70:戦闘実習
友人から意見貰って、参考になるなと思った点や書き慣れてきて思ったことなどから序盤の修正したいなーと思ってたのでゴールデンウィークの間にやると思います。表現の修正や補足が入るぐらいなのでここまで読んでくださってる方は再読の必要などは特にない変更です。追加エピソードを入れる予定もありますがその場合はX.5のように幕間を挟むので興味をお持ちいただけたら読んでいただければ幸いです。
ベルデ学園に入学してから3か月、みんな授業にも慣れ、今日は1日使って冒険者講習初のパーティ実習。冒険者講習の講師、Bランク冒険者のゴルド外部講師が全パーティに予め討伐依頼を斡旋、パーティの実力に応じて初討伐に適した依頼が出されている。
「おうアルク、あらかじめ打ち合わせた通りに巡回頼むわ」
「わかりました、ゴルドさん」
「アルクなら問題ねえだろうが、死人を出さねえようにな」
「そこは安全第一じゃないんですか…」
「むしろ実習の内に怪我しとくべきだろ」
「そういうことですか」
怪我をする、窮地に陥る、仲間の危機、冒険者をしていればいくらでも冷静さや思考力を失いかねない時はある。それによって魔法が打てなくなるぐらいならばまだいい、最悪なのは魔法の制御を誤ってしまうこと。仲間に当ててしまえば殺してしまいかねず、怪我で済んでもパーティは解散される可能性は高く、再びパーティを組める相手が出来るかはわからない。
「冒険者の間で魔法使いの誤射って聞いたことねえだろ?」
「言われてみればないですね」
「それは2年次以降で受講する冒険者講習中級、上級の時にやばい状況を経験させてるからだ。その辺りを受講する奴は全員冒険者志望だからな、それを超えられなかったやつは冒険者になることを諦めるし、それを超えるような奴で誤射してしまうような状況なら…」
「状況なら?」
「ほぼ確実に全滅してるだろ」
「あぁ…」
後衛で戦闘する魔法使いが窮地に陥り、誤射によって前衛を失えば窮地は加速しパーティは全滅に向かう、そうなれば誤射が表沙汰になりようがない。
「じゃあお前ら準備は出来たな?事前に通達している通り今回の依頼主は全パーティ共通で冒険者ギルド本部、別に失敗しても違約金などはない。だが制限時間終了後の口頭試問と任務達成の成否は成績に反映されるからな!では実習開始!」
ゴルドさんの合図によって全生徒が討伐任務に向かう。この講義は騎士科、魔法科の1年必修講義、ほとんどのパーティは騎士科が前衛、魔法科が後衛。稀にシーク達のように魔法科のみで組まれたパーティがいる。
王都の東には川がながれ、西には森が、南は山が、北は草原が広がっている。今回の実習では生徒達は北と東に分かれ魔物の討伐を行う。俺の巡回担当は東の川エリア、水辺に住む魔物の討伐が求められる少し実力のある生徒向けの実習エリアだ。
なぜそちらを講師ではなく俺が担当するのかというと単純に魔法使いの方が水辺での咄嗟の対応が簡単だから。ゴルド講師は槍を扱う騎士科卒業生の冒険者のため魔法を使うことができない、けれど乗馬の腕が一級品で森でも難なく馬を走らせ、とても広い活動範囲を取れる。
このエリア分けは生徒には知らされておらず、王都の南門や西門に向かった生徒は討伐対象の生息域調査等の事前準備がそもそも足りてないということで衛兵に追い返され、成績を落とされる。
「なんもトラブルないといいけども…っと」
生徒達にエリア分けがバレないよう、少し遅れて東門から王都を出発、少し歩けば大きな川が南から北へと流れている。ちらほらと生徒達が見え、やはり優秀な生徒が割り振られるエリアなだけあってしっかりと魔物の痕跡を探す様子が見て取れる。
俺はこの辺りに出る魔物はもちろん、討伐対象も全パーティ分把握、調査。加えて隣接する山エリア、草原エリアの要注意対象ぐらいは調べてある。生徒達は討伐対象だけでも調べればB判定、対象エリア全体の魔物を調べればA判定、俺と同じレベルまで調べればさらに加点だ。Bならば十分合格、Aで優秀、それ以上の加点は科目の成績としてではなく、その生徒個人の評価として記録される。
なおこの基準は俺が今回の事前準備についてゴルド講師に報告した後に教えられた。俺自身はどの程度の基準で動くかを見たかったらしいが期待には応えられたようだ、Cランク冒険者になっている以上出来て当たり前だったが、念のためだったらしい。
「お、シーク達も頑張ってるね」
「よう、アルク。講師側は楽そうでいいよなー」
「ふざけるなよ、シーク。詳細は言えないけどこっちは全パーティ分の仕事してるんだぞ」
君らは1種類の魔物を調べれば十分だけどこっちはこのエリアに来る全員を見る必要があるから全員分+αを調べておかないといけないんだぞ。
「えぇ?本当かよぉ?」
「講師を疑うとかなんて生徒だ、お前の成績は下げといてやる」
「そういうところだよ!信じられねえの!」
「シーク、アルクの言ってることは本当だよ?」
「マジで?」
「シークは事前準備に不参加だから知らないだろうけど、アルクよく調べものしてたよね?」
「シークのパーティはメイがその辺りを担当してたよね。理由とか諸々は終了後の口頭試問で聞くから今は進捗状況だけ聞かせてくれる?」
すっかり俺への態度も軟化したメイ、みんなでギャルをしたこともあり、貴族であるフレアやキャロル、年上であるリースにもシークに対する時ととあまり変わらない態度で接することが出来るようになっていた。リースも妹が出来たようで嬉しいらしく、メイを以前のように日雇いバイトで雇い、一緒に互いの家事をしているという。
「私達の討伐対象はリバーピッグで、水生魔物だから今はおびき寄せるための餌探し中だね」
「そっか、わかったありがとう」
シーク達の討伐対象、リバーピッグ。川に住む豚の魔物かと思いきや河豚ということで普通に?フグの魔物だ。なお魔物なだけあり、やたらデカいし、大量のハリを体中にはやして飛ばしてくる魔物。それはハリセンボンでは…?と思うがまあハリセンボンはフグの仲間かぁ…ということで自分を納得させた。
なお別に毒はないし、ハリもちゃんと防具を持っておけば貫くほどではなく、なんならローブで十分に防げる。防具は学園の備品を借りることができるので事前準備をしておけば困ることはない。そしてその身は非常に美味で、種の保護のために乱獲や密猟が禁止されており、王家の許可を得た商会の事業や今回のような特別な場合を除いて討伐をすることは許されていない。
…法律で守られてる魔物って何?




