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ルディア戦記  作者: 足立葵
第二話「閨門の白い木春菊」
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序章

アルケーテロス神話 第一章第二節「万象と御業」


神々によって創られ、人によって管理された世界は栄えた。

時が過ぎ、変化が重ねられ、変化を重ねたものの中に強い力を持つものが現れた。

強い力を得たものはさらに多くを喰らい急激に力を増していった。

光の神が案じた「このままでは人の知を持ってしても管理できぬものが現れはしまいか?」

風の神が頷いた「確かに、強き力を持つものは力を増す一方だ」

闇の神は問うた「強き力持つものが現われることに何の障りがある?」

光の神が答えた「彼らを野放しにすれば世界は閉ざされるやも」

火の神が叫んだ「それはマズい!」

闇の神が提案した「人に抗う力を与えることにしてはどうだろう」

風の神は反対した「人に力を与えぬ代わりに知を与えたのだ。力を与えては意味がない」

地の神が問うた「ならば何とする?」

光の神が答えた「過ぎた力を持つものは我らが自らの懐に還せばよい」

闇の神が止めた「我らの力では世界に与える影響が大きすぎる」

しかし、神々は闇の神の言を聞き入れなかった。

そして、ついに他とは一線を画す強きものが現れた。

強きものは己が存在を高めるために他を喰らうことを止めなかった。

世界を栄えさせようという神々の意思に逆らうそのものら魔と呼んだ。

光の神は光の矢をもって魔を神々の元に還した。

風の神は風の刃をもって魔を神々の元に還した。

火の神は火の息をもって魔を神々の元に還した。

地の神は岩の鎚をもって魔を神々の元に還した。

金の神は鉱の毒をもって魔を神々の元に還した。

水の神は水の圧をもって魔を神々の元に還した。

しかし、強大すぎる神々の力は世界を傷つけてしまった。

風の刃と岩の鎚により舞い上がった沫と塵が天を覆い隠して、光は失われてしまった。

光の矢と火の息により照らされ、焼かれて地は焼け爛れて、恵みが失われてしまった。

水の圧により大地は崩れ、鉱の毒により水と大地は毒されて富みが失われてしまった。

闇の神は言った「我が言を聞かず、強きものを還した結果、世界は乱れた」

光の神が返した「そもそも汝が変化を与え、許したことが原因だ」

地の神が取り成した「どちらも言っても詮無いことだ」

水の神が言った「まずは世界を治すことが先決だ」

風の神が光を取り戻すため、天を覆う沫と塵を一つに纏めた。

水の神は纏められた沫に命を吹き込み、名を与え雲と名付けた。

水の神は告げた「我が息子よ、光隠す沫を纏め、地に還すのだ」

光の神は纏められた塵喰って輝きを放つものを創り、雷と名付けた。

光の神は告げた「我が息子よ、雲が覆いし地にも輝きを与えよ」

水の神の息子は天を覆う沫を集め、地に還した。

水の神の息子によって焼け爛れ、乾いた大地に潤いが戻った。

地の神と火の神、金の神は崩れた大地を治すべく大地を動かし、組み直した。

火の神は風の神、水の神と協力し還す力をもって水を廻し、鉱の毒を大地へと帰した。

しかし、神々が力を尽くしても世界は完全には元には戻らなかった。

傷んだ地は水に削られ、風が巻き上げられ、雷がいくら喰っても塵は無くならなかった。

毒された水は清らかにはならず、廻し続けた水の沫が天に舞い上がり、雲は絶えなくなった。

削られ続ける地を造り直し続けることで大地はたゆまず動き続けるようになった。

取り返しのつかない事態になり神々は後悔した。

金の神が言った「我らは再び過ちを犯さぬように考えるべきだ」

火の神が言った「しかし、因って果てに何が訪れるかは闇の神より瞑き闇に覆われている」

闇の神が答えた「ならば我より瞑き闇とやらを示す光明を創ればよい」

風の神が問うた「如何にして?」

闇の神が答えた「失われたものから賢きものを選び、先を示させればよい」

光の神が昂ぶった「我らの上に立つ者を創るというのか!?」

水の神が言った「しかし、我らの過ちで失われたものに対する謝意にもなる」

多くの咎なきものを失ってしまった神々は沈黙した。

地の神が言った「我は先を示すものを創ることに賛同する」

水の神に続き、地の神が賛同したことで火の神、風の神、金の神も賛同した。

光の神が提案した「時を限ってならばいいだろう」

神々は失われたものから賢きものを選び、天に上げ、先を示すものとし、星と名付けた。

星は闇の神が世界を覆うときに天に瞬き、世界の行く先の断片を示すようになった。

そして、星の瞬きが示すところによれば魔はこれからも増え続けるということだった。

闇の神は言った「我らでは世界を傷つける人に抗う術を与えるべきだ」

神々は人に知を持って魔に抗う術を与えることにした。

光の民、火の民、風の民、地の民、金の民、水の民、闇の民は各神の御業の一端を授かった。

知の民は他の民を介してすべて御業を学んだがどの業も各民に劣るものであった。


気象、地象、水象、天象、四象が互いに作用し合い、森羅万象巡り、世界はより早く廻った。

知を与えられ、神々の御業を受け継いだ人は世界を良く管理した。

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