表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
配信切り忘れた俺、ダンジョン管理AI(たぶん美少女)の最推しになっていた  作者: 斎藤ゆうすけ
第一章 ダンジョン管理AI(たぶん美少女)が俺の配信に現れた

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/12

第3話 協会に行ったらなんかS級探索者がいた

「……行きたくない」


 ベッドの上で言う。


『肯定します』


「お前もかよ」


 朝。


 ダンジョン管理協会から指定された時間まで、

 あと三十分。


 俺はまだベッドにいた。


『現在のマスターは、

 二度寝へ移行する可能性が高いです』


「する」


『推奨しません』


「なんで」


『協会職員からの心証が悪化します』


「もう悪いだろたぶん」


 昨日の配信を思い出す。


 ダンジョン管理AIとの遭遇。


 AIがなぜか俺を観察対象にした。


 配信切り忘れ。


 炎上。


「うわぁ……」


『マスター』


「んー」


『現実逃避を確認しました』


「便利だなお前」


 結局、適当に高校の制服へ着替えて家を出た。


     ◇


 ダンジョン管理協会。


 そびえ建つ白亜のビル。


 朝から探索者が多い。


 受付、依頼掲示板、素材買取。


 朝の駅みたいに騒がしい。


「帰りたい」


『マスターは入館から12秒で撤退を希望しました。マスターがこの施設を苦手にしていることを記録します』


「この施設が苦手というより、人多いの苦手」


『マスターは配信者です』


「コメント欄のリスナーは人にカウントしてないから」


『なるほど』


 納得するな。


 受付へ向かう。


「えっと……昨日電話もらった大豆島です」


 受付のお姉さんが、

 一瞬固まった。


 あ。


 これ絶対知ってる顔だ。


「……あの“配信切り忘れ”の」


「違います」


『事実確認:配信は切り忘れていました』


「黙ってろ、ナナ」


 受付のお姉さんが肩を震わせてる。


 笑ってるなこれ。


「こちらへどうぞ」


 通されたのは、

 上の階。


 普通の探索者があまり来ないエリアだった。


「嫌な予感がする」


『高確率で面倒事です』


「知ってた」


 案内された部屋の扉が開く。


 その瞬間。


 冷たい空気が流れてきた。


 いや。


 実際に温度が低い。


「……うわ」


 部屋の奥。


 長い青髪。


 黒いスーツ。


 机に脚を組んで座っている女性。


 綺麗だ。


 でも。


 先に来るのは威圧感だった。


【氷姫】


 探索者なら誰でも知ってる。


 S級探索者。


 氷鉋シオン。


「なんで氷鉋シオンがここに…?」


『S級探索者“氷姫”、氷鉋シオンを確認しました』


 その瞬間。


 イヤホン越しに、

 小さく電子音が走る。


『……高出力魔力反応を確認』


「ん?」


『危険度を再測定します』


「お前でもそういうのあるんだ」


 シオンがこっちを見る。


 青い目。


 静かなのに、

 妙に目を逸らしづらい。


「……あなたが大豆島凪くん?」


「そうです」


「配信、見たわ」


「うわぁ……」


『マスターの精神的ダメージを確認』


「実況するな」


 シオンが少しだけ笑った。


 綺麗な人が笑うと破壊力がすごい。


「安心して。今日は取り調べじゃないわ」


「じゃあなんです?」


「確認」


「何を」


 シオンが脚を組み替える。


 その動きだけで、

 なんか空気が変わる。


「あなた」


「俺?」


「昨日の回避。あれ、誰に習ったの?」


「いや別に」


「無意識で?」


「たぶん」


「……そう」


 シオンが立ち上がる。


 ヒールの音が静かに響いた。


 そのまま、俺の近くまで来る。


 近い。


 なんかいい匂いする。


「ねぇ、凪くん」


「はい」


「あなた、自分がどれだけおかしいか分かってないでしょう?」


「よく言われます」


『実際、マスターは極めて特殊です』


「お前まで言うのか」


 シオンが少しだけ身を屈める。


 距離が近い。


 青い瞳が、

 じっとこっちを見ていた。


「面白い子」


「はぁ」


「普通、私にそんな反応しないのよ?」


「そうなんですか?」


「ええ。もっと緊張するか、怯えるか……見惚れるか」


「へー」


「……本当に動じないのね」


『警告』


「ん?」


 ナナの声が少し低い。


『この個体は、マスターへ接近しすぎています』


 一瞬。


 部屋が静かになる。


 シオンの眉が少しだけ動いた。


「……このAI、嫉妬したの?」


『否定します』


「早かったな否定」


『ナナは、マスターの安全確保を優先しています』


「へぇ」


 シオンが、楽しそうに目を細める。


「かわいいAIね」


『……評価を確認しました』


「褒められてるぞ」


『ですが』


「ん?」


『この個体は危険です』


「面と向かって言うな」


 シオンが小さく笑う。


 なんか。


 この人、

 楽しんでるな。


「それで」


 シオンの視線が、俺の耳元へ向く。


 空気が変わる。


 静かになる。


「そのAI」


 数秒。


 沈黙。


『……ナナです』


 初めてだった。


 ナナが俺以外に自分から名乗ったのは。


 シオンだけが、静かに目を細める。


「……やっぱり」


お読みいただきありがとうございます。


本作はカクヨムでも連載中です。

小説家になろう版は、本日5話まで投稿し、明日からはしばらく1日2話ずつ投稿していく予定です。


続きが気になる、面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ