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59.5:下馬評

 こんなに!この話の登場人物を増やすつもりなかったのに!書き始めたら増やすしかなくなった!だって居ないと不自然だから!おかげでいつもより少し長めになりました。この次に書き始めるアルクとフレアの決闘は自分が書きたかったシーンその2です。その1は26:出会いのところです。なので出来る限り頑張って書きたいなと。あと今回はあとがきを書きました、なので長く感じたらごめんなさい。

 ベルデ学園応接室、応接室とは言うがこの部屋で応接される人物はこの国に一人しかいない。ベルデ王国国王、レオン・ベルデ。王位に就いてから多くの改革を進め、ベルデ王国が近隣諸国の中でも頭一つ抜けた国力を持つに至った中心人物。


「全く面白い娘に育てたな?コンラート?」

「育て方を間違えたと反省しています、陛下」


 今この場にいるのはこの国の根幹を成すトップ達、ベルデ王、ロイド宰相、ドメコフ内務卿、ディマロ外務卿、ルマニ財務卿、レイン軍務卿の6名と最低限の側仕えのみ。王城でもない場にこの6名が一堂に介する。この国においてベルデ学園が、魔法という才能が、どれだけ重視されているかという証左だ。


「陛下も流石に新入生に決闘の許可を与えるのは…、まして決闘が必要な事案でもないでしょうに…」

「ロイド、お前は細かいところを気にするからすぐ胃薬が必要になるんだ。決闘の理由など俺が見たいからでいい、ましてこの国の未来をここにいる全員で直接見れるのだ、十分に国益だろうが」

「陛下の無茶を通す私の身にもなってくださいよ…」


 ロイド宰相、この国のNo2。王に次ぐ権力者でありながら、次ぐもののいない苦労人。心労により生まれた美しい白髪と、充血と調和する赤い瞳、公の場ではない彼を見れば、とある少年はこう評するだろう、社畜ヴァンパイアと。


「実際レイン卿のお嬢様はどれだけ優秀なのですか?かなり優秀であるとは聞いていますが」


 レインに問うのはディマロ外務卿、この場にいる者達とあまり変わらぬ年齢ながら、そうとは思わせない若い風貌。で、ありながら決して若造と舐められることはない知性と品性を感じさせる。本心を見せないのではなく、()()()()()()()で魅せる人たらし。


 外交を司る者にとって、自国の軍事力は最重要案件だ。相手より強大であれば多少の無茶は効くし、相手より矮小であれば多少の無茶も聞かなくてはならない。そして、吹き飛ぶような弱さでは、交渉のテーブルを用意することもできない。


 そんな彼にとってフレア・レインは実質的なレイン公爵家の跡取り、次世代の軍事力に直結する。


「…正直、フレアが息子であったらどれだけ楽だったかと思うことは幾度もある。才能も、本人の素質も、私よりも上だ」

「4属性で上級魔法を扱うあなたがそこまで言いますか?親バカが入っているのでは?」

「残念ながらこれは軍務卿として見た意見だ」

「それは頼もしくもあり恐ろしくもありますね…」


 もし、フレアがもう少し爵位の低い家であれば何も問題はなかっただろう。だが公爵家は国の中枢機関、そのトップを担う家、当主が女性では不都合が生じる。それはこの国が男尊女卑というわけではなく、女性にのみ生じる月経、妊娠という生理現象。一分一秒を争う判断が必要とされる場面も多い彼らの役職は、女性が担うには重すぎる、まして後継者を絶やすわけにいかない以上、妊娠を諦めるわけにもいかない。


 だがフレアは女性。婿養子を取り、次の軍務卿とするしかない。実力が重視される国風で、婿養子に妥協はできず、軍務卿の席を権力欲から狙うものも当然いる。これがレイン公爵が男であればと憂う理由。


 そして強大すぎる力は恐れを呼ぶ。頭一つ抜けた軍事力程度なら問題ない、だが抜けすぎてはいらぬ懸念を抱かせ、最悪四面楚歌を生む。それがディマロ外務卿が恐れを抱く理由だ。


「決闘相手のアルク・スティングと言ったか、プリム嬢にロマンティックな求婚をしたと噂になっていたじゃないか。レイン卿は少年をどう見ているのだね?初級魔法を使いこなすと聞いているが?」


 決闘相手となる少年について尋ねるふくよかな男性はドメコフ内務卿。ベルデ王の改革により初級魔法は内政に欠かせないものとなっている。魔法を活用した農業は順調にいっており、製造業や医療等、様々な分野で初級魔法は活躍している。そんな初級魔法を使いこなせる人材にドメコフ内務卿が興味を惹かれるのも当然と言えるだろう。


「彼の今の強さを私は知らない、参列していたケイン本部長であれば何か知っているかもしれない」


 そう言うとレイン公爵は側仕えにケイン冒険者ギルド本部長をこの場に呼ぶよう伝える。自分だけなら出向くのも気にならないが、流石に王を出向かせるわけにはいかない。


「待っている間に私が知っている2年前の彼の話であれば、最初の印象は利発で心優しい少年、その次は娘を狙う不届き者、別れる直前では魔法の新たな可能性」

「ほう、新たな可能性とまで言うかね」

「ええ、もしかすると、ルマニ財務卿も無視できない富を生むかもしれない」

「え、儂の仕事増えかねないレベルなの…」


 仕事増加の危機に慄く老人はルマニ財務卿、昼行灯な老人に見えてベルデ王がここまで改革を進められた原因の1人。王の進める改革、その先を正確に見通し、無駄金にしか思えないと言われようと、必要であれば決済を強行した国庫の番人。王発案の発毛剤研究費は「人間年とりゃ禿げるもんじゃろ」と言って許してくれない。ちなみに彼の髪はふさふさである。


「彼の魔力操作技術は異常だった、別属性の多重発動という2属性ですら難しい技術を、彼は3属性で、バイオリンを奏でながら精密に操作してみせた」


 レイン公爵から語られた少年の詳細、異常な魔力操作を用いて行われた水と光、音を用いたショー。魔法とは戦闘に使うものである、魔法とは生産に使うものである、魔法とは生活に使うものである。魔法の活用において、周辺諸国から一歩抜きんでていると言われるベルデ王国においてすら未だなかった可能性、魔法の芸術、娯楽への活用。


「魔法を活用した娯楽芸術…、それは仕事が増えるのう…。やるなら儂が辞めた後にしてね?」

「なら早く後継者を決めろ、ルマニ」


 老人が未だ財務卿という役職についている理由、後継者に悩んでいるのだ。財務というのはとても難しい、ただ節約すればいい、ただ投資すればいいというわけではない。費用対効果の見極めは必要だが、それが全ての分野で必要なわけではないし、場合によっては国民の消費を止めないために国が浪費する必要もある。


 ルマニ財務卿が優秀すぎるがゆえに、後継者に求めるレベルが高く、仕事をしたくないと言いながらも責任感が強いがゆえに後継者を決められない。これは彼の息子達が優秀じゃない、というわけではなくただ老人と比べ少し締めすぎる長男と少し緩めすぎる次男で一長一短なだけではあるが。


「それで、レイン、お前はどちらが勝つと思う?」

「アルク・スティングが今どれほどの使い手になっているかはわかりませんが、それでもフレアが負けるとは思えません」


 レイン公爵の見立ては軍務卿として至極全うな見立て。少年がどれだけ魔法に優れようと使えるのは初級まで、初級魔法では魔力量の多いフレアに有効打は与えられない、ならば活路は魔具による近接戦となるわけだが、彼女は剣の才能においても超一流であり、軍務卿である父の課す訓練を嬉々としてこなしていた。


 王にそう応えながら、少年が見せた魔法の可能性、その広さと深さを見たいがために無理難題を課した本人としては、その予測を裏切ってほしいという気持ちはこの場では飲み込んだ。


「ケイン本部長がいらっしゃいました」

「おお、通すがよい」


 側仕えから先ほど呼んだ相手の到着が伝えられ、応接室には1人の男性が招かれる。 


「王命に従い参上いたしました、陛下」


 王都冒険者ギルド本部、ケイン本部長。先日見た少年の本気の戦闘を楽しみに待っていたら突然国王に呼ばれ、野次馬気分が消し飛んだ哀れな男性。


「うむ、楽にしてよい、少し聞きたいことがあってな」

「聞きたいことですか?」


 ケイン本部長に用件が伝えられる、アルク・スティングがAランク冒険者ガーランドとBランク冒険者サラを師匠とし、冒険者として活動していることをレイン公爵が知っていたために、ギルド本部長として何か聞いていないかと。


「ああ、彼のことでしたか。ガーランドへの正式な長期依頼でしたので、報告は受けています」

「ガーランド殿は少年のことをなんと言っていた?」

「戦術の天才であると」

「ほう?」


 ケイン本部長から語られる、少年の師匠からの評価。武術の才は普通、魔法は魔力操作に著しい適正を見せるが初級しか使えないため決定力に欠ける。真面目にやっていけばCランク冒険者になれる程度の才。それが彼の師匠からの最初の評価だった。


 しかしその評価は徐々に変わる。少年が秀でていたのは魔法の使い方、魔具の使い方、そして辛くなっていく訓練に折れない心の強さ。

 

 出来ることが多いというのは利点もあるが欠点もある。どんな状況でも選択肢があるという利点、どんな状況でも選択肢が多すぎるという欠点。けれど少年は選択を間違えない、それだけにとどまらず持てる手札を組み合わせて最適解を生み出していく。


 だからこそ師匠は少年の手札を増やすことにした。いくら戦術の天才でも、出来ることがなければ意味がない。赤子が大人に戦いで勝つ戦術を考えろ、と言われても取れる戦術なんてないのだから。けれど出来ることが多ければ多いほど、その才能は遺憾なく発揮される。


 結果、少年は真面目な訓練、ではなく狂気に満ちた訓練を乗り越えて、学園入学前にCランクに到達した。師匠が最初に評価した、少年の最終到達点に。


「ケイン殿はどちらが勝つと思われる?」

「どちらの強さも直接見たことがないのでなんとも…、ただガーランドが評した彼の戦術面は興味を惹かれますね」

「そうか、話してくれて感謝する。下がってよいぞ」

「はっ!あぁ、それとレイン公爵、こちらに来るときにアルクくんから伝言を頼まれまして」

「アルクくんから?」


 ケイン本部長は式典が終わり、顔見知りということで今回の騒動の主役に挨拶に行っていた。その時に王の側仕えから呼び出され、もしレイン公爵が傍にいればと伝言を預かっていたのだ。


「責任取ってちゃんと後でフレアをしかってください、親バカ公爵とのことです」

「……」


 国を率いる者達の笑い声で応接室が満たされる。本来ならば伯爵家の子息が公爵に向けてこのような言い分、許されるものではない。しかし全員が思っている。親バカ教育の被害を受ける少年には、それぐらいの恨み言を言う権利はあるだろうと。

 土日で評価とリアクションを頂きました。貰っていた評価は自分がこれを書くきっかけとなった友人が激励で入れたと思われる星5だけだったのでまあ必然星1を付けられたんだなってわかってしまうんですが、面白いことにそれでも嬉しかったんですよね。

 つまらないと思われたんだ、と凹むのではなく、自分の作品を評価するというひと手間をかけてくれたんだという喜びです。どうしても合う合わないはあるし、初めて書いている素人作品、低評価も当たり前、つまらないと思えばただ読まなくなるだけなのが普通なのにひと手間かけて評価を付けてくれたんです。

 リアクションに至ってはいいねをつけていただけました、いいねと思って、ひと手間かけてくれたんですよ。

 あとがきで恐縮ですが、評価・リアクションを付けていただいた方、本当にありがとうございます。そして読んでくださっている方、あなた方の時間を自分の作品にくださってありがとうございます。


 あとがきは基本書かないのですが感謝だけは伝えたかったのでたまにはということで。

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