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翌日は久々で家へ帰れる日だ。
家から着てきた私服に着替えようとしたらメイドのロザリーからストップがかかった。
「まあ、ジョセフィーヌ様、そのような姿で侯爵家の御印の馬車に乗せられませんわ」
「え、でも、来た時はこの服だったし、逆にドレスで街に行くのはちょっと目立ちすぎるんだけど」
ロザリーとお互いに譲らなかったらエリサが可愛いワンピースを持ってきてくれた。
「これならまだ家に帰る時に着ててもそこまで悪目立ちはしないかな。でもこんな普段着っぽいのもあったんだね」
「こちらは街へお忍びでお出かけするとき用にとセイ様がご用意されていたものです」
どうみてもお忍びというよりは平民的には一張羅だけどね。まあ貴族の方々からしたらいいとこのお嬢さんに見えれば十分お忍びなのか。一般人の格好だと逆に所作が浮きそうだもんね。マナーレッスンを叩きこまれた今ならそれがわかるよ。
そして帰宅の準備が出来る頃にセイが部屋まで迎えに来た。てっきり見送りしてくれるのかと思ってたらなんと一緒に馬車に乗り込んできてちょっとビックリ。
「え?セイが送ってくれるの?わざわざ?」
「当然ですね、ご両親へのご挨拶も必要ですから」
相変わらず大人びたことを言う子だよなぁと思ったけど、侯爵様からの指示なのかしら。
「本来は父か兄が伺う処でしょうが、フィーの婚約者候補として家族の方と親交を深めたいんです」
「私にはもっと気安くしゃべってって言う割にセイの方が固いんじゃない?」
「そうかな?まあでも君の家族と親しくなりたいのはホントだよ」
「どうして?」
「だって、君が僕とテウとどちらかを選ぶ時に家族の意見は参考にするでしょ?」
私の質問の意図がそれだけじゃないのをわかってはぐらかしてる感じはしないでもないけどひとまず追及はしないでおく。
そうこうしているうちに馬車が家に到着した。実は馬車だと20分もあれば着いちゃうくらいの距離しかない。
先に馬車から降りたセイの手を借りてるとお店の前でマリーとミリーが出迎えてくれた。
セイが合図を送ると御者が大きなバスケットを抱えてやってくる。
「こちらはお土産です。よろしければみなさんでどうぞ」
にっこり笑顔でバスケットを差し出すセイの手元よりは顔に目が釘付けになってるよ二人とも。
まあでもやっぱり顔がいいんだよね、セイって。テウもだけど。
マリーがバスケットを受け取ってくれたので、私の方を振り返ってセイがいつものようにエスコートしてくれる。ここの所の特訓のせいで差し出された腕に何も考えず手を重ねたら、ミリーが、うわぁお姫様みたい、と手を握り締めて声をあげた。マリーは素敵なワンピースを羨ましそうに見てる。
侯爵家の立派な馬車に足を止めた人たちの視線も感じて頬が熱くなってくるし早く家に入りたいという私の気持ちに気づいてくれたのかセイが速やかに家の中へ連れて行ってくれたのが有難かった。




