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94:1日目、終了

HIF配信を見ながら書いていますが、なんで学マスの曲てこう、泣き曲じゃなくても泣いてしまうんですかね。

 騎士と姫騎士、初回公演が無事終了し、魔法による派手な戦闘演出はもちろん、闇魔法と光魔法を活かした時間帯の演出、水魔法と土魔法を活かした舞台表現などはかなり好評で演技の拙さを補って余りある感動を観客に届けることが出来たらしい。


 俺は従者科のメイド喫茶にいつもの5人でお邪魔し、それぞれが漏れ聞こえてきた演劇の評判などをフィードバックしあっていた。


「どっちの演目も結構評判よさそうでよかったね」

「演技とか初めてだけど、魔法のおかげで見てる人は楽しめてるみたいだな。これでつまらないとか言われたら俺が酷い目に合ってる甲斐がねえよ」

「小さい子供とかは家族とお化けの方が好きそうよね」

「確かにお客さんは家族連れが多かったよ」

「騎士と姫騎士は貴族と芸術科が多かったよー、ストちゃんが脚本書いたっていう話が広まってるみたい」


 客層、反応、評判、今から演目を変えることは出来ないけれど、細かいブラッシュアップぐらいなら出来ることもある。俺達の演劇を見に来ている人は、ベルデ学園祭という魅力的な出し物が多い中で貴重な時間を俺達に割いてくれている。ならばその選択を後悔させないようにする努力を惜しまないこと、演劇を学ぶにあたって、ノエル先生から最初に教えられた芸事に携わる者の心得だ。


「ご主人様、お嬢様、料理をお持ちしました」

「ありがとう、リース」

「いえ、せっかくお越しいただいたのにあまり時間を取れず申し訳ありません、アルク様」

「かなりお客さん多いからね、こっちこそ時間取らせてごめん。頑張ってっていうのも違うか、楽しんでね」

「はい、それでは失礼します」


 俺達が注文した料理を置いてリースは仕事へ戻っていった。従者科に通うのは小さいころからスティング家でメイドをしていたリースにとってあまり関わる機会のなかった年の近い人たち、そんな彼ら、彼女らと接するのは新鮮だったようで半年で多くの友人が出来たようだ。


 なおカリーナから聞いたところによると美人なのに自分のことに無頓着で、仕事はしっかりしてるのにプライベートは抜けてるところもあるために男子達から大人気、女子からはこれ守らないと騙されかねないなとガードをされているらしい。姉がご迷惑おかけします…


「とりあえず飯も来たし、演劇のことはこのぐらいでそっちが見つけた良さそうな出し物教えてくれねえ?」

「シーク達はあまり会場見れなかった感じ?」

「お化け終わってすぐこっちに来てみたら1時間待ちって言われたから来ておいてよかったよ」

「外にあれだけ並んでたものね、悪かったわね」

「おー、お2人さんごくろーごくろー!」


 会場巡りで見つけた出店、その間にフレア、キャロるんから聞いた情報、それらをシーク、メイと共有していく。ものによっては全員で、または手分けして、しっかり作戦を立てて5人で人海戦術を駆使すればかなり効率よく学園祭を楽しめる。やはりこういう催しで必要になるのはファン〇ルだ。


「しかしティンパニを頭で破るってなんだ…?」

「楽器ってそんな壊していいものなの…?」

「でも二人も見たいでしょ?」

「「…みたい」」



 わかるよ、意味わからないよね、でも意味わからないからこそ見たいよね。とりあえずこれは5人参加決定だな。


「皆食べ終わったしそろそろ出ようか」

「芸術家のコンサートって室内ホールでいいのよね?」

「そうだよー、あと30分ぐらいで始まるかな?」

「今からいけば丁度いいな」

「私たちは終わったらそのままお化けの方に行っちゃうね」


 5人でメイド喫茶を出て、室内ホールへ。軽食系は明日、魔法科御用達の空き教室でリースやカリーナも呼んで楽しむことになった。少し待っていたらクラシックコンサートが始まり、高い技術、高い表現力を持って多種多様な音が奏でられていく。リリィちゃんに楽器のことを教わっていたからこそわかる技術力の高さ、表現の豊かさ、細やかな所まで行き届いた繊細な演奏、どれだけ俺が音楽を学んでも表現できないだろうなと思わせるほどの感動が体全体へと響き渡る。


 これが芸術家の生徒の本領、ストーリアに書いてもらった脚本を呼んだ時も思ったが、芸術科への入学を許されるということのハードルの高さを思い知らされる。魔法の才能があるだけで入学が決定する魔法科とは全く違う。


 静かに音楽を楽しむことしばらく、ついに俺達がここに来た理由が披露される時が来た。ティンパニを壊してしまう以上、その曲が演奏されたのはコンサートの最後、数々の名曲を体全体で楽しんだその締めに、奏者が頭を振りかぶり、思い切りティンパニの打面に振り下ろした!


 バリィッ!!


 ………最後にティンパニを破った奏者の体はそのまま、他の奏者たちが立ち上がり、指揮者もこちらを向いて一礼する。結果的に奏者全員の頭が下がったまま、静かにステージの幕が下りて行った。


「俺さ、音楽って講義でしかやってねえけど、すげえ演奏だったってのはわかったし、これが芸術ってものなんだろうなって思ったんだけど、最後で芸術がわからなくなったわ」

「…ちゃんと勉強した俺でもわかってないから安心していいよシーク。この中で一番芸術に精通してると思われるフレアはどう思う?」

「…私は付き合いでの鑑賞が主だったし、見たいって言いだしたキャロルの方が詳しいわよ」

「えぇ!?フレっち私に振るの!?えっと、ほら最新の芸術って最初は理解しにくいものだから!」

「キャロるん…それわからないって認めてるじゃない…」


 地球でもゴッホは生前売れなかったし、ピカソも何が凄いのか一般人にはわからないし、そういうものなんだろうきっと。…いややっぱりそれと並べるのは違う気がするな?

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