別れの時
あれだけ仲良く(私は半分は登校してないが)していたのに、別れはあまりにもあっさりとしていた。
「またね」
「うん、また!」
そう言い合いながら、私たちは"また"が遠い未来であることを知っていた。
それぞれの目は、これから自分が歩む道を見つめていた。
最後の逸話となる。
私たちの教室の担任は五十過ぎの女性だった。
「キクちゃん、担任にお礼を買うからカンパして~」
「いいよ~。何買うの?」
「○○○」
「そんなの買うの?」
私は笑った記憶がある。
そして終業式の日、儀礼的なものは終わり、
教室に生徒が集まっていた。
地味なグループはハンカチを渡していた。
普通のグループは大きな花束を渡していた。
そして私たち派手なグループからは。
「せーんせ、ちゃんと着てね!」
当時流行っていた赤いブラジャーとパンツとキャミソールが手渡された。
しかも、どことなくアダルトな雰囲気の。
しかし担任教師も負けていなかった。
「似合う?」
真っ赤なブラジャーを洋服の上からあててみせた。
苦笑と笑いを残して、私たちは教室をあとにした。
校門を出た瞬間、私たちは女子高生という名をなくした。
四月になれば、また新たな花たちが溢れる。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます!
もっと短くするはずでしたが思いの外長くなりました。
何かしらの感情が残れば幸いです。
小話はあるのでもしかしたら番外編を書くかもしれません。
その時はどうぞよろしくお願いします!