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81:長期休暇後半

 ガーランド達を祝福し、久しぶりの手合わせ、稽古をつけてもらった二週間。フレアの才能に冒険者としての血が騒いだらしいジュリアスまでそこに加わり、かなり充実した時間を過ごすことができた。


 ジュリアスの魔法は彼のオリジナル魔法で、威力や必要魔力量は中級程度。中級が使えない俺にはわからないが、フレアからしても中級レベルの魔力量をあそこまで自在に扱えるのは彼ぐらいしか知らないと言っていた。でも魔法で生み出した動物が自我を持って動いてるのは自在に操ってるってレベルじゃないと思うんだ、だって自立稼働だからもう操ってないし。


 なおジュリアスは魔法に関しては天才型過ぎて指導者には向いてなかった。


「それで、王都に戻って来たわけだけど。シーク達と約束してた討伐依頼はいつにするの?」

「んー、今週末にしようか。後期日程始まる前の一週間ぐらいはゆっくりしたいし」

「そう、じゃあキャロルとメイに伝えておくわ」

「よろしくね、シークには俺の方から言っておく」


 ステンへの帰省前、シーク達実習パーティと共に討伐依頼に出かける約束をしていた。パーティ登録は最大5人、それより多い人数でグループを組むならばパーティではなくギルドという形になっていく。


「シーク達は何の依頼を選ぶのか楽しみね」

「まあメイもいるわけだし変な依頼は受けないでしょ」

「アルクがいるからって少し難しい依頼を受けるかもしれないわよ?」

「俺がいるからってそれをするのは止めてほしいなあ…」


 何かあっても保険があるから大丈夫、なんて慢心で依頼を決めないでほしい。それをしても止めはしないし、何か失敗しても経験だけど。


「監督役がいるうちに失敗するのも大切じゃない?」

「まあそうなんだけど、それを理解して選んでるのか、慢心から選んでるのかで話が変わるからさ」

「メイは理解してると思うけどシークはどうかしらね…」

「意外と真面目に頑張るけど楽観的だからなあ…」


 気が合う悪友で、良い奴なんだけどその楽観思考から冒険者として見ると少し心配になる。悲観的な冒険者は大成しないが死にもしない、楽観的な冒険者は大成するものも出てくるが死ぬやつも多い。


「俺で対応しきれない時は言うからフレアもよろしくね」

「Cランク冒険者様がEランクの私に頼っていいの?」

「フレアの実力はBランクぐらいあるから頼らせていただきます」


 皆を守りながら戦わないとならない事態に陥った場合土の中級魔法、特定範囲を土壁で囲めるアースフォートレスがあると無いでやりやすさが大きく変わる。それを扱え、実力的に一緒に戦っても問題ないフレアに頼らないなんて手はない。


 そんなシーク達と行う討伐依頼についてフレアと話しながら寮に帰った日より数日、シーク達実習パーティに俺を加えたEランクパーティー「メイシーク」はギルド本部にてこれから向かう依頼についての打ち合わせをしていた。


「つーわけでフォレストウルフ5体の討伐依頼をこんな感じで進めようと思う」

「アルクは何か気になる所ってあるかな?」


 今回の依頼を受けるにあたって事前にシークとメイは依頼の選定から準備までを任せており、これを選んだ理由、進め方等が貴族組に説明されて俺は意見を求められた。んー、けどなあ


「今伝えてもいいけど、依頼を受けちゃった以上キャンセルは出来ないから実際に依頼が終わってから振り返った方がいいかな。失敗してもらって実感してほしいし」

「アルるんは講義中も生徒にめっちゃ失敗させてたよねー」

「頭よりも体で理解した方がいいからね。師匠の教育方針」

「そういやフレアってあのガーランドと手合わせしてきたんだよな?やっぱ強かったのか?」

「本当に人間なのか疑ったわね。今では人間じゃないって確信してるけど」

「確信するのそっちかよ!?」


 フレアの言う通りだろう、だって実体がないはずの火魔法ですら掴んで投げてくるし。メイとキャロルもフレアですらそう評する強さにドン引きだ。


「ステンのギルドマスターもガーランドは強さで言えばSランク冒険者を含んでも抜けてるって言ってるからね。Aランクで止まってるのはSランクがドラゴンを倒すとか伝説級の条件を満たした時になる名誉ランクだからでガーランドがただそういう相手と戦ったことがないだけだって」

「私の父様は強いけれど、人間なんだなって強く実感したわ」


 まあそんな相手との手合わせを嬉々としてやっているフレアも相当なものだと俺は思うけど。


「まあガーランドの話は今はこのぐらいで、そろそろ出発したほうがいいんじゃない?もう講義じゃなくてちゃんとした依頼、失敗すれば違約金も払わないといけないし、シーク達は講義での注意点は覚えてるよね?」


 今回の討伐対象はフォレストウルフ、冒険者講習初級での実習に西の森での戦闘はない。西の森での討伐依頼はEランク冒険者単独では受けられず、パーティならば受けられる、森というのはそういう戦場。どうして俺の初戦はそんなところでやらされたんでしょうね?


「なんか注意とかあったか…?」

「シーク…。私は覚えてるよ、そろそろ出発しようっていうのもその一つでしょ?」

「やっぱりシークは覚えてないかあ…。まあ体で覚えるタイプだし、実際に痛い目見てもらおうか」

「え?」

「楽観的なのは大成する冒険者の条件だけど、楽観的すぎるのは死んじゃう冒険者の共通点だからシークが前者であることを祈るよ」

「あははー、シーくんはやっぱりお気楽だなー!」

「キャロルの方がよっぽどお気楽だろ!!」

「私は注意点覚えてるもーん!」


 キャロるんはお気楽フレンドリーギャルだがなんだかんだ講義でやったことは一度で覚えるし、こういった注意点なんかも気にしないようでしっかり頭に入れている。目端も利くし、闇魔法という戦闘において補助向きだが難易度の高い魔法を的確に使いこなす、戦術の組み立てなんかはフレアよりうまい。


 そんなメンバーに囲まれてるシークは正直駆け出し冒険者として考えたらかなりぬるま湯状態だからその内矯正してあげないとなあ…。

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