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57:放課後、初日

「だああああ!負けたああああああ!!」


 負けた負けた負けたぁ!しっかり全力でやって、打ち合って、筋力という優位をもった上で負けた、完敗だ。


「アルクって自分よりも膂力で劣る相手との実戦経験があまりない?」

「フレアみたいなタイプの剣士との戦いは経験がないかな、ガーランドに対処とかは知識として仕込まれてるけどね」

「やっぱりそうなのね、その上で私と剣で互角なんだから本当よく鍛えたわね」


 俺が今まで戦ってきた相手は年齢の問題もあり、強化魔法を使った上でよくて同等、基本的には俺より力が強い相手との戦い。俺とフレアとの戦いで言えば俺は常にフレア側、力を受け流し、速さで翻弄し、技で隙を通す、そういう戦い。それをされる側に立ったことはない。


「2人とも素晴らしい戦いだった、2年次編入で騎士科に興味はないか?」


 ベルデ学園に通う魔法使いは1年目は魔法科に通い魔法の基本を学ぶ、そして2年目のタイミングで好きな学科へと編入することができる。俺やフレアのように既に魔法を修めている者であっても、魔法科のカリキュラムを前倒すことは出来ても初年度から他学科に入ることはできない。


「あー、俺は魔法科でやりたいことがあるので」

「私は1年間学園を見てから決めようかと」

「そうか、2人の実力なら騎士科は喜んで受け入れる。アルク・スティングはこのレベルで他の武術も使えるのだろう?選択講義で騎士科の講義にも顔を出して貰えないか?」

「まあそれでしたら」

「楽しみにしているよ、2人とも武術は共に満点だ、ケチの付けようもない」

「「ありがとうございます」」


 担当官に礼を伝え、俺達は共にその場を後にする。これで入学時試験は終了となる。実技試験は担当官の判断によって実力の高い者同士は順番を後回しにされる、これは後から模擬戦を行うものが高いレベルを見たせいで萎縮することがないようにするための措置だ。


 つまり俺達の模擬戦は最終戦、本来ならば他の学生達は帰っていてもいいのだがそれでも同級生トップの剣術はどういったものだろうという興味で残るもの、噂に聞くフレア公爵令嬢の剣を見たいと他会場からこちらに来た者、武術のみで戦う俺を見たいと集まったシーク達馬車仲間。明らかに剣の受験者数よりも多い学生達が会場にいた。


「アルク、お前に勝てる人はいるって言ってたの本当だったんだな…」

「アルク様が負けるとは思いませんでした…」

「負けるつもりはなかったけどね、才能にかまけて鍛錬を怠ったりしない、フレアは流石だよ」

「アルク?こちらの2人は?」

「ああ、こっちの男の子はシークで女の子がメイ、馬車が一緒だったんだよね。シーク、メイ、こちらはフレア・レイン公爵令嬢、今見た通り剣術最強のお嬢様だよ」

「ごきげんよう、お二人とも、フレア・レインと申します。これからは学友となる身、立場は気にせず仲良くしていただけたら嬉しいです」

「「よ、よろしくお願いします…」」


 あまりに完璧な令嬢モードのフレアの挨拶にシークですら畏まって敬語を使ってしまっている。だまされるなシーク、この女はこれでも結構な暴君だぞ。それをバラしたら暴の力が俺に向くから教えることはできないけど。


「じゃあアルク、私は失礼するわね。もしよかったら今後の訓練相手を引き受けてくれると嬉しいのだけど」

「構わないよ、むしろ俺からもお願いしたいかな、フレアみたいな剣士との経験は積んでおきたいし」

「そ、ありがと、じゃあね」


 簡単な約束を交わしてフレアは会場を後にする。フレアの申し出は俺にとっても渡りに船だ、知識としては知っていても、技で流す剣士との戦いが不足していた。その歯車が嚙み合っていない僅かな軋みは技で戦うような剣士には絶好の狙い目だ。


「アルク…、お前公爵令嬢とあれだけ親しげに話せるなんて本当に偉い奴だったんだな…」

「シークくん?相手が公爵令嬢となった瞬間に俺とは随分と態度が違いすぎないかね?君にとってはフレアも俺も同じ貴族なんだよ?」

「いや…フレアさんはこう、お嬢様!って感じだけどアルクは…なぁ?メイ?」

「し、親しみやすいってことですよ!アルク様がお優しいから!」


 メイ、君もか。出会った時のシークを諫めてた君はどこに行ってしまったんだ。


「メイの弁明に乗っておいてあげようか。じゃあ俺も着替えて帰るから、また今度ね」

「おう、また稽古つけてくれよ!」

「私もお願いします、アルク様」


 手を上げて2人に承諾の意を示して更衣室に向かう。さっさと汗を流して着替えたい。


 着替えを終えて、1人帰路につく。来週からはリースも一緒に帰ることになるだろうけれど、自分の準備等を優先するように言ってあるし、今週はほぼほぼ1人行動になるだろう。そうなると問題は夕食なわけで、学生食堂は昼だけだし、自炊しようにも自室にはキッチンもない。貴族の夕食は使用人が使用人寮で作り、貴族寮で配膳される、そのため両館は連絡通路で繋がっている。


「そういえばガーランドからギルド本部に顔出しとけって言われてたな」


 冒険者ギルド王都本部、ベルデ王国にある冒険者ギルドの総本山。在学中利用することもあるだろうし、俺の情報は本部にも行っているから面通しぐらいはしておけとのことだった。冒険者ギルドなら夜も食堂がやってるしそこで食べればいいか。そうときまれば


「たのもおおおおおおお!!」

「「!!!???」」


 冒険者心得その1、冒険者たるもの舐められるべからず。その2、冒険者は面白いやつが好き、その3、4がなくて、5に冒険者は祭りが好き。


 喧嘩祭りじゃあああああい!

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