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Act1 静寂の勝利
自分のオフィスで、耀心の表情が凍り付いた。今まで流れていた「絶望のコード」が唐突に途切れ、画面いっぱいに表示されたのは、庶民的なそれも紅生姜の山か築かれた丼と一枚のレシート。
(……!レシート⁈18時42分……だと?)
耀心が「航聖の精神崩壊」を確信し勝利の美酒に酔いしれていたその瞬間に、航聖は外でジャンクフードを食べていた。
耀心が真剣に分析していた時間は、航聖にとっては単なる「食事の時間」に過ぎなかったのだ。
「……こ、こ、航聖ッ!!」
椅子を蹴り飛ばし、耀心は震える手でスマートフォンを掴んだ。
『おかけになった電話番号は、現在使われておりません……』
「……何だって……」
次はメッセンジャー。だが、航聖のアイコンは既に「退会済み」のグレー一色。
メールを送ろうとしても『宛先不明(User Unkown)』の無機質なエラーメッセージが即座に跳ね返ってくる。
耀心がどれ喉叫ぼうと、どれ程通信ログを辿ろうとも、そこにはもう彼が支配できる「航聖」の欠片も残ってはいなかった。航聖が張り巡らせた「沈黙の壁」が耀心の全てを拒絶したのだった。




