チャプター3「消えた存在」
2012年8月17日河内短野市での災害があった次の日、裕也と多田はある家を訪ねていた。
ーー富田森市:住宅街ーー
「は?」
裕也は動揺してそんな言葉を漏らす。
「だから、丸尾さんって方の家も、明人って子も知らないわ。」
と目の前に立つ女性はそう話す。
「え?でも、ここって丸尾の家のはず…」
裕也たちは普段遊んでいた丸尾の家に訪ねていたのだが、たどり着いた
「何を言っているの?私はこの家にもう数十年住んでいるわよ?」
(そんな筈は…だってここは先週まで…)
確かにここは先週まで丸尾明人が家族と一緒に住んでいた。それは先週遊びに来ていた裕也と多田は覚えている。しかし、現在この家は表札、そして住人も先週までとは別のものへと変わっている。
「もういい?私も仕事があるんだけど…」
よくわからないことを話す裕也たちに不審な目をしながら女性はそう話す。
「はっ、はい…お時間いただきありがとうございました。」
不審がられていることに気づいた多田がすぐにお礼を言って動揺している僕の肩を叩く。
「行くぞ」
「っ、わかった…」
ーー数分後ーー
「一体どういうことなんだ…」
あの後、近くの公園まで移動し、多田とさっきの出来事について話をしていた。
「わからない…でも、何故連絡がつかないのか理由がわかったな。」
そう言って、携帯のメールを見る。
「あぁ…最悪の状況までは想像してたんだけど、こんなことになるとは…」
昨日の災害の前、迷子になった時に送られていたメールを最後に丸尾との連絡が途切れていた為、心配になり、2人で丸尾の家へと訪ねていたのだが、結果はさっきの通りだった。
「もしかしたらあの人が自衛のために、ずっと住んでるって嘘を言った可能性もあるよな…」
裕也は先程、話をした女性を思い浮かべる。
(一番可能性としてはこれがありえそうだけど…)
「…だけどそれなら、丸尾が昨日引っ越ししたことになっていろいろとおかしくないか?」
「っ…」
多田から指摘されて言葉に詰まる。
(確かに、悲しくなるから何にも言わずに引っ越しをするのはわかるけど、引っ越しするにしてもあのタイミングなのはおかしい…)
(でも、さっき女性が話したことが真実としたら、引っ越ししていないとしたら…)
「丸尾明人…いや丸尾一家全員の存在がなくなったとしか…」
そうやって考えていると、多田は立ち上がって話し始める。
「…わからないことだらけだけど、とりあえず出来ることをやろう。考えるのはその後でもできるさ。」
「…そうだよな、じゃあ僕先生に電話してみるよ。」
そう言って立ち上がり携帯を取り出す。
「じゃあ、俺は知り合いに連絡を取ってみるか。」
そう言って多田も携帯を取り出す。
トゥルルル、トゥルルルル、トゥルルルル
カチャ
「あっ、先生こんにちは大和です、休みの日にすいません。」
「おう、大丈夫大丈夫、それよりどうしたんだ?」
「はいそれがですね、丸尾の家に来たんですけど、家の表札とか住んでいる人が違ったんですよ。」
「ん?それで?」
「はい、それで丸尾が引っ越すみたいな話を聞いたりしてないかと思いまして…」
話を聞いて先生は数秒間沈黙する。
そして先生は話を再開する。
「すまない、何故それを俺に聞くんだ?」
「え?」
先生の反応へ咄嗟にそう話してしまう。
「いや、同じ学校の学生ならともかく、それ以外の知り合いの話になると俺に聞いてもわかるわけ無いだろ…」
「え?なっ…何を言ってるんですか…丸尾同じクラスじゃないですか。」
「は?いやいや、そっちこそ何言ってるんだ?そんな名前の生徒クラスにはいないし聞いたこともないぞ?」
「冗談…ですよね…?」
「いや、冗談なわけないだろ…教え子の質問だぞ?」
(…やっぱりそうなのか?)
先生の話を聞いて、丸尾が消えてしまったのではないかという説を再び思い浮かべる。
「そうですか…わかりましたありがとうございます…」
「おっ、おう。役に立ててはないと思うが…まぁ、しんどかったらすぐに言えよ?」
「はっ、はい…」
(きっと不審がられただろうな…)
そんなことを思いながら、裕也は先生との通話を切る。
「…」
「おい裕也、そっちはどうだった?」
考えていると電話を終えた多田の声が聞こえてくる。
「駄目だ、先生全く覚えてなかったよ。」
「そっか、こっちも聡と夏に聞いたけど駄目だった。」
その言葉を聞いて2人の考えは一致する。
「ってことは…」
「あぁ…現実味はないけど…」
「丸尾が消えた…いや、丸尾に関する全て…存在が消えた…ってことなのか…?」
そして2人は無言になる。
「…やっぱりゲート災害と何か関係があるのかな?」
「わからない…だけど、こんな話ゲート災害みたいなものじゃなきゃあり得ない…と思う…」
「だよな…」
その後、夜桜さんにこの出来事を話すことを決め、数日後の事務所訪問を待つのであった…
消えた丸尾の存在…一体何がこの世界で起こっているのであろうか…
ここまで見ていただきありがとうございました。次回も良ければ見ていってください!




