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BREAK!! (航聖)  作者: AKIRA


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2/8

Act1 演算室、青い浸食 2

 画面に展開されたのは、数年前、航聖の精神を崩壊させた「あの街」の俯瞰図。

数百万の命が電力リソースとして数値化され、刻一刻と破滅へ向かう地獄のシュミレーター。


「……あ、が……。……耀心……」


航聖の瞳から光が消える。あの時の記憶がフラッシュバックする。


【耀心の正解】:迷いなく弱者を切り捨て、システムの80%を存続させる冷酷な最適解。

【航聖の敗北】:100%すべてを救う『第三の道』を模索し続け、演算限界を超えて脳が焼き切れ、味わったあの絶望。


「離せ、龍輝!……これを解かなければ、僕は……僕は一生、ガラクタのままで終わるんだ!」


パニックに陥った航聖が、取りつかれたようにキーボードを叩き始める。

椅子ごと彼を羽交い絞めにして、暴れる肩を力づくで抑え込む龍輝。


「ばっか野郎!落ち着け航聖、そいつはタダの数字だ!」

「違うっ!これは、僕とあいつの……っ!」


「……いいえ、これは……呪いだわ」


いつもは決してしない薫がデスクの下へ潜り、迷いなく手を伸ばした。


ブツンッ__。


凄まじい火花が散るような感覚と共に、演算室の全ての光が奪われた。メインコードを引き抜いたのだ。

モニターは漆黒に沈み、悲鳴を上げていたファンの音が、不自然なほどの静寂へと消える。


「……。……あ……」


キーボードにあった航聖の指が、空を掴んだまま……止まった。

龍輝の腕の中で、糸の切れたマリオネットのように航聖の力が抜けていく。


「……正気に戻った?航聖……」


暗闇の中で、薫が涼香に立ち上がる。

航聖は激しく上下する肩を震わせながら、真っ暗なモニターに映る、蒼白な自分の顔を見つめていた。


「……。……僕は……僕はまた……あいつの土俵に、引きずり込まれそうになった」

「……終わったんだよ、航聖。真っ黒だ。あんなヤツ、どこにもいねえよ」


龍輝の低い、熱を持った声が、冷たくなった航聖の心に「現実」の温度を伝えていた。





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