一夜
....どれくらいたったのだろう。
私は彼に言われた言葉を聞いて、考えた。
まだここを離れるわけにはいかない。約束を守れなければ私は追い出される。
どうしたらいい。....私が今すべきことは...。
グッと拳を握り締め、私は幻術を彼にかけた。
女の、妖艶な姿を作り出し、彼の元まで歩かせた。しかし彼は女を見るもその手を取ろうとしない。
幻術は効いているはず...。本能で本物ではないと気づいているの...?
最後の手段で私は元の姿に戻った。
「....あの人たちに捕まるくらいなら、私はなんでもするわ」
元の姿に戻り、私は彼のもとへ歩みを進める。
すると彼は目を見開いたまま固まっていて、私はその手を取った。
びくりと反応した彼の手を絡める。
中腰になって、前屈みになって、私の長い髪がその手の上にかかる。
そのまま彼に覆い被さり、上から彼を見つめた。
「っっ」
彼は私を喰らった。それはもう激しく。
途中から私の記憶は途切れてる。初めての経験で意識は保てなかった。
朝目が覚めてまず確かめたのは鼻血が出ていないかだった。
のぼせるような感覚で、熱くてたまらず、鼻血を出しそうだった。
幸い鼻血を出しておらずホッとするも、鏡に映った私の姿に驚愕する。
至る所に噛み跡、噛み跡、噛み跡。
隣で眠る彼に視線を向ける。
落ち着いたように眠る彼の頬を好奇心でつねってみる。
もちもちだった。
すると、従者が扉の外から声をかけてきた。
「バルド様、起きておられますでしょうか?」
そう声がかかり、彼が目を覚ましそうだったので咄嗟に私は子供に戻り、体の跡も消した。
それと同時に彼が目を開けた。
目を開けた事ですっぽんぽんの私の姿が目に映り、彼は眉をしかめた。が、すぐ扉の向こうにいる従者に返事をした。
その返事を聞いて従者が部屋に入ってくる。
「大変申し訳ないのですがすぐ見ていただきたい資料が......」
バサっと持っていた資料が散らばった。
視線は、ベッドの上にいる上半身裸の男と、すっぽんぽんの幼女を見つめている。
「バババババルド様....ここここここれは....」
衝撃と動揺のあまり噛みまくっている。
けれどハッとして急いで私に駆け寄って毛布をかけてくれた。
「ま!まさかバルド様が幼女趣味をお持ちだったとは....!」
そう言われ、彼は従者に枕を投げた。
「違う!こいつが大人の姿になったんだ」
そういうも従者は
「う、うそです!どんな女を放り込んでも何もなかったバルド様が...!まままさか幼女趣味だったなんて...!」
「だから違うっつてるだろ!こいつが....っ...いや、いい」
そう言うと彼は寝室から出ていった。
それから置いてけぼりにされた私は実は一つ彼の情報を手に入れていた。




