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配信切り忘れた俺、ダンジョン管理AI(たぶん美少女)の最推しになっていた  作者: 斎藤ゆうすけ
第二章 水着回のはずなのに世界の謎が増えていく

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22/41

第22話 なんか温泉で混浴を楽しんでたら配信されてた

ナナと出会ってからというもの、何度も隠しダンジョンに導かれ、ありえないほど高額な素材を手にいれてきた。


 何の気になしに、それらを換金していたら……。


「……なんか口座の桁おかしくない?」


『現在、マスターは一般高校生の平均資産を大きく超えています』


 気づけば、

 俺たちは普通に高級ホテルへ泊まれるくらいには金持ちになっていた。


 しかも。


「療養です!」


 ひよりが力強く言う。


「先輩、まだ病み上がりなんですから!」


「いやまあ、わかるけど」


「温泉は健康にいいぞ!」


 りくが笑う。


 というわけで、現在、俺たちは超高級温泉リゾートへ来ていた。


     ◇


「で、なんでこうなった?」


 湯気の向こう。


 広すぎる露天温泉。


 南国リゾートっぽい岩風呂。


 夜景。


 星空。


 完全に高級旅館だった。


 しかも。


 混浴。


 水着着用エリア。


「せっかくなので!」


 ひよりが胸を張る。


「青春っぽいことしようかなって!」


「温泉が青春なのか?」


「青春です!」


 よくわからない理論だった。


 りくが笑う。


 黒のビキニ。


 かなり大胆。


 褐色肌に濡れた水着が張り付き、引き締まった身体のラインがはっきり出ていた。


 特に胸元。


 運動で鍛えられているのに、 存在感はちゃんとある。


 湯につかるたび、水着の隙間から柔らかな谷間がちらついて危ない。


 本人はまったく気にしてない。


「ナギ、どうした?」


「いや別に」


「顔赤くね?」


「温泉」


『マスターの心拍数上昇を確認しました』


「ナナ黙ろうか」


『事実です』


 イヤホンから、いつもの淡々とした声。


 ちなみにナナは姿なし。


 いつも通り、声だけだった。


 一方。


『どもどもー!』


 エイトは完全に満喫していた。


 白とブルーの縞柄ビキニ。


 半透明ホログラムなのに、妙に存在感ある。


 小柄な身体。


 細い腰。


 透明感ある白い肌。


 動くたび、ビキニのリボンがひらひら揺れる。


 しかも本人、妙にポーズ慣れしていた。


 湯気の中を、くるくる浮かびながら手を振っている。


『えっちな目で見てません?』


「見てない」


『今ちょっと間がありましたよ?』


「気のせい」


『これは完全に“ラッキースケベイベント発生中”ですねぇ』


「ネット老人会やめろ」


 ひよりは、旧型スクール水着だった。


 紺色。


 シンプル。


 でも、 濡れた生地が肌へ張り付き、細い身体のラインが思った以上にはっきり出ている。


 特に胸元。


 普段は制服で分かりづらいけど、意外とちゃんと女の子らしい。


 しかも、濡れた前髪に湯気越しの上目遣い。


 破壊力がすごい。


「せ、先輩……」


「ん?」


「その…… ちゃんと休めてますか?」


「まあ、それなりに」


 ひよりが、そっと隣へ寄ってくる。


 近い。


 肩が触れる。


「先輩、無茶するから……」


「心配性だなぁ」


「心配しますよ!」


 顔が近い。


 湯気のせいか、いつもより距離感が危ない。


 そこへ。


「おいひより! ナギ独占すんな!」


 りくだった。


 ざばっと湯をかき分け、こっちへ来る。


 近い。


 あと、動くたびに、黒ビキニの胸元が揺れて危ない。


「りく、近い近い」


「ん?」


 腕を組まれる。


 柔らかい。


 しかも温泉で肌が近い。


「オレ、こういうのよく分かんねーけどさ」


「うん」


「あの時、お前がいなくなると思ったらすごく胸が苦しくなった」


「急に重い」


「はぁ!? 人が本音で話してるにチャチャいれんなよ!」


 そんなりくの様子にエイトが爆笑していた。


『これは完全に“お前を失いたくなかった”イベントですねぇ』


「やめろぉ!!」


 騒がしい。


 でも、なんか平和だった。

 

『……』


「ナナ?」


『……』


 少しだけ間。


『マスターが楽しそうで何よりです』


 声はいつも通り。


 でも、ほんの少しだけ、寂しそうだった。


「お前も入ればいいのに」


『ナナに実体はありません』


「そのうちなれるだろ」


『……』


 少し沈黙。


『処理負荷が上昇しました』


「またそれか」


『正常動作です』


 その時だった。


『あ』


 エイトが止まる。


「ん?」


『言い忘れてましたが、ちなみに今、配信中です』


 沈黙。


「…………は?」


【名無し:うおおおおおおお】

【クラゲ:温泉回だああああ】

【探索者A:エイトちゃん神】

【しろまる:ナギくん生きてたぁぁぁ!!】

【ねむ太:復帰待ってた……】

【名無し:りくちゃんの水着やば】

【クラゲ:ひよりちゃんかわいい】

【探索者A:エイトちゃんその水着なんだ!?】


「お前ぇぇぇぇぇ!!?」


『サプライズ復帰配信です!』


「聞いてない!!」


『同接爆伸び中です』


「切る! 今すぐ切る!」


【名無し:待って】

【クラゲ:切らないで】

【探索者A:ナギ復帰おめでとう!!】

【しろまる:生還祝いスパチャ投げたい】

【ねむ太:白い少女って結局誰だったの】


 コメント欄が、ものすごい勢いで流れていく。


【考察班:てか白い少女って誰なんだ】

【クラゲ:あの最後の子って、もしかしてナナちゃん?】

【探索者A:AI実体化!?】


 ナナが少し黙る。


『……回答を拒否します』


【名無し:否定しない!?】

【クラゲ:うおおおお】


「終わり終わり!! 配信終了!!」


 俺が端末へ手を伸ばした。


 その瞬間だった。


 ゴボッ。


 温泉の底。


 足元から、妙な振動が走る。


「……ん?」


 次の瞬間。


 岩盤が崩れた。


「うわっ!?」


 温泉の中央へ、巨大な穴が開く。


【名無し:!?!?】

【クラゲ:またかよ!!】

【探索者A:配信事故二回目!?】


 湯が渦を巻く。


 吸い込まれる。


「きゃっ!?」


「うおっ!?」


 ひよりとりくが、一気にバランスを崩す。


『え、ちょっと待ってくださいこれ』


 エイトが引いていた。


『普通にダンジョン反応あります』


「は!?」


 次の瞬間。


 重力が消えた。


 温泉ごと、俺たちは闇の中へ落ちていく。


【名無し:うおおおおお!?】

【クラゲ:配信続いてる!?】

【しろまる:ナギくぅぅぅん!?】

【ねむ太:これ絶対やばいやつ】


 そして……。


 落ちた先から聞こえてきたのは……


 ――ぐちゅり。


 水音みたいな、嫌な音だった。

お読みいただきありがとうございます。


本作はカクヨムでも連載中です。

小説家になろう版は、しばらく1日2話ずつ投稿していく予定です。


続きが気になる、面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。

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