憑依
そうと決まれば丁度冬の季節だ。
私はバルド様から人狼が暮らす森を教えてもらい、その森近くへ二人で向かった。
「ここですのね」
そう聞くとバルド様は頷いたので、私は記憶の欠片の森と比べる。
ここではない気がする。
「少し、散策してきます」
そう言うとバルド様は顔を顰め、この森には近づかない方がいい。と言ったけれど、どうしても知りたいことがあるのでと言って森の中へ向かった。
一人で向かったはずなのに何故か後ろにはバルド様が着いてきた。
「大丈夫ですか?」
ここら辺はまだ大丈夫なのか顰め面で頷く。
私が見た景色は見当たらない。日が落ちてくる。大丈夫、まだ雪が降るには少し早い時期だ。
「日が落ちる。今日はもう戻ろう」
そう言われ、私は素直に頷いて宿に向かう。
宿は綺麗で、勿論別々の部屋だった。
ひとりで入ってベッドに倒れ込んだ。
「ここにずっと滞在する訳にもいかない。もし今年じゃないなら何とか言い訳をして、冬はここを見ていてもらえるようにしないと」
契約は守れないけど、糸口は見つかったのに何もしないなんて気がかりだ。
出来ることは伝えてあげよう。
そう頷くと私は眠った。
隣から呻き声が聞こえ目が覚めた。
初めは何かのホラー現象かと思った。
けど違う。これは隣の部屋から聞こえる彼の声だ。
仕方ない。と隣の部屋に向かう。
もちろん錠がかかっている。
だから従者の人に取り憑いた。借りたからだで扉を開けた。
「...よし」
彼を1度部屋に帰し、再度バルド様の部屋に来た。入ると彼は苦しそうに悶えていた。
「...大丈夫私なら出来る...」
私は今度は彼の身体に取り憑いた。
「...っっゔっ....」
あつい、くるしい、寒い。いろんな感情が湧き上がる。
「はぁっ.....はっ....」
耐える。何時間経ったのか、それとも何分なのか...。
気づけば日が上がり始め、体が落ち着き始めた。
私はもう大丈夫だろうと彼の身体から抜け出る。
彼は深い眠りについていて、私は力尽きて隣で横になってしまった。




