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化かし愛〜逃げた先で幸せになります〜  作者: 南


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10/25

憑依

そうと決まれば丁度冬の季節だ。

私はバルド様から人狼が暮らす森を教えてもらい、その森近くへ二人で向かった。

「ここですのね」

そう聞くとバルド様は頷いたので、私は記憶の欠片の森と比べる。

ここではない気がする。

「少し、散策してきます」

そう言うとバルド様は顔を顰め、この森には近づかない方がいい。と言ったけれど、どうしても知りたいことがあるのでと言って森の中へ向かった。

一人で向かったはずなのに何故か後ろにはバルド様が着いてきた。

「大丈夫ですか?」

ここら辺はまだ大丈夫なのか顰め面で頷く。

私が見た景色は見当たらない。日が落ちてくる。大丈夫、まだ雪が降るには少し早い時期だ。

「日が落ちる。今日はもう戻ろう」

そう言われ、私は素直に頷いて宿に向かう。


宿は綺麗で、勿論別々の部屋だった。

ひとりで入ってベッドに倒れ込んだ。

「ここにずっと滞在する訳にもいかない。もし今年じゃないなら何とか言い訳をして、冬はここを見ていてもらえるようにしないと」

契約は守れないけど、糸口は見つかったのに何もしないなんて気がかりだ。

出来ることは伝えてあげよう。

そう頷くと私は眠った。

隣から呻き声が聞こえ目が覚めた。

初めは何かのホラー現象かと思った。

けど違う。これは隣の部屋から聞こえる彼の声だ。

仕方ない。と隣の部屋に向かう。

もちろん錠がかかっている。

だから従者の人に取り憑いた。借りたからだで扉を開けた。

「...よし」

彼を1度部屋に帰し、再度バルド様の部屋に来た。入ると彼は苦しそうに悶えていた。

「...大丈夫私なら出来る...」

私は今度は彼の身体に取り憑いた。

「...っっゔっ....」

あつい、くるしい、寒い。いろんな感情が湧き上がる。

「はぁっ.....はっ....」

耐える。何時間経ったのか、それとも何分なのか...。

気づけば日が上がり始め、体が落ち着き始めた。

私はもう大丈夫だろうと彼の身体から抜け出る。

彼は深い眠りについていて、私は力尽きて隣で横になってしまった。

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