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配信切り忘れた俺、ダンジョン管理AI(たぶん美少女)の最推しになっていた  作者: 斎藤ゆうすけ
第三章 キャンプ場でのドキドキ潜伏生活

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第70話 なんかトーナメント表が不穏だ

 学園祭まで、あと四日。


 朝のホームルームが終わると同時に、教室の外が一気に騒がしくなった。


「武闘会の組み合わせ、貼り出されたぞ!」


「マジか!」


 そんな声につられ、クラスメイトたちが廊下へ飛び出していく。


「先輩!」


 振り返ると、ひよりが小走りでこちらへやってきた。


「見に行きませんか?」


「そうだな」


 二人で人混みの中へ向かう。


 昇降口前の掲示板には、大きなトーナメント表が貼り出されていた。


「すごい人ですね……」


 まさか、りくの企画がここまでウケるとは……。


「おっ、シオン先輩はこっちか」


「やっぱりシードなんだ」


「当然だろ。S級探索者だぞ」


 掲示板の前では、そんな声が聞こえてくる。


 トーナメントの左。


 氷鉋シオン。


 名前の横には「シード」の文字。


「右のブロックにもシードがいるぞ」


「……推薦選手?」


「探索者協会推薦……?」


 視線を移す。


 そこには、


 鑪璃艶


 という名前があった。


「協会の人?」


「招待選手らしい」


「へぇ」


「どんな人なんだろ」


 生徒たちも、それ以上は知らないらしい。


 当然か。


 協会内部の人間を知っている高校生なんて、そうそういない。


 俺はトーナメント表を静かに見つめた。


 シオンは左。


 璃艶は右。


 順当に勝ち上がれば、決勝で当たる配置だ。


 もちろん、トーナメントに"絶対"はない。


 それでも、この組み合わせには何か意図を感じた。


「先輩?」


「いや」


 考えすぎか。


「ひよりは一回戦からだな」


「はい!」


 ひよりは自分の名前を見つけ、小さく拳を握った。


「頑張ります!」


「応援してる」


「ありがとうございます!」


 その笑顔には、以前より自信があった。


 少しずつ、彼女は強くなっている。


     ◇


 昼休み。


 俺は体育館へ向かった。


 実況席の最終リハーサルがあるからだ。


「大豆島君!」


 ステージの上から元気な声が飛んでくる。


 ユイ先輩だった。


「遅いのである!」


「五分前ですよ」


「早め行動は大事なのである!」


 今日も絶好調だ。


 実況席には、本番と同じ機材が並んでいた。


 大型モニター。


 実況用マイク。


 選手データを表示するタブレット。


 想像以上に本格的で、少し緊張する。


『マスター』


 聞き慣れた声。


 振り向くと、ナナが俺の隣へ立っていた。


 白いワンピースの裾が、わずかに揺れる。


『ここが実況席ですか』


「ああ」


『視界が良好です』


 ステージ全体を見渡し、


『競技エリア全域を確認できます』


「分析には良さそうだな」


『はい』


 一拍置いて、


『マスターの隣という点も高評価です』


「……そこも評価項目なんだ」


『最重要項目です』


 真顔で言う。


 思わず笑ってしまった。


「ありがとう」


 ナナは一瞬だけ目を細める。


『三十一回目です』


「やっぱり数えてるのか」


『もちろんです』


「律儀だな」


『マスターからの感謝は、保存対象です』


「保存までしてるの?」


『はい』


 少しだけ誇らしそうに頷く。


 その仕草が可愛くて、また笑ってしまった。


「また笑いました」


「ごめん」


『謝罪は不要です』


 ほんの少しだけ。


 ナナの口元も柔らかくなった気がした。


     ◇


「それでは!」


 ユイ先輩がマイクを持つ。


「実況リハーサル開始である!」


 大型モニターに昨年の武闘会映像が映し出される。


「開始早々、距離を詰めるー!」


 元気いっぱいの実況。


 俺も自然に口を開く。


「前衛型ですね。先に間合いを支配したいタイプです」


「なるほど!」


「ただ、相手は待っています。焦って踏み込むとカウンターを狙われます」


「おおー!」


 ユイ先輩が大げさなくらい感心する。


「さすが解説!」


「勉強になるわ」


 カオリ先生も頷いた。


『マスター』


 ナナが小さな声で言う。


『非常に分かりやすい解説でした』


「そうか?」


『はい』


 真っ直ぐな瞳で見上げてくる。


『本番も安心です』


 そう言われると、少しだけ自信が湧いてきた。


 武闘会まで、あと四日。


 俺の仕事も、いよいよ本番を迎えようとしていた。

お読みいただきありがとうございます。


本作はカクヨムでも連載中です。


続きが気になる、面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。

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