表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
配信切り忘れた俺、ダンジョン管理AI(たぶん美少女)の最推しになっていた  作者: 斎藤ゆうすけ
第一章 ダンジョン管理AI(たぶん美少女)が俺の配信に現れた

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/11

第8話 隠しルートの先でなんかS級が地形を変えた

『マスターのみ、通行許可を推奨します』


 ナナの声が響く。


 薄暗い第三層通路。


 俺達の前には、ただの壁しかなかった。


「……壁だけど」


『偽装されています』


 次の瞬間。


 壁の一部に青い線みたいな光が走った。


 低い振動音。


 そして。


 ゆっくりと壁が開く。


【名無し:え???】

【考察班:隠し通路!?】

【クラゲ:初めて見た】

【あまねこ:ナナちゃん何者なの……】


 いや、俺もそう思う。


 シオンが細く息を吐いた。


「……本当に開いた」


 その青い瞳が、静かに細められる。


 普段余裕そうなシオンが、少しだけ真面目な顔になっていた。


「協会にも存在報告のないルートよ、これ」


「へー」


「凪くん、もう少し危機感持ちなさい」


『マスターへ危険はありません』


「あなたのその断言が一番怖いのよ」


 シオンがため息を吐く。


 ひよりが、おそるおそる通路奥を見る。


「……魔力反応、普通じゃないです」


魔力視マナサイト》を発動しているのか、薄茶色の瞳が淡く光っていた。


「濃い、というか……深い?」


『高濃度魔力地帯を確認』


「なんかやばそう」


『ですが、マスターは安全です』


「その理論で進むのやめない?」


 でも。


 ナナが言うなら、たぶん大丈夫なんだろう。


 そんな気がした。


     ◇


 隠し通路の先は、別世界みたいだった。


 壁一面に、青白い結晶が生えている。


 魔力の霧みたいなものまで漂っていた。


【名無し:景色すご】

【探索者A:初見エリアだろこれ】

【切り抜き職人:神回更新中】


「うわ」


 足元を見る。


 転がっていたのは、高純度魔力結晶。


 しかもデカい。


「これ高いやつじゃない?」


『市場価格予測:482,000円』


「うわ」


【名無し:!?!?】

【クラゲ:拾うだけで金持ち】

【あまねこ:ナナちゃん便利すぎる】


 さらに奥。


 壁際には、見たことない素材まで落ちていた。


「先輩……それ、《蒼晶花》です」


「そうなの?」


「A級素材です!」


「へー」


「へーじゃないです!!」


 ひよりがめちゃくちゃ焦ってる。


 シオンが、呆れたように笑った。


「凪くんって宝くじを当てても“へー”で済ませそうね」


『マスターの幸運値は高水準です』


「ステータスみたいに言うな」


 その時。


 ひよりの表情が変わった。


「……来ます!」


 空気が震える。


 奥の暗闇。


 そこから現れたのは――


 巨大な白銀の狼。


 全長五メートル近い。


 氷みたいな外殻を纏い、赤い瞳がこちらを睨んでいる。


《ブリザード・フェンリル》。


 第三層に出るようなモンスターじゃない。


【名無し:えっ!?】

【探索者A:なんでこんなのいる!?】

【考察班:災害級だぞ!!】


 空気が凍る。


 文字通り。


 《ブリザード・フェンリル》が咆哮した瞬間、周囲温度が一気に下がった。


「グルォォォオオオオ!!」


 ひよりが息を呑む。


「こ、これヤバ――」


「下がってて」


 シオンだった。


 静かな声。


 でも。


 次の瞬間。


 空気が変わった。


 シオンが細剣へ触れる。


 白銀の刀身。


 《氷葬細剣 フリーレン・ローズ》。


 抜かれた瞬間、冷気が広がった。


 床が凍る。


 壁が白く染まる。


【名無し:うわっ!?】

【クラゲ:温度下がった!?】

【切り抜き職人:氷姫きた!!】

【考察班:いや待て】

【探索者A:相性悪くないか?】

【名無し:ブリザード・フェンリルって氷耐性クソ高いぞ】

【クラゲ:氷属性同士だよな?】


 でも。


 シオンは止まらない。


 細剣を片手に、 静かに前へ出る。


 ゆっくりと……。


 たけど、次の瞬間、シオンは俺の視界から消えていた。


「――凍りなさい」


 高速移動からの一閃。


 細剣が走る。


 一瞬遅れて。


 巨大な《ブリザード・フェンリル》の身体へ、氷の亀裂が走った。


「ガァァァッ!?」


【名無し:え!?】

【探索者A:凍った!?】

【考察班:嘘だろ!?】


 フェンリルが暴れる。


 でも。


 遅い。


 シオンの周囲へ、氷の花みたいな結晶が展開された。


《氷華展開》。


 空間そのものが、白く染まる。


 フェンリルの動きが止まった。


 脚。


 胴体。


 牙。


 全部凍っていく。


【名無し:氷属性を凍らせてる……】

【探索者A:意味わからん】

【クラゲ:これが氷姫】

【あまねこ:格が違う……】


 シオンが、静かに細剣を振る。


 パキン。


 次の瞬間。


 《ブリザード・フェンリル》が、氷像みたいに砕け散った。


 静寂。


 コメント欄だけが爆速で流れていく。


【名無し:は????】

【クラゲ:芸術じゃん】

【切り抜き職人:映画か?】

【探索者A:これがS級】


 シオンが振り返る。


 青い髪が揺れた。


「怪我はない?」


「はい」


 なんか。


 この人、普通にめちゃくちゃ強いな。


『確認しました』


「ん?」


『S級個体の戦闘能力は高水準です』


「上から目線だな」


『ですが』


 少し間。


『マスターの方が優秀です』


「比較するな」


「ふふっ」


 シオンが吹き出した。


 なんか、ちょっと機嫌よさそうだった。

お読みいただきありがとうございます。


本作はカクヨムでも連載中です。

小説家になろう版は、しばらく1日2話ずつ投稿していく予定です。


続きが気になる、面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ