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69.5:始まりが終わってこれから

今日やってたデュエマGP面白すぎた…、カウンターバイケン最高

 第一回定期報告:ベルデ学園初週が終了、今報告書を期に月に1度定期報告を送る。また、報告の必要がある事象があれば別途報告を行う。レイン嬢の紹介により観察対象アルク・スティングとの接触、交友関係を結ぶ事に成功。対象の学業成績は全体的に優秀、戦闘能力についてはレイン嬢との決闘に勝利できるなどかなり高い。ただし本人曰く広域戦闘や範囲殲滅は不可能との言葉を信じるならば白兵戦特化の能力であり、軍事作戦などには不向きであると思われる。性格は基本的に温厚だが友人相手では茶目っ気が見える。財力は冒険者活動をしていた期間が長く、その間の貯金があるとのことで12歳の個人資産としては破格。実家のスティング家は領民からの信頼も厚くそちら方面の問題もないと思われる。以上報告終了


「こんなとこかなー?」


 実家から言い渡された私の仕事、アルク・スティングの観察、報告。フレア嬢繋がりで交友を結べればやりやすくなるかと思っていたら初週から交友関係を結べたのは僥倖だった。フレア嬢は実家の仕事を知らないため本当にただの偶然、あの優秀な友人なら何か気付いている可能性はあるけれど。


「それにしてもフレっちが負けるとは思わなかったなー」


 入学式後に行われたフレア嬢とアルク・スティングとの決闘、学生達の魔法適正は実家の力を使うまでもなく、特殊な事情で秘匿申請が出されていない限りは誰でも知ることができる。戦闘に向いた2属性で上級が使える世代を代表する天才フレア嬢、全適正だが中級魔法すら使えないアルク・スティング。魔力量が多い魔法使いには魔力障壁によって初級魔法は通じない、その常識を覆した勝利。


 諜報を専門とし、この国の情報を管理する実家はアルク・スティングが使用した魔法の詳細を秘匿する方針を王に進言した。熱中症は熱帯地域等で見られる疾患、熱い地域で起こるとは知られていても、具体的にどのような条件で発症するかはまだ判明していない。


 というのも考えられる可能性が多く絞り込めていないのだ。特定の地域で起こる感染症のようなものなのか、気象条件によって引き起こされる疾患なのか、発症する人間としない人間の違いは?ベルデ王国では見られない症状に遠方までわざわざ軍を派遣して調べる価値はあるのか?


 その条件をアルク・スティングは詳細まで知っていたということ、さらに魔法攻撃に昇華までしてみせた。先天的な適正が必要にはなるが一度実現されたということは他の者にも可能だということ、そしてこの詳細条件を自国だけが知っているという優位。


「でもなんでアルるんはあそこまで詳しかったんだろ?」


 どの国でも持っていない熱中症の詳細条件、事前調査でアルク・スティングの来歴は調べつくされている。調べられる原因となったプリム嬢への求婚、それ以前は普通の貴族家子息の経歴であったし、それ以降は聞いた瞬間正気を疑ったが、熱中症の条件は読書や冒険者伝手に知れる情報ではない。


 しかし実家はこれを幸運だと捉えた。情報が判明した以上、大事なのはなぜ知っているかではない、誰が知っているかだ。しかもその情報源は自国の公爵令嬢に惚れており、来歴に怪しい点もない。調査は継続するが、その上で懸念点がないならば抱え込む方が有用である。


 誰も知らない情報を持っていた少年の知識が、熱中症だけにとどまらない可能性があるのだから。そしてその実家の予想は恐らく当たっているだろう。


「アルるんコーディネート詳しすぎるし」


 彼の強さはこれまで行われてきた訓練の質と量に支えられている。その上で、王都で歴史の浅い私の服装にまで深い見識を見せた、予め知っていないと不可能なほどに。


「絶対なにかあるとは思うんだよなー、けどなにがあるのかなー?もっと仲良くなったら教えてくれるかなー?」


 正直、今回の調査対象がアルク・スティングでよかったと個人的に思う。調査任務の対象はその必要が発生した相手、つまり大半が本人の悪評調査だとか、密偵かの確認とか、悪人に対して仲良くしないといけない任務であることが基本だ。


 どんなに注意深い相手でも、子供相手なら気が緩む、場合によっては子供相手だからこそという変態もいる。諜報を主とする家に産まれた私は小さいころからそういったことを仕込まれ、そういった仕事もこなしてきた。唯一、女を使わずに済んだのは直系だったからだ、これが傍系ならばそれすら望めない子もいる。


 その点アルク・スティングの調査なんて天国だ、ただ彼の友人として学生生活を楽しんでいればいい。本人の気質も好ましいもので、プリム嬢に惚れているから女を使う必要もない、むしろ使ったら逆効果だろう。


「それにしてもこんな長期調査するってことは公爵家は本気なんだねー。まあアルるんの才能を見たらそれもそうか」


 ベルデ学園3年間にも及ぶ長期調査、それも教師という遠い関係ではなく、同級生という立場を利用しての近い関係を用いての詳細なもの。公爵家からアルク・スティングに課された条件のうち一つは生半可なものではない、というか流石にレイン公爵の正気を疑うもの、有名な親バカが暴走して貴族の責務を忘れ破談させたいとしか思えなかった。


 しかし彼はフレア嬢を上回ってみせた。それほどの才能、軍務を司る家で迎え入れることができるなら理想的な人材だろう。惜しむらくは彼が惚れている相手はプリム嬢で、レイン家を継ぐフレア嬢の婿とすることはできないだろうということ。ただ、トップに据えることができれば理想だが、補佐の立場でも十分な益となる。


 問題となるのは一点のみ


「フレっち確実にアルるんに惚れてるよねぇ…、まあフレっちならそうもなっちゃうかー」


 歴代でも屈指の才能を持つと言われる私の友人、貴族のトップに産まれながら、貴族的なことが好きじゃなくて、好きなことは戦うこと、そしてそれに応える才能を持ったが故に、貴族としても、魔法使いとしても対等な友人には恵まれなかった孤高の令嬢。


 私でも家の都合で完璧に対等に付き合えてはいない、しかしアルク・スティングは家の差など関係ないというようにフレア嬢をただのフレアとして見ている、そして戦闘においても彼女と同等の力を見せた。


 それに惚れている相手の提案でなかったら、いくらなんでも私のような服装はしてくれなかっただろう。


「初めての対等に接してくれる友人が、大好きな戦いでも自分と対等なんだもんねえ。魔具の場所も変わってたし、フレっち乙女だな~」


 魔具の場所なんて普通は気にされないし、どこにあろうとそういうものとしか思われない。魔具に変化が起こる現象の理由を知っているのはごく一部、だからこそ話題になっていないが、家柄上そういった点にも注意を払う私は気付いたし、今日のフレっちを見ていたらそのきっかけにも察しは付いた。


「アルるんは乙女の左手薬指に指輪をはめた責任を取れるのかな?」

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