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銃撃士は相棒を選べない―最強美少女たちがパーティーを組もうと迫ってくる件について―  作者: アレセイア
第三章

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第34話

 空が晴れ渡っている。底抜けなほどの青天な空には、大空を羽ばたく鳥。

 まさに、自由の象徴だ。あれだけ空を飛び回れたら、さぞかし気分もいいだろう。


(――本当に羨ましいよ……)


 それを見上げるレオンの両隣では、金髪の姉妹が火花を散らし合いながら腕を掴んでいた。


「とにかく、なんで貴方がいるのよっ、カグヤ!」

「レオンさんがいるからです。当たり前ですよ、私は彼の暫定パートナーです」

「はあぁ? 人のパートナー候補相手に、よく言うわねっ!」

「姉さまこそ図々しい……!」


 丁々発止の舌戦は、バウマンの街を出発してからずっと続いていた。恐らく、時間にすると半日はもうすでに互いに罵り合っている。

 いくら二人の声が心地よい声質をしていても、さすがに罵声を半日以上聞かされるのは心に堪えてくる。とはいえ、レオンがこの位置を放棄すれば、間にある邪魔がなくなり、間違いなく二人は刃を抜くだろう。

 レオンはうんざりとため息をつきながら、二人に声をかける。


「そろそろ止めないか? もう始まったことは仕方ないんだし――二人は騎士団たっての強い希望なんだから……」

「ふん、騎士団の依頼だか何だか知りませんけど、レオンがいるからあたしは来たのよ」

「私もです。レオンさんがいなければ、こんな依頼、興味ありませんもの」


(その二人をどうしても参加させたいから、俺が呼ばれたんだよなあ……)


 こうして二人の口から素っ気なく言われると、ギルド長はまさに慧眼だったと言える。巻き込まれたレオンとしては、納得がいかないが。


「それで、レオン、この任務は何なの? 詳しい内容聞いていないんだけど」


(聞かずに快諾したんかい)


 レオンは内心で突っ込みながら、シュリに軽く解説する。


「ゴウル鉱山道の調査任務だ。騎士団が主導になるから、俺たちはその護衛と、調査協力って形になる」


 構成員は騎士団が四人、B級冒険者三人のパーティーが一組。それとレオンたち三人だ。

道案内ができ、かつ、戦力が十分なレオンたちが先頭を務めている。

 中衛には物資を運ぶ騎士団。殿軍はB級パーティー。手堅い構成でケルドの森を進んでいた。今のところ、手強い敵に当たってはいない。


(というか、シュリとカグヤがぎゃあぎゃあ騒いでいるせいで、魔獣も寄って来ないんだよな……)


 夫婦喧嘩は犬も食わないというが、この二人の喧嘩は魔獣も寄り付かないらしい。仮に来たとしても、一瞬で瞬殺されるのが目に見えているが。

 おかげで、レオンはある程度、気を抜いて道を進むことができている。

 ふむふむ、とシュリが頷く傍らで、カグヤは顎に人差し指を当てて考えている。


「……何か引っかかることでもあるのか? カグヤ」

「ん……そうですね。ひとまず思っていたのは、例の魔獣とこの依頼が直結するか、という点ですね。レオンさん」


 例の魔獣、というのはアシュタル村の依頼で遭遇したザリカニのことだろう。

 異常事態というなら、ゴウル鉱山道の一件だけでなく、あれもそうだろう。レオンは軽く頷きながらケルドの森をぐるりと見渡す。


「それに限らず、このケルドの森にも関与はしているとは思う。魔獣の動き方が明らかにおかしいし……実りも悪いだろう?」


 通りかかった一本の木に触れる。そこには実っているはずの果物がほとんどない。足元には齧られて芯だけになった果実が一個だけころんと転がっている。

 他の木々もまた、木の皮が剥げているものもある。食われ過ぎて立ち木枯れしたものもあるようだ。それを眺め、シュリが小さくつぶやく。


「もしかして、ユニコーンがこのあたりまで来ていたのも……」

「ああ、その影響だったのかもしれない」

「それらにゴウル鉱山道の異変が関わっているとなると、これはかなりきな臭い案件ですね。もしかしたら、大規模な異変がある可能性すらある、と」

「そうなるな。そして、予期しない魔獣に出会う可能性もある」


 例えば、アシュタル村で出現した黒いザリガニ型の魔獣のように。カグヤは神妙な顔つきで頷くと、同意するように頷いた。


「それを念頭に行動するようにします」

「ああ、頼んだぞ。カグヤ」


 レオンが頷き返せば、カグヤは信頼を込めた眼差しと共に微笑んだ。それから視線を少しだけ動かすと、何故か勝ち誇ったような表情を浮かべる。

 それに反応したのは、当然ながらシュリだ。かちんと来た様子で表情をこわばらせる。だが、彼女が口を開く前にレオンは先んじてシュリに視線を向けた。


「シュリも頼りにしているぞ」

「え、ええ、もちろん! フォローは任せなさいっ!」


 シュリは一瞬戸惑っていたが、すぐに弾けるような笑みを浮かべる。その後にカグヤに向けて、今度はシュリが勝ち誇った笑みを返している。

 二人の視線が衝突し、またさらに殺気立つ。


(……これは、また口論の流れかな……)


 二人のことを徐々に理解しつつあったレオンは、避けられない流れを感じ取りつつ、深々とため息をこぼす。そのため息が消え入らないうちに、二人の罵声がレオン越しにぶつかり合った。

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