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配信切り忘れた俺、ダンジョン管理AI(たぶん美少女)の最推しになっていた  作者: 斎藤ゆうすけ
第一章 ダンジョン管理AI(たぶん美少女)が俺の配信に現れた

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17/29

第17話 なんかエイトに配信を乗っ取られた


『どもどもー!』


 配信開始と同時にエイトの元気な声が響き渡った。


『本日の《ナギのだらだらダンジョン配信》は! スーパー強化パーティ版でお送りしまーす!』


「乗っ取るな」


【名無し:始まったwww】

【クラゲ:エイトちゃんだ!!】

【探索者A:配信慣れしすぎ】

【あまねこ:ナギさんのチャンネルなのに!】


 コメント欄が、開幕からすごい勢いで流れていく。


 現在地は第四層。


 赤く光る鉱石が壁へ埋まる洞窟エリア。


 そして、今日はメンバーが多い。


「前衛はオレに任せろ!」


 りくが笑う。


 スポブラにブルマ。


 褐色肌。


 すでに汗ばんでいて、健康的すぎた。


「凪くん、無理しないでね」


 シオンが細剣を肩へ担ぐ。


 青髪。


 長身。


 今日も美人だった。


「せ、先輩! 回復薬ちゃんと持ちました!?」


 ひよりは、相変わらず小動物っぽい。


『本日の見どころはこちら!』


 エイトが、空中ホログラムを表示する。


『褐色格闘少女の太もも!』


「おい」


『氷姫の圧倒的美貌!』


「まあ分かる」


『そして重いAI!』


『否定します』


【名無し:草】

【クラゲ:通常運転】

【探索者A:ナナちゃん今日も重い】


 ものすごい勢いで流れていくコメントをエイトが逐一拾い上げてリアションを返す。


『“エイトかわいい”』


『ありがとうございます!』


『“ナギ働け”』


『それはそう』


「お前どっち側だよ」


     ◇


 第四層の通路を進む。


 以前より、かなり安定していた。


 理由は単純。


 メンバーが強い。


「右から来るぞ!」


 りくが叫ぶ。


 次の瞬間、犬型モンスターが飛び出した。


《ブラッドハウンド》。


 かなり速い。


 でも。


「《裂破脚》!!」


 りくの蹴りが炸裂した。


 ゴォッ!!


 空気を裂くような回し蹴り。


 モンスターが吹き飛ぶ。


【名無し:つっよ!?】

【クラゲ:りくちゃんかっけぇ!】

【探索者A:格闘スタイル映えるな】


「ナギ!」


「ん?」


「次、左!」


 言われる前に、身体が動く。


 突進を回避。


 壁を蹴る。


 そのままモンスターの頭へ肘を叩き込んだ。


 ゴッ!!


【名無し:避け方おかしい】

【クラゲ:人間やめてる】

【考察班:絶対未来見えてる】


『補足します』


 ナナだった。


『マスターに回避予測補正を実行中です』


「それ早く言えよ」


『マスターは元々避けています』


「フォローになってない」


『つまり、さらにおかしくなっています』


「お前さぁ」


【名無し:AI補助つよ】

【クラゲ:ナナちゃん有能】

【探索者A:未来予知パーティ】


 その時、後方から巨大な影が飛び出した。


《グランドオーガ》。


 筋肉が隆起した巨大な鬼のような見た目。


 手にはバカでかい棍棒。


【名無し:うわデカ】

【クラゲ:ボス級!?】


 りくが笑う。


「いいじゃん!」


 汗が肌を伝う。


 スポブラ越しに、呼吸で胸が上下していた。


 完全に戦闘モード。


「オレが――」


「下がってて」


 シオンだった。


 静かな声。


 でも、 空気が変わる。


 白銀の細剣が抜かれた。


《氷葬細剣 フリーレン・ローズ》


 冷気が広がる。


 床が凍る。


【名無し:きたあああ】

【クラゲ:氷姫!!】

【探索者A:フリーレン・ローズだ!】


 シオンが踏み込む。


 一瞬、青い残光だけが見えた。


「――凍りなさい」


 一閃。


 次の瞬間、《グランドオーガ》の全身へ氷の亀裂が走った。


 パキパキパキッ!!


 巨大な身体が、一瞬で氷像になる。


【名無し:うわぁ!?】

【クラゲ:相変わらず格が違う】

【探索者A:芸術作品か?】


 そして、シオンが細剣を振るう。


 パリン。


 氷像が砕け散った。


 綺麗だった。


 なんか映画みたい。


「すご」


「ふふっ。見惚れてた?」


「ちょっと」


 シオンが少し嬉しそうに笑った。


『警告』


「早いな」


『S級個体の好感度上昇を確認しました』


「なんでも分析するな」


     ◇


 さらに奥。


 エイトが空中でくるくる回る。


『本日のダンジョングルメコーナー!』


「急に何?」


『第四層限定! 《発光キノコ》です!』


「食えるの?」


『多分』


「多分で食わせるな」


【名無し:やめろwww】

【クラゲ:絶対危ない】


 その瞬間、今度は天井から巨大な蜘蛛型モンスターが落ちてきた。


《グラッシュスパイダー》。


 牙を剥き、エイトへ飛びかかる。


『……』


 一瞬、エイトが止まった。


『配信の邪魔です』


 次の瞬間。


 紫色の魔法陣が展開された。


 空間へ、

 ノイズみたいな光が走る。


『《Photon Break》』


 ビィィィィィッ!!


 紫色の光線。


 一瞬で《グラッシュスパイダー》が消し飛んだ。


 壁まで抉れてる。


 静寂。


【名無し:え?】

【クラゲ:つっっっよ!?】

【探索者A:実況役じゃなかったの!?】


『はい、では続きです』


『本日のダンジョングルメは――』


「温度差どうなってんだよ!」


『あ、ちょっと火力ミスりました☆』


「壁消えてる!」


【名無し:やばいwww】

【クラゲ:エイトちゃん自由すぎる】

【探索者A:ナギのチャンネル乗っ取られてる】


 ひよりが、少し引いた顔をしていた。


「エイトちゃん、思ったより危険側ですね……」


『褒め言葉です!』


「違うと思う」


     ◇


「先輩!」


 ひよりが駆け寄ってくる。


「これ、回復ゼリーです!」


「どうも」


 受け取る。


 ひよりの顔が近い。


 相変わらずの上目遣い。


 顔も赤い。


「怪我……してなくてよかったです」


「ん」


 なんとなく頭を撫でる。


「ひゃっ!?」


 ひよりが固まった。


 耳まで真っ赤。


【名無し:今のずるい】

【クラゲ:ひよりちゃん!!!!】

【あまねこ:ナギさん、天然でやってる!?】


『マスター』


「ん?」


『現在、後輩個体の心拍数が危険領域です』


「危険領域ってなんだよ」


『恋愛的意味です』


 エイトが爆笑していた。


『お姉ちゃん、最近ストレートですよね』


『事実誤認です』


「もう隠す気なさそうね」


 シオンが楽しそうにつぶやいた。

お読みいただきありがとうございます。


本作はカクヨムでも連載中です。

小説家になろう版は、しばらく1日2話ずつ投稿していく予定です。


続きが気になる、面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。

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