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崩壊世界でマンション暮らし ~家賃はきっちりもらいます  作者: 二時間十秒


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会議開催

 俺が掲示板に星魔石の使い方などの話し合いをしたいという旨を書いてから四日後、以前やったのと同じように住民はマンション裏の芝生に集合した。


 ただ今日は……全員は来ていないようだ。


 星魔石でやれることは事前に同じく掲示板で伝えている。そうじゃないと、ここに来てから考えてたら時間が無駄になるしな。

 つまるところ、来ていない人は、これといった希望がないってことだ。


「結構来てない人いるねー」


 車座に芝生の上に座っている俺達の中で、俺の右隣にいる雪代が言った。


「まあ、星魔石でできることはある程度選択肢限られてるからな。あの中にやりたいものがなければ……あるいは嫌なことがなければ、来ないだろう」

「そうかしら? ちゃんと意見は表明しないとダメよ」


 俺の言葉に反論したのは正面にいる天音。


「まあまあまあ、参加自由じゃないですか。来てもうんうんしか言わないなら同じことですし。ね?」


 日出が場が荒れないように穏便に話すと、天音もそれ以上は言わなかった。

 なんの商品を買うか、みたいな自分の日々の生活に直結することと違って、マンションをどうこうするって話だとさほど興味ない人もまあ出るよな。

なんでもできるならともかく、タワマン化やマンション外監視みたいな限られた選択肢じゃ、どれもやってもやらなくてもいいとなっても理解はできる。


とはいえせっかく話し合うなら集まるべきという天音の気持ちもわかる。

が、今はそれについて議論するより、本題に入ろう。


「ともかく本題に入ろう、特別な魔石でできることは、掲示してたからみんなもう把握してると思う。意見はある? …………じゃあまずは綾瀬さん」


 すっ、と手をあげた綾瀬に話を振ると、立ち上がって喋り始めた。


「うちはマンション外監視か、敷地拡張がいいと思うね。監視の便利さはうちのマホウでよく知ってるし。っていうか、他のが微妙? タワマン化って、広さは同じで高くするだけに意味があるん?」

「はいはいはい! 意味ありあり! 景色がキレイ!」


 雪代が空を指さす。

そういえば前も雪代はタワマン推してた気がする。


「雪代~、それだけのために使うのはもったいないって。しかも、エレベーターに毎回長い時間乗らなきゃいけないんでしょ? 景色って言っても、夜景が見られるわけでもないし。……っていうかそもそもこの空間って高いところから遠く見たらどうなるの?」


 綾瀬が何気なく呟いた疑問に、答えられるものはいない。

 たしかに、どうなってるんだ?

 素直に考えたら、延々とこの芝生が続いてるんだろうけど、そうなると高いところから景色見てもなって感じもする。今ここで見てる芝生の景色と大差ないよな。それこそ、夜景だったり、いろんな自然が遠くにあればタワマンも楽しいだろうけど。


「景色が微妙なら、新しいマンション建設ってのはどうだ?」


 そう発言したのは久我。

 二日酔いでもして朝の会議は来られないかと思ったのに、意外とやる気あったようだ。


「すでに第二マンションあるのに? そのこころは?」

「その第二マンションがあるからだよ。アレ結構儲かってるんだろ? へへへ、儲かってるもんならいくつあってもいいじゃねえの。二個ありゃ二倍。三個なら三倍稼げるぜ」


 シンプルだがなかなか的を射てるな。

 正直ありだと思う。稼げば稼ぐほどおいしいわけだし。


 だがここで楓が手を挙げた。


「あの、久我さん。そのことなら第三マンションを作らなくても稼げますよ」

「は? どういうことだ?」

「第二マンションが大きくなったんです。多くの人があの美容室を利用したからだと思いますけど、最初は一部屋だけの小さいマンションだったじゃないですか、でも今では2階まで2部屋ずつ合計四個の部屋があります。なので、新マンション作るまでもなく、お店もあと3つ開くことができますよ」


 楓の教えてくれたことは俺にとっても驚きだった。

 最近行ってなかったけど、前に髪切ってから今までの間に進化してたらしい。というか一応俺の能力なのに、成長したこと感じ取れたりはしないんだな。自分の目で見ろってことか。


「そうなるとたしかに第三マンションは必要ないな。むしろ、そっち――第二マンションに新たに開くお店を話さなきゃいけない気がする」

「はい。私もてっきり会議でそれを話すのかと思ってました。そしたら、星魔石のことしか書いてなかったので、あれ? と思ってたんですけど、気づいてなかったんですね九重さん」

「ああ。そんな頻繁に髪切るわけじゃないし」

「え、じゃあどうする? そっちの話始めちゃう?」

「雪代の言う通りそっちも話したいところだけど……今ここじゃ、サービス通販でなにができるか確認できないからな。ある程度は覚えてるけど、ラインナップ全部記憶してるわけじゃないから判断しようがないな」

「あ、そっか。私も覚えてないや。マッサージとカテキョがあったことは覚えてるけど、他には……うーん……なんだったかなあ……」

「というわけ。事前にリスト作っとかないと無理だからそれをやるなら仕切り直してから。とりあえずこっちを片付けてその後サービス会議といこう」

「りょーかい。……そういや九重さんは何がいいの? 星魔石」

「俺? 俺は……」


 いくつか考えてたのはあった、その一つはさらなるマンション建設だったけど、それが必要ないなら……。


「残るは敷地拡張かな」

「敷地拡張?」

「ああ。今でもこうやってゆっくりするには十分だけどもっと広ければもっと色々やれるようになると思うんだ」

「良いこと言うねえ九重! うちもそう思う」


 綾瀬がサムズアップで同意してくれる。

 さらに綾瀬は言葉を続けて。


「やっぱりさあ、運動したくない?」

「毎日体動かしてるわよ、探索で」

「違うの天音! そういうのじゃなくスポーツ! 欲を言うならうちはバスケのゴールも欲しい」

「だいぶ欲深めたわね。天音はスポーツ別に好きじゃないけど、でもたしかに広く走り回るにはちょっと手狭かしら。木もたくさんあるし」

「そうそう、ここで癒しの一時すごすには木陰の芝生で最高だけど、スポーツするには障害物ってことよ。だから広くしたいなと思うわけ、うちは」

「あっ、僕も賛成です。バドミントンしたいですねー、久しぶりに」

「お、いいじゃないの日出。ね? どう? 皆?」


 綾瀬は敷地拡張をかなりの激推ししている。

 俺も敷地拡張したいからこれは願ったりかなったりだ。


「スポーツ以外にも、もっと広い畑を作ることなんかもできるし、土地が広ければ可能性も広がるな。ちょっと可能性深堀りしてみてもいいかもな」


 そうして敷地を拡張するか否か、何ができるかできないか、俺達マンション住民は最後の議論を開始した。


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