第12話/決戦準備-②
1.塔
レパートリーが少ない俺が思いついた魔法攻撃は、【魔法弾】だった。(序章9話参照)
「───【魔法弾】ッ!!」
【魔法弾】/魔族が持てるアビリティ、属性が乗った魔力の弾を出せる。
俺の指先から、いくつか弾が出てザタワに着弾する。避けてないようだ。馬鹿め、まともに食らうつもりのようだが、第零形態でのMP回復効果で無限に弾数を増やせるぞ!
「くはははははははははははははッッ!!」
俺の指先からガトリング砲弾発射。連射速度が速すぎて、もはやレーザービームと言っても良いだろう。何度も何度も繰り返し攻撃する。
「でかしたアーサー!【溜め詠唱】、【魔魔合一】!─── 【大魔法:爆烈焔】ッ!!」
【溜め詠唱】/詠唱速度を1.5倍し、魔法を必中化+威力を1.5倍する。
【魔魔合一】/魔法と自身の体内機関を組み合わせる。
【大魔法:爆烈焔】/【魔法:大爆裂】×【魔法:豪炎】のアビリティコネクト。任意の範囲内に爆発ダメージを与える。
それはそれは、大変な光だった。ドラフォイは自身の生存を諦めるほどの、自爆覚悟の特攻攻撃。塔の最上部は青空が見えるほど破壊され、PvPは外に投げ出された。
「ぬぅっ。めちゃくちゃやりやがって…。!?」
PvPは魔力を放射して体勢を保ちつつ、視線の先の現状に仰天した。
「まさか、無傷!?」
「無傷な訳ねーだろ。」
ザタワは吠える。パワードスーツの機能が破壊されてしまったようだ。しかし、肉体は無傷。つまりあのパワードスーツは、魔法を吸収する効果を持っていたことになる。
「…フォイドラ!アーサーッ!」
アーサー達は時空断絶バリアにより、無力化されていた。具体的には、胴を切断されている。アーサーが叫ぶ。
「っ…こいつ、高速移動能力を…!」
「転移だよ。寝てろ。」
このままでは、2人とも死んでしまう。しぶといアーサーは死なないだろうが、フォイドラには治療が必要だ。PvPは懐から手早く回復ポーションを投げつけるが、ザタワの熱線に阻止された。
「かかってこいよ。」
2人の決戦が始まる。
「───上等だ。」
「や、め…ろ。」
逃げろとアーサーは言ってくれているが、決して勝利は難しくない。勝ち目はある。PvPは魔力噴射によって、再度ザタワと対峙した。
「フォイドラから聞いた話だ。」
「?」
「ワールドボスはともかく、ストーリーボスは、その時の人員で倒せるような調整がされている。」
その調整とは、これだろう?PvPは、パワードスーツの残骸に埋もれた空間断絶バリアを指差した。
「そいつを逆利用すれば倒せるってわけだ。お前が投擲したものを掴んだりすればな。」
「もうパワードスーツはねぇ。エネルギーがねぇから、あれは動かせねぇよ。」
「だったら、もっと楽な話だ───!」
PvPは大斧を担ぎ、敵の懐へ飛び込んだ。
(馬鹿だねぇ。こいつは───。)
ザタワは空間断絶バリアを、腰のラックから取り出し起動した。
「充電式なんだよォッ!!」
「【臨戦強化】。」
PvPとて、無為に時間を過ごしていたわけではない。ザワルド、ナギト、ウェンブル───並み居る強者達と共に、彼が並び立つのには、当然理由がある。
(思考を、加速する───。)
【臨戦強化】は、敵の行動速度に合わせて動体視力を加速する。それに合わせ、思考を共に加速させるのが、トップランカーの基本だ。
敵が剣で切り掛かってきたとしよう。その剣が、偽装された爆発物であった場合は?爆発物ならば、遠くに放り捨てなければならないだろう。
故に思考を、高速化するのだ。
(チャンスは一度きり。しかし、手の震えはない。仲間を守るための行動であれば、尚更。)
精密に、高速に、解体する。始めに大斧を下段に投げる。ザタワは回避行動を起こす。その隙に近づく。
(馬鹿め。)
PvPは気づかない。始めに投げられ、壁を貫通して外に行ったバリアの存在を。バリアには自律して行動できるよう推力がついていた。そのため、フリスビーのように戻ってきたのだ。
(このまま───。)
しかし、たとえ、そうだとしても。ダトムに思考する時間は、これ以上与えられなかった。だって、どう見たって詰みだろう?双斧を取り出すPvP。
「───獲った。」
瞬殺。両手に握るバリアを腕ごと奪われ、ダトムは首を切られた。
「Pv…P!」
直後、PvPに襲来する円盤。アーサーが叫ぶ。加速されきっている。間に合わない。
このままでは、まずい。ダメだ。ここで死んでは───。脳裏に過ぎる、あのスキル。
【上級かばう】/味方1人を指定し、その味方が受けるダメージを全て引き受ける。
スキルアビリティ発動時、ダメージは50%カットされる。
(───【上級かばう】!)
アーサーは裁断された。




