第5話 後輩がなんか赤くなってる
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本作はカクヨムでも連載中です。
小説家になろう版は、本日5話まで投稿し、明日からはしばらく1日2話ずつ投稿していく予定です。
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「誰?」
思わず聞く。
小柄な女の子は、
固まっていた。
顔が赤い。
なんか、こっち見たまま止まってる。
「え、あの、その……」
茶色い髪。
ふわふわした雰囲気。
やたら小動物っぽい。
あと、見覚えはある気がする。
「あー……」
思い出した。
「穂保ひより?」
「覚えててくれたんですか!?」
ぱっと顔が明るくなる。
うわ、反応でかい。
「同じ学校だし」
「でも先輩、学校で全然人の顔見ないじゃないですか!」
「そんなことない」
『肯定します』
「お前どっち側なんだよ」
ひよりが、おそるおそる近づいてくる。
「えっと……その……ナギ先輩が、例の配信者って本当なんですか?」
「たぶん」
「たぶんって!」
なんか元気だな。
シオンが、楽しそうにこっちを見ていた。
「知り合い?」
「学校の後輩です」
「へぇ」
シオンが目を細める。
なんか、面白がってる顔だった。
「ひよりちゃん」
「は、はい!」
「凪くんって、学校でもこんな感じ?」
「え?」
ひよりが俺を見る。
そのあと。
「……はい。ずっと眠そうで、ぼーっとしてて、でもなんかすごいです」
「雑!」
「あと女の子に興味なさそうです!」
「急になに!?」
シオンが吹き出した。
「ふふっ」
ナナの声が聞こえる。
『情報を確認しました』
「何を」
『マスターは学校内でも女性個体との接触頻度が低いようです』
「分析するな」
ひよりが、イヤホンをじっと見る。
「その声……本当にAIなんですよね?」
『ナナです』
「うわぁっ!?」
ひよりが飛び跳ねた。
リアクションでかいな。
「しゃ、しゃべった……!」
『会話機能を搭載しています』
「か、かわいい声……」
『評価を確認しました』
最近そればっかだな。
ひよりが、少しだけ顔を近づける。
「えっと……ナナちゃん?」
『はい』
「ナギ先輩のこと好きなんですか?」
「直球だな」
一瞬。
静かになる。
『……』
ナナが黙った。
珍しい。
シオンが楽しそうに笑う。
「気になるのね、ひよりちゃん」
「だ、だって! めちゃくちゃ彼女っぽいですし!」
『否定します』
早い。
『ナナは、マスターの観測を最優先しています』
「それを好きって言うんじゃ……」
『否定します』
二回目。
ひよりが、なんか生暖かい目になった。
「先輩」
「ん?」
「モテます?」
「ない」
『否定できません』
「お前さぁ」
シオンがまた笑う。
完全に楽しんでた。
「ねぇ、凪くん」
「はい」
「あなた、本当に無自覚なのね」
「何がです?」
「そういうところ」
「?」
分からん。
本当に。
ふと目をやると、ひよりが複雑な表情で俺を見ていた。
「……近いです」
どうやら俺とシオンの距離が近いことを指摘しているようだ。
「そう?」
「近いです」
大切なことなのだろうか、二回言った。
シオンが楽しそうに笑う。
「ふふっ。嫉妬?」
「ち、違います!」
ひよりの顔が真っ赤になる。
「ただ、その……先輩、なんか遠くへ行っちゃったみたいで」
「遠い?」
「だって、S級探索者に、美少女AIですよ!?」
『美少女判定を確認しました』
「ナナちゃんは黙っててください!」
『否定します』
「何を!?」
ひよりが完全に振り回されてる。
でも。
なんかちょっと、
しょんぼりしてた。
「昨日まで、いつものナギ先輩だったのに……」
「今もそうだけど」
「でも、なんか急に遠くへ行っちゃったみたいです」
「へー」
「へーじゃないです!」
ひよりが、ぎゅっと俺の制服の袖を掴む。
『警告』
「また!?」
『後輩個体による接触を確認しました』
「ナナちゃん怖いです!」
『監視対象です』
「お前もう隠す気ないだろ」
シオンが肩を震わせる。
完全に笑ってた。
「あなた達、本当に面白いわね」
『この個体は、マスターへの興味関心が過剰です』
「お前もな」
シオンが、楽しそうに目を細める。
「ふふっ……。本当にかわいいわね、その子」
『評価を確認しました』
「最近そればっかだな」
その時。
部屋の奥の職員が、
わざとらしく咳払いした。
「あの……そろそろ本題へ」
「あ」
忘れてた。
協会だったここ。
「そういえばそうだった」
『マスターは、現在まで雑談へ92%の注意力を使用していました』
「計測するな」
職員の人が、ちょっと疲れた顔をしている。
なんかすみません。
でも。
原因の半分くらいはシオンだと思う。
「うん、シオンが悪い」
「私?」
シオンが楽しそうに笑う。
「だって、凪くんが面白いんだもの」
「へー」
ひよりが、むっとした顔でシオンを見る。
なんか、面倒なやつが増えてきた気がする。




