黒幕
俺は避けてから腕を捻ろうとした瞬間に、王宮の警備隊が押し寄せて入ってきた。
「バルド大公、王太子殿下の不法侵入にて捕縛命令が下されました為ご同行願います。
また、王太子殿下につきましては姫様の監禁及び殺害のため捕縛命令が下されましたためご同行願います。」
俺はその言葉とともに俺は罪人となった。だがもう良い。彼女がこの世から居なくなってしまい生きる気力もない。元凶も捕まった。俺はこの問題は終わりを告げられたと思っていた。
____牢獄であいつと2人きりになるまでは。
「はははははは」
狂ったように笑う殿下を睨み続けるバルド。
そんなバルドに殿下は笑って告げる。
「やられた。結局父上の手のひらだったのかなー.....はぁ」
そう空を仰ぎながら笑う殿下。
バルドは押さえつけられてる手錠をガシャりと鳴らし前のめりで殿下に問う。
「なんだと?どういうことだ...?」
「....俺だけじゃないんだよ。リーリアを愛していたのは」
殿下はもう諦めたかのように話す。
「お前リーリアの母親が死んだのは調べたか?」
そう問われてバルドは頷く。
それを聞いた殿下は
「表向きじゃ母上....皇后が側妃に渡したお茶に毒が入っていたとなっているかそうじゃない」
....俺の調べでもその話だったからリーリアの母親が亡くなったのは皇后に疎まれたからだと思った。...がちがうのか...?
「あれは国王陛下の仕業だ」
その言葉にバルドは見開く。
「なんだと?!」
「国王陛下である父上はたしかに側妃を愛したさ。勿論そこに嘘はない。....だが日に日に綺麗になっていくリーリアに惹かれたのだ。そして...いらなくなった側妃を殺したんだ。」
それだけじゃない。と続ける。
「父上は俺とリーリアの婚姻を結んだ。俺が次期国王であり、そうなればリーリアを王宮内に留まらせられるからだ。」
言わずもがな自分がリーリアを愛していたとて側妃の娘であったリーリアを娘ではなく女として愛したなど世間体が悪い。だから俺に嫁がせると言った。勿論俺には全てを話してくれた。
そして俺と結婚したらリーリアは俺にもよこせと言ったんだ。
そう告げるとバルドは何も言わない。下を向いていて彼の表情が分からない。
それでも話は終わらない。
「俺も承諾したさ。元々手に入らなかったはずで、喉から手が出るほど欲しかった女だった。俺だって妹として見たことなんて1度もありはしない」
そう言って殿下はバルドの吊るされたてから血が滴り落ちるのを見て笑っていた。
バルドは繋がれたてから握りしめた拳が手のひらにくい込んでそこから血を流しているにも関わらず、黙って聞いている。
「だけどあいつが......」
リーリアが逃げ出したんだ。
その言葉にバルドの目から一滴の涙が零れた。
彼女はこの城に、本当に1人だったのだ。
味方などいなくて、本当の家族がいなくなり、寂しかっただろう。せめて義父や義兄、義母に家族として暖かく愛してもらえてれば幸せだったはずなのに___。向けられた感情は家族とは違う、淀んだ愛情___。
「お陰で俺だけのものにできると思った。それからは慎重だった。父上と母上に悟られないようにリーリアを連れてくる為に緻密な計画を立てた。」
そう言う殿下の瞳はキラキラとその時の感情を思い出しているのか声も弾んでいた。
「やっと捕まえて、バレてないと....思ってたのに....」
国王陛下にはお見通しだったという訳か....。
「どうやってリーリアの居場所を突き止めた?」
そう聞くと笑いながら教えてくれた。
「あいつが風邪をひいて倒れてた時があって、意識が朦朧としてて、その時に手首の中に埋め込んでおいたんだ...。どこに行っても分かるように....♡」
それがまさか逃げ出したリーリアを探すのに役立つとは思ってなかったけど。
と嬉しそうに語った。
狂っている。こんなの人にすることじゃない。
聞いてて胸糞悪いがまだ聞きたいことは沢山あった。




