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翌日のドレス選びは楽しかったけど大変だった。

まず採寸したら、次は既製服でのひとりファッションショー開始。ドレスって簡単にひとりで着られたりしないから、着替えの度にエリサとロザリー、そしてやってきたお店の助手さんらしき人達に囲まれる。

着たら侯爵夫人とセイに見せては購入するドレスを選んでいくんだけど、流石侯爵家だけあってぽんぽん購入を決めていくのは貧乏性の私にはある種のストレスだった。

なんていうか、コレってのだけでいいじゃん、って言いたいけど、お金を払うのも自分じゃないから意見を言うのもはばかられる。結局二人ともが良いといった5着プラスそれぞれがこれもと2着ずつ選んで全部で9着も購入してしまった。

更にその後は仕立てるドレスのデザイン選び。

元々おしゃれって訳でもないから丸投げのおまかせにしたいんだけど、どうも大人って可愛い系を少女に着せたがるので、黙ってるとフリルとリボンとピンクになりがちなんだよ。体は少女でも中身が大人だとそういうのはちょっと気恥ずかしい。それが似合う絶世の美少女だったら着てみても良かったかもしれないけどね。

チョコレート色の髪と瞳の自分にはピンクなら淡い色合いがいいと思うし、私の顔立ちにはレースはいいけどリボンはあまり顔周りにはつけて欲しくない。

という訳でサーモンピンクにレースとパールをあしらったドレスと水色からブルーへとグラデーションになったドレスをオーダーした。割とすっきり系でまとめたつもりだったんだけどパールとか結構お値段の張るものを頼んでる事にはこの時は気づいてなかった。

「サイズはこれからどんどん変わると思いますし、流行りも変わってしまうのでは?」

という正論をぶちかましてなんとか2着で止められたんだけど、セイも侯爵夫人も楽しみは次に残しておきましょうってのがストップした本当の気持ちらしかった。


その日の午後にマナーの先生を紹介された。

なんとかマイヤーさん的な厳しい人を想像してたけど、どちらかといえばおっとりした優しそうなご婦人だった。ドレスの時の足さばきやお茶の時の茶器の持ち方とかマナーというより所作に重きを置いた感じ。

ここで思い知ったことは、貴族の綺麗な所作には物凄く筋力が要るって事。背筋を伸ばして座ってるだけでも普段猫背気味の私には中々に辛い上に、ティーカップもカップだけでなく受け皿まで胸より上に持ち上げてるとすぐに腕がぷるぷるしてくるんだよ。

どうみても母さんより年上の先生がそれを苦も無くこなしてるって事はその姿勢に必要な筋力が備わってるって事で、これ毎日筋トレ必要なんじゃない?って気が遠くなりかけた。

「ふふ、これも慣れですよ。無理にトレーニングなどして筋肉がつき過ぎても美しくないですからね」

涼しい顔でそう言われたけど、実際先生の腕は不必要な筋肉はもちろん贅肉だってついてないんだからきっと本当なんだろう。

よくラノベなんかで細身に見えたイケメン貴族たちが服を脱ぐと筋肉質で、とか書いてあったけど確かに姿勢を保つだけでそこそこ訓練になる上に、今朝セイがしてくれたエスコートなんて女性の腕を支えるために自分の腕上げっぱなしで歩くんだから筋肉無かったら絶対無理だよね。

筋トレしてる令嬢や令息なんて出てこないけど、それでもスタイルが良いのはこういう秘密があったんだとこの日思い知った私でした。




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