と夕食の間の仕込み時間に丁度良いおやつになった。私が絶賛したスコーンは家族にも大評判で、心配をかけてる祖父や祖母にもおすそ分けするらしい。ミリーは名残惜しく、そそくさと片づける母さんをみつめてた。また機会があったらお土産にもらえたらいいな。
そう言えば、妹のミリーの方はセイの紳士っぷりと顔面に夢中になってた一方、姉のマリーは私が着せてもらったワンピースがとても気になってるらしく、侯爵家で用意して貰ったドレスの話をしたら想像してうっとりしてた。
確かにあんなドレス人生で一度は着てみたいよね。平民暮らしでは多分自分の結婚式くらいしかドレスなんて着る機会なさそうだもん。
「ねえねえ、フィーが着られなかったドレスってどうなるのかな?」
顔に欲しいと書いてありますよ、マリーさん。そう思ったけど声には出さず、わからないとだけ答えておいた。実際どうなるのかわからないけど、私のサイズのドレスではマリーには丈が足りないだろうけどね。
久々にお店の手伝いも少ししたけど、流石に疲れてたんで早めに休ませて貰った。
侯爵家のふかふかベッドとは全然違う固いベッドだけど、やっぱり自分の家のベッドは落ち着くなぁと思った頃にはすっかり寝落ちしてたらしい。次に気づいたらもうすっかり翌日の朝で、慌てて跳び起きた。
何しろ今日はもうウェルドリッジ伯爵家からお迎えが来るのだ。ひとまず久々の普段着に袖を通し朝の身支度をして朝食に向かう。
「おはよう、フィー」
「おはよう、マリー、ミリー。ゴメン手伝うよ」
うちでは夜遅くまで食堂の後片付けをする父さん、母さんは朝はゆっくりなので朝食の支度はマリーとミリーがしてる。本当なら私も手伝うべきなんだけど、どうやら二人の恩情で寝かせておいて貰えたらしい。
「いいよ。フィーはまたお出かけの支度もあるんでしょ。準備できてるから朝ごはんにしましょう」
テーブルにつくと丁度両親も起きて来て家族みんなで朝食だ。
「ねえねえ、昨日来たセイさん、素敵だったよね!あんな人が婚約者になるってどんな気持ち?」
「いや、まだ婚約者じゃないし」
無邪気に聞いてくるのはミリーだけど、母さんもマリーも視線は向けなくても興味津々なのは間違いない。
「じゃあさ、今度行く方は?」
「ウェルドリッジ伯爵家だよ」
「そうじゃなくて、婚約者候補の男の子はどんな子なの?」
「そうねぇ、セイに比べると年相応というかもうちょっと子供らしさがあるかもね」
「えーー、お子ちゃまなの?つまんない」
そんな失礼な事を言っていたミリーが伯爵家からの迎えにぽーっとするとは家族全員誰も思わなかった。
あっという間に20話まで来てて自分でビックリ。
次こそようやくテウのターンです。




