行方
「バルド様、私貴方に話したいことがあります。....聞いてくれますか?」
そう言った彼女の言葉に頷く。
「でも今ではなく帰ったらにしましょう」
せっかくこんなにきれいな景色、堪能しないと!と彼女は花に向かって駆け出した。
小さな体は花に埋もれ、隠れてしまった。
「リーリア」
彼女のあとを追いかける。
けれど不思議なことに彼女の姿がなかった。
「リーリア?」
彼女の名前を呼んでも返事がない。
「....リーリア!!?」
とうとう駆け出して彼女を探す。
けれど彼女の姿は見えなければ声も聞こえない。
「驚かせようとしてるのか?...十分驚いたから出てこい」
そう言っても辺りは静かで。
探しまくって日が暮れてしっても彼女はいない。
従者に捜索部隊を編成し直ちに捜索いたします。1度バルド様はお戻りに...
そう言う従者の声も顔も険しい。
俺たち以外にも人はいた。こんなに人がいる中で誘拐...?あんな一瞬で...?それにこんな人混みの中彼女だけ連れ去るなんておかしい。...初めから彼女が目的だったと考えられる。
そこまで分かるのに....俺は彼女のことを何も知らない。
知らないからこそ...何も出来ない。
こんな状況をもどかしく思いながら、血が滲むほど気づけば手を握りしめていた。
「...あの花畑にはリーリア様は見つかりませんでした」
数刻後、騎士達が報告したのは、リーリアが見つからないという報告だけだった。
「...リーリアという名前の貴族を...探してくれ。...たのむ」
呪われていた頃よりも苦しんでいそうな悲壮感漂う中、彼女の存在はいつの間にか大きくなっていたことを自覚していた。




