第67話 宣伝配信がなんか予定どおりに終わらないんだが
学園祭まで、あと七日。
放課後。
俺は部室で配信の準備をしていた。
「今日は学園祭の宣伝だけだからな。」
『了解しました。』
ナナが隣で頷く。
『配信時間は三十分を予定しています。』
「短めに終わらせよう。」
そのはずだった。
◇
『配信スタートです!』
【クラゲ:待ってた】
【しろまる:こんばんは】
【ねむ太:今日は学園祭回?】
「こんばんは。」
「今日は学園祭のお知らせです。」
画面にポスターを映す。
「来週から学園祭が始まります。」
「探索者武闘会やコスプレ喫茶もあるので、来られる人はぜひ。」
【名無し:武闘会楽しみ】
【しろまる:シオンさん応援】
【ナナちゃん親衛隊:ナナちゃんメイド見たい】
「最後のコメントは忘れてくれ。」
『忘れられない可能性が高いです。』
ナナが冷静に分析した。
◇
「そういえば。」
コメントを読んでいたナナが首を傾げる。
『マスター。』
「ん?」
『"ナナちゃんは接客しますか?"という質問が多数あります。』
「しない。」
『ですが、ユイ先輩はナナにも参加すようにと言っていました。』
「……。」
嫌な予感しかしない。
【しろまる:看板娘確定】
【ナナちゃん親衛隊:ナナちゃん指名できますか】
【切り抜き職人:整理券ください】
「指名制度はありません。」
『少し安心しました。』
「安心するところなのか?」
『はい。』
ナナは真剣だった。
◇
その時。
『お邪魔しまーす!』
「げっ。」
エイトが画面へ乱入した。
『重大発表です!』
「ない。」
『あります!』
ホログラムが映し出される。
【学園祭限定グッズ(予定)】
・ナナ缶バッジ
・ナナアクリルスタンド
・ナナステッカー
「全部ナナじゃねぇか!」
『需要がありますので!』
【あいこ:欲しい】
【ナナちャん親衛隊:買う】
【ねむ太:通販ありますか】
「乗るなコメント欄!」
◇
ナナはコメント欄を見つめる。
『……人気があります。』
「そうだな。」
『嬉しいです。』
少し照れたように笑う。
「でも、調子に乗るなよ。」
『はい。』
一拍置いて、
『マスターも人気があります。』
「急にどうした。」
『コメント欄の七十八パーセントが、マスター目当てです。』
「分析したのか。」
『しました。』
そんなことまで調べるのか。
◇
配信終了後。
機材を片付けながら、俺は小さく息をついた。
「結局、三十分じゃ終わらなかったな。」
『四十八分でした。』
「エイトのせいだ。」
『否定できません。』
ナナがくすっと笑う。
最近、笑うことが増えた。
「じゃあ帰るか。」
『はい。』
ナナは自然に俺の隣へ並ぶ。
夕暮れの廊下を二人で歩く。
学園祭まで、あと七日。
楽しみと少しの不安を抱えながら、その日は静かに過ぎていった。
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