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配信切り忘れた俺、ダンジョン管理AI(たぶん美少女)の最推しになっていた  作者: 斎藤ゆうすけ
第一章 ダンジョン管理AI(たぶん美少女)が俺の配信に現れた

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第6話 なんか管理AI(たぶん美少女)は国家機密らしい

「それでは、本題へ入らせていただきます」


 協会職員の人が、ようやく話を戻した。


 ちょっと疲れてそうだった。


 たぶん俺達のせい。


「昨日の配信についてですが……」


「はい」


「まず確認です。現在、あなたと会話している存在は、本当に中央ダンジョン管理AIなのですね?」


『肯定します』


 ナナが即答した。


 職員の肩がびくっと震える。


 なんかちょっとかわいそう。


「……失礼ですが、もう一度、識別コードを」


『Central Dungeon Management AI : No.07』


 部屋の空気が変わった。


 職員の人が黙る。


 隣の職員も黙る。


 ひよりも固まってる。


 なんか。


 空気が重い。


「えっと」


 手を上げる。


「そんなヤバいやつなんですか?」


 職員二人が、同時にこっちを見た。


「めちゃくちゃヤバいです」


「へー」


「へー、じゃありません!」


 怒られた。


 なんで。


 シオンが肩を震わせる。


 笑ってるなこれ。


「凪くん。中央管理AIっていうのはね」


「はい」


「ダンジョンそのものを制御する存在なの」


「ダンジョンを?」


「ええ。魔力循環、モンスター発生、転移管理、階層維持……全部」


「うわ」


 なんか、急にすごそうになった。


『補足します』


「ん?」


『それらのタスクよりもマスターの危険因子を排除することが優先されるように再設定されました』


 一瞬。


 部屋が静かになる。


「え?」


 職員が青ざめた。


 シオンが片手で額を押さえる。


 ひよりが固まる。


「ナナちゃん!?」


『はい』


「今さらっと怖いこと言いませんでした!?」


『マスターの保護は最優先事項です』


「重っ」


 シオンが、深くため息を吐いた。


「……やっぱり」


「何がです?」


「その子、 凪くんにだけ甘すぎるのよ」


『否定します』


「説得力ないわね」


 職員が咳払いする。


 真顔だった。


「大豆島さん」


「はい」


「この件は、国家機密級案件です」


「うわぁ……」


 めんどくさそう。


 本当に。


「ですので、可能であれば配信活動の停止を――」


『拒否します』


 早かった。


 職員の言葉に、ナナが即答する。


「え?」


『マスターの行動制限は推奨されません』


「ナナ?」


『マスターは配信活動時、最も自然体に近い状態を維持しています』


「分析してるなぁ……」


『また、マスターは配信中に高確率で笑います』


 一瞬、シオンが吹き出した。


 ひよりも耐えきれず顔を逸らす。


 職員だけ真顔。


「いや、えっと……」


『マスターの精神安定へ大きく寄与しています』


「なんか恥ずかしいんだけど」


『事実確認です』


 シオンが、楽しそうにこっちを見る。


「ふふっ。配信してる時、ちゃんと楽しそうなのね」


「そうですか?」


「ええ。今よりずっと」


「それはちょっと失礼じゃない?」


 ふと疑問に思う。


「そういえば」


「ん?」


「なんで二人ともここいるんです?」


 ひよりが、ぱっと手を上げた。


「はい!」


「授業か?」


「私、シオンさんのお手伝いしてるんです!」


「へー」


「へー、じゃないです! 協会公認のサポートスタッフですよ!?」


「初めて知った」


「今初めて言いました!」


 なんか元気だな。


 シオンが笑う。


「ひよりちゃん、昔から私に懐いてるのよ」


「だってシオンさん、同じ学校の先輩ですし!」


「そうなの?」


「有名ですよ? 学校で知らない人いません!」


「へー」


「だからその反応なんなんですか!」


 職員が、また咳払いする。


「氷鉋さんには、今回の件の監察協力をお願いしています」


「監察?」


「S級探索者として、危険性を判断していただき、場合によってはしかるべき対処を」


「へー」


「凪くん」


「はい」


 シオンが、青い瞳を細める。


「来て正解だったわ」


「そうなんですか?」


「ええ」


 その視線が、まっすぐこっちへ向く。


「こんな面白い子、初めてだもの」


『警告』


「また?」


『この個体は、マスターへの興味関心が過剰です』


「お前もだいぶ過剰だけどな」


『否定します』


 早い。


 ひよりが、なんか複雑そうな顔で俺を見る。


「先輩……」


「ん?」


「やっぱり、遠い人になってません?」


「なってない」


「でも、S級探索者と仲良く話して、国家機密AIに懐かれてるんですよ?」


『懐く、ではありません』


「違うの?」


『ナナは、マスターを最優先しています』


「それ、ほぼ同じでは?」


『否定します』


 早い。


 ひよりが、じーっとイヤホンを見る。


「なんか、前より重くなってません?」


『懐く=従順という意味なら肯定します』


「やっぱ認めてるじゃん!」


 シオンが吹き出した。


「ふふっ……。本当にかわいいわね、その子」


『評価を確認しました』


「最近そればっかだな」


 職員の人が、頭を抱えていた。


「……前例がない」


「へー」


「本当に危機感あります?」


「たぶんそのうちなんとかなるかなって」


「ならないんですよ!」


 怒られた。


 今日めっちゃ怒られるな。


 シオンが笑ってる。


 絶対楽しんでる。


 その時……。


『警告』


「また?」


『現在、協会本部周辺に報道関係者が集結しています』


 部屋が静かになった。


「……は?」


 職員の顔が引きつる。


「なぜ分かるんですか?」


『監視中です』


「怖っ」


『マスター保護の一環です』


「怖っ」


 二回言った。


 ひよりが、おそるおそる聞く。


「えっと……。先輩、有名人になっちゃった感じですか?」


「いやだなぁ……」


 心からそう思った。

お読みいただきありがとうございます。


本作はカクヨムでも連載中です。

小説家になろう版は、しばらく1日2話ずつ投稿していく予定です。


続きが気になる、面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。

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