73:魔道具工房へ
GWでの友人たちとの予定やシャドウバースをめっちゃ楽しめたのでさすがにそろそろ書くぞーってなってます。マジでシャドバやりすぎた
「フレア、週末に魔道具工房を見学に行ってみない?」
「そうね、基礎的なことは講義で学べたし、行くのもいいかもしれないわね」
魔道具講座初級の講義後、入学からしばらくたち魔道具の基礎ぐらいは学べたのでそろそろ見学に行く意味もあるだろうということで俺と同様に興味を持っているフレアを誘ったところ道連れを1人確保できた。
「3人も行く?」
この講義は選択科目だがシーク、メイ、キャロるんも俺達が一緒ならということで受講している。道連れは多いに越したことはないので工房の見学となると少し退屈かもしれないが誘ってみる。
「魔道具を使うのは興味あるけど作るのは別になあ…」
「私はどうしようかな…」
「メイっちにオススメのお店見つけたから私達はそっちに行こうよー!」
「あ、じゃあ私はキャロるんと行こうかな」
キャロるんはみんなで遊んで以降、メイ達でも使いやすい庶民向けのお店も探しているらしく、時折こうしてメイとシークを誘っている。今回もそういうお店を見つけたのだろう。しかし工房見学はやはり若者受けが…。
「じゃあ行くのは俺とフレアだけかな」
「あら?リースは行かないの?」
「学業と仕事を両立してるわけだし、工房見学じゃあまり息抜きって感じもしないからゆっくりしてもらおうと思って」
「そう」
道連れは1人しか確保できなかったが魔道具工房見学行きが決定した。王都にあるオススメの工房は講師に聞いており、その際に見学の申し込みも学園の方でしてくれると言われたので是非にとお願いしておいた。
そんな約束をした週末、フレアと校門前で合流し、学園から紹介された魔道具工房マギアナへと向かう。
「フレア、今日はいつもと私服の雰囲気変えた?」
「え?そうかしら?」
「いつもより少しカジュアルな服装だから気分転換なのかなって思ったんだけど」
「あまり意識はしてなかったわね」
「じゃあ無意識か、でも似合ってるよ。いつもの服は立場もあるからしょうがないけど少し堅いしね」
よくいつもの5人で遊びに出かけるけれど、フレアは基本的に公爵令嬢として恥ずかしくないよう私服であってもフォーマルな装いをしている。けれど今日は相手は俺しかいないし、気楽なのだろう、いつもよりカジュアルな、言ってしまえば普通の女の子のような装いだ。
「私でも意識してなかった服装の違いとかよく気付くわね」
「服装の変化を見極めるのは大切だってダンスを教えてくれたリリィちゃんに教え込まれたからね。リースの着せ替えで詳しくなったのもあるけど」
本当は前世で女キャラを着せ替えまくった経験からとか言えない。今伝えた理由も嘘ではないし。
「社交場では必要なことだからいいんじゃないかしら、ただ私とプリム相手ならいいけどあまり他の女性にはやりすぎないことね」
「リリィちゃんにも言われたよ、あんまりやるとただの女好きに見えるから時と場所と相手は選べって」
「その上で私相手ならいいと思ったの?」
「フレアならそういう下世話な勘繰りはしないでしょ」
普通に仲がいい女性の服装を褒めただけであって、そこに他意なんてなにもない。しかし性別が違うだけで、そこに何か下心があるのではないかなど下世話な勘繰りをするのが人間だ、そういったことをしないフレアのような相手は本当に気楽に付き合える。
「メイとキャロルはしそうね」
「あの2人はまだ年相応に恋に恋してるだけだろうからまあ…、大人になったらわからないけど」
12歳ぐらいの女の子ならそういったことは普通だろう。大人になってもそういった勘繰りが辞められなければただのゴシップ好きだからよろしくないが。
「と、マギアナはここだね。看板も出てるし間違ってないでしょ」
フレアと話しながら歩いていると王都南西区にある魔道具工房マギアナに到着した。石造りで敷地面積の広い平屋、地価の高い王都でここまでの土地を抑えているのは本当に凄い。
魔道具工房マギアナは学園の卒業生も多数在籍する工房で、ベルデ王国の魔道具制作の大半を引き受けている。逆に言えば国一つの魔道具需要をこの敷地面積でほぼ満たせてしまうということであり、その需要量で王都でこれだけの工房を構えられるほど魔道具一つ一つが高価だということだ。
魔道具には2種類ある、ダンジョンや遺跡から発掘された過去の遺産。以前サラに使われたのはこのタイプ、主な性能は魔法攻撃の再現で闇の睡眠魔法や毒魔法、光の治療魔法など適性を持つものが少ない魔道具なんかはかなりの高値で売れる。再現される魔法の程度によっては国が買い取り厳重に保管されたり廃棄処理が行われる。
そしてマギアナで作っているような魔道具、これは以前に店でみたルームランプのような生活向けのものだ。魔道具が再現する魔法で生活を豊かにするためのもの、魔力を流せば即座にお湯が出たり、コンロのように火が起こせたり、前世で言う所の家電のようなものだ。
この違いは前者のような魔法攻撃を再現する魔道具の作成は研究はされているが実用化に至っていない点、また出来るとしても法的な規制によって商業として営むには向かない点だ。
魔道具自体、魔力を通さなければ起動しない以上、魔法攻撃は自分の魔法を使えばいい。高い金を払ってまで他属性の魔法攻撃をしたいか?という状況にならない限り不要で、けれどあまり広まっても面倒なので法的な規制がある。
需要が少ないものの研究は当然捗らないし、需要が少ない上規制があるものを商材にする商人はいない。研究は基礎研究、技術研究の側面が大きく、商材としては厚利少売の生活向けなものが適するという状態だ。
「すいません、見学をお願いしていたアルク・スティングです」
「あ、見学希望の子達ですね。話は伺ってますよー」
工房に入り、受付の女性に話しかけると見学についての注意点であったり、見学者の証明となるパスを渡されたりと諸々の説明を受ける。説明慣れしてるし、学園で申請をしてくれたりとシステムができている辺り学園からの見学者はよくくるのだろう。
「やっぱり毎年見学者はくるんですか?」
「何人かはくるかなー、君たちみたいな子は珍しいわね」
「俺達みたいなの?」
「うん、だいたいが魔道具科の子が就活でとか、講義のレポートで来るから。君たちみたいにデートで使う子は初めてかも」
「デート?」
「あら違った?純粋に学術興味だとしても珍しいけど」
「アルク、あなたそう思われるかもしれないということに気付かなかったの…?」
フレアがとても呆れている。いや、だって学生2人で工房見学だよ?カフェにいくとか、商店街で遊ぶなら勘違いされるだろうけど、デートでやることじゃなさすぎて、勉強の一環だろうなとしか思わなくない?
「そういう場所でも男女2人でいけばお姉さんみたいに、ただそういう趣味のカップルとしか思われないわよ」
「もしかしてリースもいた方がフレア的には勘違いされなくてよかった…?」
「アルクがプリムと結婚できたら義姉弟になるんだから気にしないわ、あんたのプロポーズは貴族の間じゃ有名だし?」
「え、学生くんもう誰かにプロポーズしたの?」
「そうなんですよ、お姉さん。こいつ実はですね…」
「おいやめろフレア!何を人の事を暴露しようとしてるんだ!」
フレアが俺とプリムの事を受付のお姉さんに暴露し、おかげでデート疑惑は無になったが、代償として俺がめちゃくちゃ暖かい目でお姉さんに見られることになった。これから見学なのにどうしてスタートからこんな目に…




