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【番外編】俺の色、ハイネの色


 ついに指輪が出来た!

 俺は騎士団からの帰り、店に寄って受け取ってきた。

 いつ渡そうか。ハイネは今、入浴中だ。

 お風呂出てすぐ?

 いや、急に渡されても困るよな。

 眠ってる間?

 まあ、いい案だがなんか違うな。

 イチャイチャした後?

 それ、いいんじゃね?

 決まりだ。さり気なくハイネとイチャイチャして、渡そう。

 でも待ってくれ。アグニス陛下、めちゃくちゃかっこよかったよな。片膝ついて。あれ、俺もやってみたい。いや、でも恥ずかしいな。


 ガチャ、と部屋に戻ってきたハイネと目が合う。


「何してるの?膝なんかついて」


「ああ、いやなんでもない」


 俺は立ち上がってソファに座った。

 指輪はとりあえず、ポケットにしまっておこう。

 俺の横に腰を下ろすハイネから風呂上がりのいい香りがする。思わず吸い寄せられるように首元の匂いも嗅いでしまう。

 舐めたくなるような甘い匂いも混じり、それは甘美な果実に近かった。

 

「ギルバー、ト……だめ」


「なんで?」


「だって、なんか今日のギルバート、野生の狼みたい」


 狼って、あの狼だよな。

 ハイネは顔を赤らめていた。


「なんか食べられそうで怖い」


「食べられるってこういう感じ?」


 ハイネの手をとって白くて柔らかい指に舌を這わす。


「んっ……」


 指を伝って、手の内側を舌先でなぞっていく。目線だけ、ハイネを見れば下唇を噛んで耐えている姿があった。

 可愛すぎるだろ。本当に食べてやりたい。

 人差し指を甘噛みし、舐めてみればハイネは肩を震わせ、足も震わせていた。

 たまらない。もっと、その顔が欲しい。


「ギルバート……っ」


「全部、甘い。食べたくなる」


「待って……ギルバート」


 ハイネは震えながら俺に寄りかかる。その姿を見ながら手に刻まれている線をなぞっていく。


「あっ、だめだっ、待って」


「待たない」


 一つ一つの線をなぞり指の間にも舌を這わす。ハイネは震えながら空いた片手で俺の上着を握りしめる。

 一通りしゃぶりつくし、満足した俺は、ハイネの手を解放した。

 最高だった。あの手に、指に俺が考えた指輪が嵌められると思ったら嬉しくてつい舐めてしまった。

 すごい達成感だ。

 ハイネが俺の手を取ると、甘噛みをし始め、先程の俺がしたことと同じことをする。

 こんなの誰が教えているんだ。

 一本一本の線がハイネによって食べられていくようだった。


「……続きしないの?」


 潤んだ瞳で上目遣いをされてしまったらもう無理だ。


「します」


 俺はハイネを抱き上げる。同時にポケットから箱が落ちてしまった。


「それなに?」


 ハイネを下ろして、箱を拾う。


「指輪、来たんだ」


「見たい!」


 ハイネの目が輝く。

 可愛い。可愛い。可愛い。なんで俺の嫁はこんなに可愛いんだ。

 箱を開けて見せるとハイネはわぁ、と小さな声を漏らしていた。

 良かった、喜んでくれて、嬉しいなぁ。

 ふと、ハイネは自分の手を見て何か考え始めた。


「一回、手洗ってくる!」


 走って部屋を出ていく。

 俺がさっき、べろんべろんに舐めたからか。

 息を切らしてハイネは直ぐに戻ってきた。にこにこと早く付けて、と言わんばかりの笑顔だ。

 俺はその手を取り、ハイネに指輪を見せる。


「これ、内側に俺の瞳に似た宝石が埋め込まれてるんだ」


「ほんとだ」


 内側には俺の瞳の色に似た小さくて暗めのブルーサファイアが密やかに輝いている。

 俺はそれをハイネの薬指に嵌めていく。

 なんだっけな。健やかなんとか、思い出せ俺。


「健やかな時も病める時も……貴方を愛し、敬い、この命ある限り……幸せにすることを誓います」


 だいたい合っているだろう。俺はハイネとの結婚式でちゃんとした言葉を言ってやれなかった。

 俺はハイネの指に口付けを落とす。


「……なんかおとぎ話みたい」


「ハイネも俺に付けてくれるか?」


 ハイネが指輪をとって中を覗く。


「あ、こっちは僕の色だ」


 俺の指輪にはハイネの瞳の色に似たオレンジサファイアを埋め込んでもらった。

 ハイネは俺の手を取ると薬指に嵌めてくれる。


「さっきのなんだっけ、えっと……僕も……この命ある限り、貴方を愛して敬い幸せにすることを誓います」


 恥ずかしそうに、へへ、と笑うハイネは満足そうに微笑む。


「よし、じゃあベッド行こうか」


「えー、僕まだ指輪見てたい」


「今度は俺を見て」


「えー!」


 俺は笑うハイネを抱き上げベッドに連れて行った。

 洗われた手を甘噛みしながら、長い夜を二人で楽しんだ。


 


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