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配信切り忘れた俺、ダンジョン管理AI(たぶん美少女)の最推しになっていた  作者: 斎藤ゆうすけ
第二章 水着回のはずなのに世界の謎が増えていく

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第25話 なんか 深淵歌姫は、まだ答えをくれない

 地下湖が割れた。


 轟音。


 巨大水柱。


 そして、赤い単眼を光らせた機械魚が、水面を裂きながらこちらへ突っ込んでくる。


【名無し:でっっっか!?】

【クラゲ:無理無理無理!!】

【探索者A:ボス戦きたぁ!!】


『《Abyss Defense Type-L》』


 エイトが即座に解析を始める。


 赤いボブ髪のホログラム少女が、高速でウィンドウを展開した。


『旧深層防衛機構です!』


『要するに』


『めちゃくちゃ硬くて強いです!』


「雑!」


 怪物が咆哮する。


 ビリビリと空気が震えた。


 次の瞬間。


 大量の水弾が射出される。


「ひより!」


「はいっ!」


 俺がひよりを抱えて飛ぶ。


 直後。


 ドゴォォンッ!!


 背後の神殿柱が吹き飛んだ。


【名無し:火力おかしい】

【クラゲ:温泉回の続きだよなこれ!?】


「せ、先輩……っ」


 ひよりが、ぎゅっと俺へしがみつく。


 旧型スク水が水を吸って、身体へぴったり張り付いていた。


 華奢な胸元。


 細い腰。


 濡れた太もも。


 しかも、抱き寄せたせいで、柔らかい感触が妙に近い。


「近いですぅ……」


「落ちるよりマシ」


 顔真っ赤だった。


【名無し:ラブコメ始まった】

【クラゲ:命の危機でも通常運転】


「ナギ!!」


 りくだった。


 黒髪ショート。


 色黒肌。


 黒の大胆なビキニ。


 濡れた肌が艶っぽく光っている。


 健康的すぎる。


「オレが止める!!」


 水面を蹴る。


 加速。


 そして。


「《衝牙》!!」


 ドォンッ!!


 一瞬で機械魚の懐へ潜り込んだ。


【名無し:速っ!?】

【探索者A:消えた!?】


 超短距離加速。


 踏み込みだけで水面が爆ぜる。


 りくの拳が、機械魚の外殻へ叩き込まれた。


 ゴォォンッ!!


 衝撃。


 だが。


「っっっっかてぇ!!」


 腫れあがった拳をぶんぶんと降り、「フゥー」と拳に息を吹きかける。


 めちゃくちゃ痛そうだったが、りくは笑っていた。


「だったら――中を壊す!!」


 再び拳を叩き込むと、りくが叫ぶ。


「《震破》!!」


 次の瞬間。


 内部から衝撃が炸裂した。


 ゴバァッ!!


 機械魚の装甲内部が爆ぜる。


【名無し:うおおお!?】

【クラゲ:内部破壊!?】

【探索者A:りくちゃん強くね!?】


『へぇ』


 ネレイスが少し驚いた顔をした。


 地下湖へ浮かぶ妖艶なセイレーン。


 蒼銀の髪。


 濡れた薄布。


 水面越しの白い脚。


 妙に色っぽい。


『ただの元気なお子ちゃまってわけじゃないのね』


「子供扱いすんな!!」


 りくが叫ぶ。


 でも、少し嬉しそうだった。


 その時。


『高出力反応!』


 エイトが叫ぶ。


『ブレス来ます!!』


 機械魚の口元へ、

 赤い光が集まる。


「またかよ!」


 直後。


 極太の赤光線が地下湖を薙ぎ払った。


 ゴォォォォォッ!!


 熱。


 衝撃。


 水蒸気。


 神殿そのものが揺れる。


「きゃあっ!?」


 天音が転びそうになる。


 白フリル水着。


 濡れたパレオ。


 翻った瞬間、太ももが見えて妙に危ない。


 しかも、転びかけた拍子に、胸元まで揺れる。


「うわっ」


「ひゃっ!?」


 反射的に支える。


 顔が近い。


 赤フレーム眼鏡の奥で、天音の目がぐるぐるしていた。


「ナ、ナギさん近いです近いです近いです!!」


「落ち着け」


「む、無理ですぅ!!」


【名無し:最古参オタク限界化】

【クラゲ:あまねこwww】


『マスター』


 ナナが静かに言う。


『現在、各女性個体との接触率が異常値です』


「分析するな」


『事実です』


 一方。


 ネレイスは、少しだけ離れた場所からそれを眺めていた。


 妖艶な微笑み。


 でも、その目だけは、どこか静かだった。


『不思議』


「何が?」


『あなた』


 ネレイスが、ゆっくり俺を見る。


『“適応済み”なのに、全然壊れてない』


【名無し:またその単語】

【考察班:適応ってなんだよ】


『普通はもっと早く、狂うのだけど』


「怖いこと言うな」


『ふふっ』


 ネレイスが笑う。


『だから興味あるの』


 その瞬間。


 機械魚の単眼が、真っ赤に発光した。


『危険!!』


 エイトが叫ぶ。


『対象固定されました!!』


「対象?」


『マスターです!!』


「また俺!?」


 機械魚が、水中から高速突進してくる。


 速い。


 避けきれない。


 だが。


『マスター』


 ナナの声。


『右へ三歩』


 身体が動く。


 踏み込む。


 直後。


 巨大な顎が、さっきまで俺がいた場所を噛み砕いた。


【名無し:あっぶな!?】

【クラゲ:ナナちゃんナイス!!】


『左上』


 回避。


『前』


 カウンター。


 拳を叩き込む。


【名無し:また見えてる!?】

【考察班:ナギだけ別ゲー】


『マスター』


 ナナの声が静かに響く。


『ナナが補助します』


「ん」


『なので』


 少しだけ間。


『無茶はしないでください』


 珍しく。


 本当に珍しく。


 少しだけ弱い声だった。


 《Guardian Type-Ω》と戦っと時のことを、まだ気にしてるんだろう。


「……善処する」


『信用値低下』


「ひどい」


『事実です』


 でも、その声は少し柔らかかった。


 その時だった。


 ネレイスが、ふと空を見上げる。


『……来る』


「何が?」


 直後、地下神殿全体が、さらに大きく揺れた。


 ゴゴゴゴゴゴ……!!


【名無し:まだあるの!?】

【クラゲ:嘘だろ!?】


 地下湖の奥。


 さらに巨大な“影”が、 ゆっくり浮上し始めていた。

お読みいただきありがとうございます。


本作はカクヨムでも連載中です。

小説家になろう版は、しばらく1日2話ずつ投稿していく予定です。


続きが気になる、面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。

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