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崩壊世界でマンション暮らし ~家賃はきっちりもらいます  作者: 二時間十秒


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ジグソー

「何やってんだ久我」

「何ってマッサージだろ見りゃわかるだろ。坂道歩き回ってつかれただろ九重だってよ……あいててててて!」


 久我はサービス通販のマッサージを利用していた。いつもの青いシルエットが久我の足をぐいぐいと押している。


 この足つぼマッサージはかなり効くから叫ぶのもやむなしか。

 ――でも窓は閉めるべきだ。


「あ? 声聞こえてたか?」


俺が無言で窓を閉めると久我が言った。


「そりゃそうだそんな絶叫してたら。何事かと思ったんだからな」

「あーそれで来たのか。わりぃわりぃ、まあ見ての通り全然問題ないぜ、痛いほうが効くからよ」

「見ればわかる。にしても早速MP贅沢に使ったんだな」

「たっぷり稼いだからな、数百くらいなら許されるだろ、へへへ」


 布団にうつ伏せになったまま、顔だけこっちに向けている久我と会話をするのはどことなくシュールだ。


「……お。終わったか?」


 青いシルエットの手が止まり、頭に『マッサージ終了いたしました』と文字が表示された。

 久我は立ち上がり、関節を鳴らしながら「おっ、すげえ効いてる! 足も肩もすっげー軽い!」と喜色満面だ。


 そうこうしていると青いシルエットは部屋から出ていき消えていった。


「じゃあ、俺も部屋に戻るから」

「せっかく来たんだし祝勝会でもしようぜ、体が軽くて気分いいんだよなー」

「俺は別に軽くないぞ」

「ノリ悪ぃのはよくないって。ほらあの店でツマミ色々ゲットしただろ、九重にも食わせてやるからさ」


 布団のあった寝室からリビングに移動する久我。

 寝室に続いてリビングもなかなかに散らかっているが、その中にぽっかりと開いたスペースがあり、そこには床の上に色々な袋に入ったツマミがあった。


「このハニーローストピーナッツがうまいんだよマジで。おっと、ツマミがあるなら酒もいるよな」


 冷蔵庫からサワーを出し、俺の前の床の上に久我は置く。


「いいのか? もらって」

「そんなケチケチしてねえって。それに今日MP稼ぎまくれたのは九重があの空飛ぶ魔石の捕まえ方を開発したおかげだしな、それで稼げた分に比べりゃ安いもんだろ?」


 この酒盛りは久我のお礼の気持ちってとこか?

 だったらまあ……ありがたくもらっておくか。


 そうして俺は久我と一杯やったのだった。

 ハニーローストピーナッツは香ばしくて甘みがあって美味しかった。これは通販レパートリーに追加してもらって、後で俺も購入しよう。


 2時間後――。


「ふう……一杯だけのつもりが結構長くやってしまった」


 酒を飲んだのもだいぶ久しぶりだったからなあ。

 元々そんな飲む方じゃないし、MPを酒に費やすのももったいなかったし。しかし久々に飲むと案外楽しい。ナッツをはじめとしたツマミもおいしかったし。


「じゃあ、そろそろ帰るか。ごちそうさ……」


 と久我の部屋を出ようとした時にふと気づいた。

 久我のリビング、だいぶ散らかってるな……と。


 いや、散らかっていることが言いたいわけじゃない。

 そうじゃなくてこの部屋を見ていると……。


「そうだ、アレだ」


 久我の部屋を出た俺は、自分の部屋に戻るとすぐに通販端末の前に行った。そこではさっき見ていた通販画面が映し出されたままになっている。

 楽器、将棋、けん玉、スケボー……趣味のものが色々ラインナップに並んでいるコーナーだ。


 最近は生活も安定してきて、それはいいことなのだが、そうなると暇を持て余すようになってきた。

 夜中の探索は危険だから、夏から秋になり日が短くなるとその分、家で過ごす時間も長くなる。それもあって余計に退屈な時間に困っている。


 そこでなにか効率的に時間を使える遊びがないかと思っていたのだが……。


「これだな、ジグソーパズル」


 通販の画面には、多種多様なジグソーパズルが映し出されていた。

 風景や動物、建造物の写真。イラスト、中には白一色なんていうハードモードのまで。


 久我の散らかっている部屋を見たら、バラバラに散らばっているジグソーパズルが頭の中に浮かんできたのだ。

 大きいやつなら相当時間もかかるしお誂え向きだ。


 幅広い雄大な滝の写真のジグソーパズルを買ってみて早速やってみる。


 たしか……まずは角から攻めていくんだよなこういのって。

 端のピースはどこだどこだ……。


 …………………………。


「ふっ、なんか幼き頃を思い出すな」


 幼稚園か小学生か、そんなころにやってたような記憶がある。もちろんこんな1000ピースもあるやつじゃあなかったと思うが。


「こっちか……いや違うなよく見るとしぶきがちょっと違う……じゃあこっち……」


 秋の夜長は静かに更けていった。




「……やばい。夢中になりすぎた」


 気づくとすでにド深夜もいいところだった。

 ジグソーパズル、一度集中すると時間を忘れてしまう、恐ろしい。


 時間を潰せすぎるのも考えものだな、やらなきゃいけないこともあるのに。


 そう、考えなきゃいけないのはこれだけじゃない。

 というか、もっと重要なことがある。


 入手した星魔石……MMPの使い道だ。

 【敷地拡張】やら【マンション外部の監視】やらもできるわけだし、俺の一存で決めるわけにもいかないから集まってもらおう。


 俺はひっそりとした夜中に部屋から出て、エントランスの掲示板に皆で集まる日時を書いておく。


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