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最弱コウモリ幼体に転生したので、血を吸って進化する  作者: HATENA 
第1章 最弱幼体と太古の血

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第018話 道を覚える

 目を覚ましても、右のひびに置いた小骨は動いていなかった。


 肩の痺れは消え、傷も爪で触れなければ痛まない程度になっている。


 眠る前に食べた灰糸蜘蛛の腹は、もうほとんど残っていない。


 俺は天井を歩き、右のひびへ近づいた。


 入口には、押し込んだ灰糸蜘蛛の死骸が詰まったままだ。


 短く鳴くと、死骸の向こうには細い道が続いていたが、近くに動くものはいなかった。


 蜘蛛がいなくなったとは限らないが、外へ出るための道を塞いだままにはしたくなかった。


 俺は死骸の脚を咥え、壁に爪をかけたまま後ろへ引いた。


 丸い腹が石に引っかかり、一度では動かない。


 咥える場所を変え、今度は天井から体ごと引き上げる。


 死骸が石を擦り、ひびの中から少しずつ抜けてきた。


 前なら爪を動かすたびに体が揺れたが、今は天井から引いても姿勢を崩さない。


 最後まで引っかかっていた腹が抜け、死骸が重い音を立てて空洞の床へ落ちた。


 右の道が開く。


 俺は小骨を置き直し、ひびの中へ入った。


 これまでは匂いや音を追うだけで、帰り道まで考える余裕はなかった。


 今度は、戻る道も覚える。


 最初の分かれ道で巣へ続く側の壁に白い傷を一本残し、次の分かれ道にも同じ傷をつけた。


 近くで鳴けば、壁につけた傷からも音が返る。


 匂いが混じっても、これなら帰る方向を間違えない。


 広い通路へ出ると、俺は床へ降りず、壁の高い場所を進んだ。


 床には細い爪痕と、砕かれた骨の欠片が残っている。


 骨舐め鼠が通る道だ。


 少し先では、腹を擦ったような太い跡が石の上を横切っていた。


 そこには、魔物の匂いと濡れた石を削ったような匂いが残っている。


 石皮トカゲの匂いだ。


 同じ太さの跡が何本も重なり、水場から通路の奥へ続いていた。


 俺は太い跡の上を越え、天井へ移る。


 さらに進んだ先では、床の一角に黒い糞が固まっていた。


 血吸いコウモリのものより大きく、匂いも違う。


 その真上の天井には、いくつもの爪跡が残っている。


 ここにも、別のコウモリがいる。


 俺は鳴かず、その場を通り過ぎた。


 曲がり角の先で、骨を齧る音がした。


 俺は天井へ腹を寄せ、音のする方へ進んだ。


 通路の端には白い骨が何本も集められ、その中央で鼠が骨の先を齧っていた。


 前に倒したものと同じくらいの大きさで、痩せてもいない。


――――――――――

名称:骨舐め鼠

――――――――――


 今の俺は、鼠の真上にいる。


 骨舐め鼠が顔を上げ、鼻を動かした。


 気づかれる前に天井を蹴る。


 羽を一度だけ広げて首元へ落ち、毛の奥へ牙を突き立てる。


 骨舐め鼠は骨を放り出して体を激しく振り、俺をつけたまま横の壁へ走る。


 前と同じように、壁へ叩きつけるつもりだ。


 石が迫る前に牙を抜いて鼠の背中を蹴り、羽を開いて壁へ移る。


 骨舐め鼠が壁へぶつかり、体勢を崩す。


 俺は壁を蹴り、もう一度同じ傷へ牙を入れた。


 血が舌へ触れた瞬間、喉が勝手に動いた。


 温かい血と一緒に、鼠の力が少しずつ流れ込んでくる。


 骨舐め鼠の前足が脇腹を掻き、浅い痛みが走ったが、牙は深く入っている。


 鼠はもう一度壁へ向かおうとしたが、さっきより足が遅い。


 俺は血を吸いながら背中を移動し、壁と反対側へ体をずらした。


 細い尾が羽を叩き、前足が何度も石を掻く。


 やがて、鼠の腹が床についた。


 それでも牙を離さず、脈が止まるまで吸い続けた。


――――――――――

骨舐め鼠を討伐しました。

経験値を取得しました。

HPが回復しました。


Lvが5から6に上昇しました。

最大HP:13から14に上昇しました。

筋力:4から5に上昇しました。

敏捷:9から10に上昇しました。

器用:4から5に上昇しました。

――――――――――


――――――――――

固有スキル【因子吸収Lv1】が発動しました。

因子【骨舐め鼠因子】を追加取得しました。

――――――――――


 牙を抜いて天井へ上がると、脇腹には細い傷が残ったが、血はほとんど出ていなかった。


 前の骨舐め鼠には噛みついたまま振り回されたが、今回は石へ叩きつけられる前に離れられた。


 俺は天井から死骸を見下ろした。


 もう、骨舐め鼠一匹を倒すために命を賭ける必要はない。


 頭の中でステータスと念じると、視界の手前に薄い表示が開いた。


――――――――――

名前:なし

種族:古血蝙蝠

種族ランク:E

進化段階:第2段階

Lv:6


HP:14/14

MP:4/4


筋力:5

耐久:5

敏捷:10

感知:12

魔力:3

器用:5

精神:8


状態:

軽度因子過負荷


種族特性:

夜目Lv2

微弱音波Lv2

壁面適応Lv2

吸血Lv2

古血適応Lv1

嗅覚・最下位Lv2

飛行Lv2

竜眼・最下位


固有スキル:

因子吸収Lv1


スキル:

竜因子適応Lv1

因子吸収補助Lv1

飢餓耐性・最下位Lv1

粘着耐性・最下位Lv1


称号:

異界より転じた魂

最弱幼体

古き帝の血を啜ったもの


保有因子:

洞窟鼠因子

血吸い蛭因子

古代竜帝因子

骨舐め鼠因子

薄羽虫因子

血吸いコウモリ因子

灰糸蜘蛛因子

――――――――――


 二だったレベルが六になり、骨舐め鼠は狩れるようになった。


 それでも、石皮トカゲを正面から倒せるとは思わない。


 血牙コウモリにも、まだ一匹では勝てないだろう。


 俺は表示を閉じ、死骸の首を咥えた。


 重いが、引きずれないほどではない。


 行きにつけた白い傷を辿り、巣へ戻る。


 途中の分かれ道では、石皮トカゲの太い爪痕が床を横切り、灰色の糸が張られた細い通路の前まで続いていた。


 あのトカゲは、蜘蛛の縄張りのすぐ近くを通っている。


 俺は鼠の死骸を咥えたまま、床の爪痕と奥の灰色の糸を見た。

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