チャプター16「怒りの怒号」
学校から事務所へ戻ろうとしていた大和だったが、近くでゲート災害が発生した為単独で現場へと向かっていた。
ーー富田森市:神内町ーー
(これか…)
僕の視線の先には、現実ではあり得ないであろう黒色のドームがあった。
(中から見ることはあったけれど、こうして外から見るのは初めてだな…確か、外からなら普通に中に入れるはず…)
そうして手を伸ばし淀んだドームに触れると手は中に飲み込まれる。
「ゴクリ…」
今までの2つの災害を思い出し怖気付くが喉を鳴らし覚悟を決め、ドームへと入っていく。
真っ暗な道をひたすらまっすぐに歩くと10歩程で視界が開け、目の前には半壊している町が映る。
「っ!」
(っ…酷い…急がないと!)
そうして僕は町の中を駆け回り魔物を倒しつつ、町の住人を助けていき避難場所に向かうように伝える。助けた住民達は頷きながら、息を切らして走っていく。
その後、周囲の敵を殲滅した俺は近場に逃げ遅れた人はいないか捜索をしていた。
(よし、ここら辺の住民は逃げることができたみたいだな…)
そうして安堵していると通信機から、
「大和くん大丈夫!?」
と僕を心配する理上さんの声が聞こえてくる。
「えぇ、無事です。近くの住民も全員避難させることができました。」
「わかったわ、でもまだ終わっていないから無理はしないようにね!」
「はい、わかりました。」
「うん、応援ももうすぐ駆けつけるからそれまでのし…えっ!?」
理上さんと話している最中、何かに反応して会話が中断される。
「どうかしま…」
「大和くん!すぐに逃げて!」
「え!?」
「説明は後!とにかく移動して!!」
「はっ、はい!わかりま…」
声をかけようとしたところ慌てた様子でその場を離れるよう指示され、振り返った僕は走り出すが…目の前に浮かぶ3つのネオゲートとその場に出てきていた魔物に驚き足が竦でしまう。
「うっ、嘘だろ…」
「何をしているの早く!!」
「はっ、はい!」
理上さんの声で我に返った僕は再び走り出す。
「とりあえず逃げて!展開されたネオゲートは今いる位置だけなの、その場を離れれば凌げるから!」
「っ、わかりました!とにかくやってみます!」
「助けも後5分で到着するはず、もう少し踏ん張…」
「なっ!?」
その時突如として、僕の目の前に魔物が現れ、1秒もしないうちに攻撃が飛んでくる。
「っ!!」
咄嗟に足を踏ん張り走っていた勢いを殺し、体を左にそらすことで魔物の攻撃は僕の体すれすれを通り過ぎ、なんとか避ける。
(あぶねえ!?)
「後方次来るよ!!」
重心を戻しその声を頼りに後方へと抜き出した剣を振りかぶり、攻撃してきた魔物の手を斬り防ぐが、バランスを崩して勢いよく転げてしまう。
「ぐっ…」
「大和くん!次が来る!!」
「っ!!」
体を起こしている最中だったが、理上さんの声を聞いて前に飛び込み転がりながら魔物の攻撃を避ける。
「はぁ…はぁ…」
手を地面に着いて勢いよく体を起こし、そのままの勢いでその場離れるが、いつの間にか目の前には大剣を振りかぶった魔物が立ちふさがっていた。
「っ!!」
(早すぎるっ!!)
「大和くん!!!」
声が聞こえた次の瞬間、僕は魔物の攻撃を受けて後方へと吹き飛ばされてしまう。
「ぐっ!あっ!?っ!」
その勢いのまま地面を何度もバウンドしながら転がり、仰向けに倒れる。
(くそ…なんて威力だ…剣で守ったってのに…)
「っ!!しまっ…!?」
ふらつきながらも膝をつき立ち上がろうとしたが後方へ魔物が接近してることに気づくのに遅れ、攻撃をまともに受けてしまう。
「がはっ!?」
そうして再び地面を転がった僕は建物の壁に衝突し、突っ伏してしまう。
「耐えて!!後もう少しだから!!」
「ぐぅっ…」
(倒すことはできない…逃げることもできない…どうする…どうする…このままじゃ…っ!?)
何か手立てがないか考えていた最中、頭に那由多さんが血溜まりに倒れていた時のことを思い出してしまい息が荒くなる。
(ばか…やろう…抑えろ…抑えろ!!落ち着け…こんな事している暇じゃ!!はっ!?)
激しく動く鼓動を手で抑え、言い聞かせながら顔を上げるとその先には5体の魔物が集まっていた。
それを見て、再び僕の鼓動を激しく動き始め、その鼓動しか聞こえなくなる。
「南方向に1キロメートル!!」
激しく動く鼓動の中、その一言が聞こえてくる。その10秒後、辺りの気温が下がったように感じたその瞬間1体の魔物が消滅する。
「…どうやら間に合ったようだな。」
魔物が消滅した後、そこには赤坂さんが立っていた。
「赤坂…さん…」
しかし、そこで僕の意識は途切れてしまう。
「ムグッ!?」
突如僕の口に何が突っ込まれ、僕は意識を取り戻す。
「はぁ…!はぁ…!はぁ!あ、あれ?」
理由もわからず体を起こし辺りを見渡すとそこには赤坂さんと、口に突っ込まれていたであろうポーションがあった。
「…。」
「赤坂さん…ありがとうございます。」
「っ!!」
お礼を口にした瞬間、赤坂さんは襟元を掴み僕を引き寄せ持ち上げる。
「いい加減にしやがれ!!」
「!?」
突如の出来事に驚き戸惑ってしまう。
「言ったはずだ!あの特訓が終わるまで災害に手を出すなと!!」
その言葉で何にキレているのか理解をする。
「すっすいません…でもあの時、僕以外近場にいなかったじゃないですか。」
「あぁ、確かにそうだな。」
「なら危なくてもやらな…」
「それが駄目だって言っているんだ!」
「っ!?」
「お前みたいな奴を見てきたと言っただろ!そういう奴は皆そう言うんだよ!」
赤坂さんは拳を震わせながら更に続ける。
「自己犠牲なんてのはな、物語では綺麗に終わるだろうがここは現実だ、その先に何が起こるかわからない!もしかしたら、行動を起こしたことでより犠牲が増えるかもしれないんだ!ごっこ遊びじゃねえって言っただろ!!生半可な力と正義感だけじゃ駄目なんだよ!!」
「っ!」
そうして、僕は突き放され地面に尻もちをつく。
「次同じことをしてみろ、その時は俺がお前を戦えない体にする。わかったな。」
「…。」
怒りがこもったその瞳に僕は何も言うことができなかった。
ここまで見ていただきありがとうございます。
よければ次回も見ていってください!




