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予想に反して、晩餐会の滑り出しは順調だった。

カリームは初めユキに天候や伯爵の近状の話題をふり、次いで反対側の男爵家令嬢に話しかけた。

地位に応じたソツのない対応に、噂とは当てにならないもんだと思う。

隣の会話を聞きながら、ユキは今のうちにと食事を楽しみ始めた。


二人の会話から、どうやら男爵令嬢がカリームの婚約者候補であることが分かった。

給仕を頼む振りをして見ると、結構可愛い。

ちょっと地味目だが、上品で16とは思えない落ち着きだ。

これは強敵だな。

モグモグと柔らかいローストビーフを咀嚼しながら考える。あんまり美味しいので、何を考えてたか忘れた。


「ユキ、あなたは遠い東の国から来られたんですよね?」

「はい」

「どんなところですか?お聞きしても?」


話題を均等にとでも思ったのか、カリームがユキに話し出した。

仕方なくナイフの動きを止め、会話に付き合う。

外国(と言っても異世界だけど)の話は周りの興味もひいたのか、ユキの隣や正面のゲストも会話に参加し出した。

婚約者さんの隣の男は、自己主張が激しいようで、誰のどの話題でも「私が」「私の」と割り込むので、辟易したユキは早々に愛想笑いだけに切り替える。

右手でグラスを持ち左手を膝に置いていると、その手に何かを感じた。

ビクッとしてみると、カリームの右手がユキの手の甲を撫でている。


おいおい何してんのコイツ。


手をずらして逃げると、カリームは上体を寄せて囁いてきた。


「あなたのお国の女性は皆、このように白く柔らかな肌をお持ちなのですか?」

「どちらかというと、黄色味の強い肌の者が多いように思います」


そう答えながら身を引く。が、今度は腕を捉えられ、耳元に口を寄せられる。

婚約者の座を狙うなら我慢すべきか?と一瞬思うが、生理的嫌悪はいかんともし難い。

ちらりと反対側の正規婚約者を見やると、サッと目を反らされた。

容認されたのだろうか?助けを拒否されただけだろうか?


「硬くならないで。緊張しているのかな?」


カリームの手が二の腕から肩へと這う。ゾッと鳥肌が立った。

多分、助けを拒否されたのだろう。変態反対!ヘンタイハンタイ!

睨み付けようと顔を向けると、ちょうど顔を寄せていたカリームの唇がユキの頬をかすった。


ぎゃっ!


「大丈夫?良ければどこか別の部屋で休むかい?」


思わずカリームの手を握って振り払おうとするが、こんなとこで騒ぎを起こしてお世話になってる方々に迷惑はかけれん!と思いなおす。

一瞬の間を置いて、出来るだけ柔んわりと握った手を相手の膝に戻した。

すると、今度はカリームから手を握り返される。顔を上げると、ニヤリと笑うカリームと目が合った。

カリームが視線を下げる。

つられて視線を下げ、カリームの股間に釘付けになった。

何を見ているのか最初は脳が整理できなかったが、数秒でソレを認識できた。


・・・・なんで勃起してんの?


カリームの股間は膨らみ、事もあろうか若干の動きまで見せていた。


こいつやばい。


手を引きながら周りに助けを求めて目を遣るが、故意かどうか分からないが誰もこちらに注意を向けない。


・・・・仕方ないよね。自己防衛だよね。


ユキはスウッと息を吸い込み大きな声で叫んだ。


「いやーーーっ!カリーム様のお膝にネズミがーーーっ!」


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