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第3話 幼馴染の部屋に盗撮された写真がたくさんあった話

気付けば、僕は美咲の家の玄関に立っていた。


隣の家。


小さい頃から何度も遊びに来た場所。


それなのに、今日はまるで知らない家のように感じる。


「さ、入って。」


美咲は優しく微笑み、僕の背中をそっと押した。


その笑顔に逆らえる勇気は、もう残っていなかった。


玄関をくぐる。


ガチャリ。


背後で鍵の閉まる音が響く。


「……鍵、閉める必要ある?」


恐る恐る聞くと、美咲は首を傾げた。


「え?」


「蒼真が帰っちゃったら困るもん。」


当たり前のことを話すような口調だった。


「さ、ご飯できてるよ。」


リビングへ案内される。


テーブルには僕の好きな料理ばかりが並んでいた。


ハンバーグ。


ポテトサラダ。


コーンスープ。


食後のプリンまで用意されている。


「……なんで。」


「昨日のうちに作っておいたの。」


「蒼真は絶対来るって思ってたから。」


僕は何も言えなかった。


「冷めちゃうよ?」


促されるまま椅子に座る。


「いただきます……。」


一口食べる。


美味しい。


悔しいくらい、美味しかった。


「どう?」


「……美味しい。」


その瞬間、美咲は子どものように笑った。


「よかった!」


「蒼真のために頑張ったんだよ。」


その笑顔だけ見れば、普通の幼馴染だった。


でも。


普通の幼馴染は、警察署の前で待ち伏せなんてしない。


普通の幼馴染は、部屋に盗聴器を何個も仕掛けたりしない。


「アッ食べ終わった?じゃあお皿片付けてくるから待っててね」


そう言うと美咲は流し台に食器を片付けに行った。一瞬逃げようかと考えたが、さすがにこのわずかな時間では厳しかった。


「よし、ねぇ蒼真?久しぶりに部屋で遊ばない?」


「えっ、いや、もう帰ろ――」


「遊ばない?」


「ハイアソビマショウ」


拒否権なんてなかったのだ。


僕は半ば強制的に美咲の部屋に行くことになった。そして部屋の扉を開けると、そこには想像もつかないような光景が広がっていた。


「……僕の……写真……?」


そう。そこには僕の、おそらく盗撮したであろう写真が大量にあったのだ。


「そう!私が恋心を自覚した小学4年生から高校生の今までたくさん写真に撮ってたんだ~!」


その光景を見て、僕はめまいがした気がした。


一歩後ずさる。


その瞬間、視界がぐらりと揺れた。


「……あれ?」


足に力が入らない。


「なんだ……これ……。」


美咲は慌てる様子もなく、ゆっくり僕へ近づいてきた。


「効いてきたみたいだね。」


「これでやっと、二人きりだね。」


そんなことを言いながら僕の視界はだんだん、かすんできた。


最後に見えたのは、嬉しそうに微笑む美咲の顔だった。






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