チャプター17「有明とアリア」
少年の夢を見て、夢から覚めた裕也は多くの疑問を浮かべながらも中心地へと更に向かう。
ーー河内短野市:メインストリート最高峰のビル 屋上ーー
ギギャァアアと言う絶叫と共にモンスターが消滅する。
そうして、屋上には黒衣をまとったユウトとアリアと呼ばれた少女だけが残っていた。
「さすが、お見事です」
拍手をしながらアリアはユウトのことを称賛する。
「こんなモンスターたちでは俺たちは止められないぞ」
そう言ってアリアを睨みつけるユウト。
「まぁ、そうでしょうね。貴方達を倒すのが目的ではないですし」
そう言ってアリアはジュエルを持ち覗き込み、その後きびすを返す。
「おい!どこに行く!!」
「帰るんですよ目的は果たしたので」
そう言って手を振りユウトから距離が離れていく。
「待てっ!」
そんなアリアを追いかけるため走り出すユウトだったが、目の前に紫色のゲートが複数現れ道を防がれる。
「くっ…ネオゲートか…」
足を止めたユウトはネオゲートの先、アリアがビルから降りていくのを確認し腕についている腕時計らしきものに手を添え話し始める。
「こちらユウト、この事件の元凶アリアがメインストリート東地区方向に逃走した!近くにいる人たちは至急捜索に入ってくれ!俺もネオゲート処理をした後捜索に向かう!」
話し終わった後ユウトは添えていた手を降ろし、モンスターたちに剣を構える。
ー河内短野市:メインストリート東地区ー
その後、裕也は多くのモンスターと遭遇、撃破をしながら時間を少しかけ中心街に向かっていた。
そして新たなゲートを見つけていた。
グルルル…
(オオカミ?いや、ファンタジー的にはウルフか…)
ゲートの前には大型犬ぐらいのウルフが待ち構えている。
(初めての相手だ…おそらく速い…それに他にも何かあるかも…)
そんなことを考えているとウルフの近くに何か液体のようなものが浮き上がってくる。
(なっなんだあれ…)
そしてその液体の様なものはウルフの形を形成していく。
「うっそだろ…」
そして形成されたウルフは裕也へと走り出す。
ウルフ攻撃を後ろに避けると3匹のウルフが追撃をしてくる。
「っ!!」
(くそ!やっぱ早いし、連携が取れている…)
剣での受け流し、蹴りで2匹の攻撃を防ぐが後方から来たウルフの攻撃は避けきれず肩を少し爪で斬られる。
「っ!?」
そうして距離を離す裕也。
(とにかく何処かに隠れないと…この開けた場所では不利だ…)
そう考えた後裕也は後退し、裏路地へと入り込む。
ーー河内短野市:メインストリート東地区裏路地ーー
裕也は裏路地に入り建物の影に隠れながら応戦を続けていた。
「っ!?」
前に飛び出し影から飛び出るウルフの攻撃を受け流し攻撃する。
攻撃を受けた瞬間ウルフは液体のようなものとなり、裕也から離れると復活する。
(くそっ!本当にやっかいだなこいつら!)
ウルフたちがいる反対側へと裕也は走るが行き止まりにつく。
「っ!!」
裕也は建物の壁を蹴り、壁の向こう側へと飛び越え行く。
「はぁはぁ、どうにかあいつらの弱点を見つけないと…」
そんなことを考えながら立ち止まっていると液体のようなものが壁をよじ登って来ていた。
そしてその後、1匹のウルフが飛び越えて来て、8匹のウルフの群れがもう一度生成される。
(ん?おかしいな…そういやなんであいつだけは飛び越えて…そうかあいつだけは本物なのか…)
裕也はそう確信し、偽物の相手をしながら
本体へと突っ込もうとするが攻撃が多く、近づくことが出来ずにいた。
「くそ!やっぱり近づけない…っ!」
一旦攻撃を諦め更に後退し裏路地を駆け、チャンスを伺う。
そんな途中で急にライトに照らされ視界が遮られ足元にあったなにかに引っ掛かってしまう。
(っ!しまった!)
そして立ち上がろうとするが足にロープが引っかかり足が上手くぬけない。
(まずい!急がないと………抜けた!)
そうして慌ててウルフの動向を確認した裕也は、異変を感じる。
(ん?こっちにこない?)
(そういや今何で襲ってこなかった…絶好のチャンスだってのに…)
そうして下に映る影が目に入る。
(…まさかこいつら光に弱い?………一度試すか…)
そうして裕也は剣をウルフたちに向ける。
(剣で切れば液体…いやおそらく影に戻っちまう掴んで光の中に…ここは裏路地の中ではまだ開けているゆっくりと落ち着いて倒す!)
そうしてウルフたちに向けて飛び込む裕也。
ライトの外に出た瞬間ウルフたちも動き出し攻撃を仕掛けてくる。
(やっぱり光に弱い!)
裕也は建物の壁を伝い1匹を影にする。
後ろから飛び込んでくる2匹をしゃがみ回し蹴りで攻撃、片方は避ける。
グルル…
「更に警戒を強めているみたいだな…」
蹴り飛ばされたウルフ以外は一度本体であろうウルフの近くに集まる。
その隙を狙い裕也は孤立したウルフを掴み、スポットライトの光の中へと投げ込む。
そうすると影は溶け始め消滅する。
(よし…まずは1匹…)
そして対面する裕也と4匹のウルフ…
「っ!?」
裕也は3匹のウルフが居ないのに気づいたが遅く、真後ろにウルフが飛び込んでいた。
「しまった!!」
剣で2匹のウルフを抑えるが1匹の攻撃を防げず剣を落としてしまう。
「ぐっ!!」
そんな中でも回転蹴りで攻撃をしながら後退。
(…しまった、あんなこともできるのか…)
影になって後ろへと出現したウルフを思いだし警戒をしながら振り返る。そして警棒を抜き出し更に追撃してくるウルフの攻撃を避ける。
(連携がきついな…でも、消滅したやつは復活できないみたいだな…)
「はぁはぁはぁぁ…」
と裕也は息を整えた後、近くのゴミ箱をウルフに蹴り飛ばし、同時に裕也もウルフ達へと飛び込む。
ゴミ箱を避けるウルフたちが着地する前に1匹のウルフに滑り込み蹴り飛ばし、手を床につけその場で回転しながら体勢を戻し足を床につける。更に飛び込んでくるウルフを避け、続く攻撃を受け流し上空へ蹴り飛ばす。
「っ!!」
近場にあった剣を拾い上げ、間髪入れずに裕也は空中に上がったウルフへと近づくが急に風が巻き起こり吹き飛ばされる。
「しまっ!?魔法か!?」
そして、裏路地から大通りに吹き飛ばされる。
ーー河内短野市:メインストリート東地区ーー
「ぐっ…」
大通りへと吹き飛ばされた裕也はどうにか壁に足から着地し、反動を抑える。
そして、壁から飛び降り大通りへと足をつける。
「はぁはぁはぁ…ぐっ…」
(光はあるか?)
と周りを確認するが、街頭はあるものの、光はついていなく使うことは出来ない。
(きついなこれは…)
光を探そうと動き出した裕也だったが、ここに飛ばされ30秒も立たないうちにもう、目の前には影が集まってきていた。
(くそ…はやすぎるだろ…ここで相手をしても僕には勝ち目はない…とにかく光を探すしかないか…)
そうして裕也は影の反対へと走っていく。
そんな中、道の端に人影が見え始める。
(っ!?逃げ遅れた人がいるのか!?)
そうして近づくと更に裕也は驚く。
(なっ!?なんでこんなところに…いるんだ月上!!)
そうして裕也は周りを伺いながら歩く知り合いの腕を咄嗟に掴む。
「おい!月上こっちだ!走れ!」
「えっ!?何!?離して!!」
と慌てた様子で月上は驚き暴れる。
「落ち着け!とにかくここは危ないんだ!少し向こうに行こう!」
そう言って走ろうとしたところで周りを影に囲まれる。
(しまった…)
「ごめん…巻き込んでしまったな…」
「…」
月上へ謝罪をするが、返答はなく、下を向いたままじっとしていた。
その間にもウルフたちは徐々に近づき、裕也たちの行動範囲は少なってきていた。
(…どうすればいいんだ…ってそうだ!)
「月上!何か光るものもってないか!?」
「持ってないです」
(まぁ、持ってないよなぁ…)
そしてウルフが近づき、裕也たちの行動範囲は更に狭まっていく…と思われた時、裕也たちの後ろ側から道が明るくなり始める。
(!?)
そうして道にある街灯が付き始める。
ふと裕也は周りを確認し、7時を越えている時計を見つける。
(そうか…もうそんな時間なのか…)
辺はもともと覆われた闇によって多少暗くはなっていたが、夕方になり徐々に周りも暗くなってきていた。
時計を確認した後、ウルフ達がいた方向に視線を戻すとそこには、光を避けるため、後退し始めるウルフ達の姿があった。そんな中、本体であろうウルフは一瞬振り返りこちらを見て、去っていく。
先ほどまでの状況から去っていくウルフ達を見て困惑で固まっていた裕也だったが、数秒たったのち、
「助かっ…たのか…」
と裕也はほっと胸を下ろす。
「もういいですか?」
「ん?」
そう言って裕也は月上と繋いだ手を見る。
・・・
「あっ!すまん!」
そう言って裕也は繋いだ手を離す。
「まっ…まぁ…とりあえずここから離れよう、まだまだモンスターに襲われるかもしれないし…」
「…」
「?つきが…」
その瞬間脳裏に“その子の後ろに回って上を向け!!そして剣で受け止めろ!!“
と言葉が浮かび上がり裕也は咄嗟に体を動かす。
「っ!?」
次の瞬間、裕也は少女と鍔迫り合いになっていた。
「ぐっ!!」
(一体誰なんだこいつ!?)
そうして少女は裕也を蹴り後ろへと下がる。
「お前誰だ!!何故この子を狙う!!」
(今狙われていたのは確実に有明だ…一体何が…)
「あんたこそ誰よ、仲間?もし違うならどきなさい、さもなければあんたも斬るわよ。」
目の前少女はそう言った後、剣を構える。
「は?一体何を言ってるんだ…お前…?というかこの子が狙われているのに退くわけないだろ!」
「あっそ、ならあんたごと斬るまで!!」
少女はそう言い、裕也目掛けて攻撃を仕掛ける。
「っ!話し合いは駄目か!」
そう言った後裕也も剣を構え攻めてくる少女に対抗する。
2.3度剣を弾きあいもう一度鍔迫り合いになる二人。
「もう一度聞く!何であの子を狙う!」
「は?そんなのあんた達が一番知っているでしょ!」
「そんなこと知らねぇって!!!」
そう言って裕也と少女は剣を弾きあい互いに後ろへとさがる。
「はぁはぁ、さすがこんな事件を起こすだけのことあるわね…」
「だから何を言ってるんだ…というか何なんだその事件って…」
「あんたこそ何を言ってるの?ゲート現象のことに決まっているでしょ…」
「それこそ訳わかんねぇよそれとこれと何が関係あるんだよ…」
裕也がそう言った後、少女は驚いたような様子を見せた後話し始める。
「あなた…もしかして本当に何も知らないで私と戦っていたの?」
「あぁ、そうだって何度も言ってるじゃないか!」
その言葉を聞いた少女は頭を抱え、下をむく。
(一体何なんだこの状況…)
「はぁ、あのね、一度だけ言ってあげるその…」
頭を抱えていた少女は裕也へ何かを伝えようとこちらを向き話し始めるが途中で言葉が途切れる。
ふと視界が赤くなったと思った瞬間、
「危ない!!」
と聞こえた時には、少女に突き飛ばされ一緒に倒れていた。
その次の瞬間元々裕也がいた場所には何かの光が走り次の瞬間猛烈な爆音が響き、裕也たちは熱波に襲われる。
「っ!?」
(一体何が!?)
そして熱波と爆音は収まり、少女は裕也から離れ、月上がいる方向へこう言葉を発する。
「とうとう正体を現したわね、アリア…」
恐る恐る裕也は少女が見ている先へ視線を移動させるとそこには大きなモンスターとその肩に乗った月上がいた。
「残念、チャンスだと思ったんだけどね。」
そう言って不適な笑みを浮かべる月上。
「嘘だろ…なんで…お前が…」
「これでわかったでしょ何故彼女を狙ったのか…」
「…」
「なぁ本当にお前がこんな現象を起こしていたのか?」
「えぇ、そうです。全て私が…計画のためにやったことです。」
「そうか…わかった…」
裕也がそう話した次の瞬間、少女が月上に突っ込むが、モンスターが左腕で防ぐ。
「っ!!」
少女の攻撃を防いだモンスターはそのまま左腕を振り下ろし、少女を吹き飛ばす。
(あぶない!!)
裕也は、咄嗟に走り出し、少女を受け止める。
しかし、勢いを殺しきれず2人はビルの壁に衝突する。
「っ…」
「ちょっと!?大丈夫!?」
受け止められた少女は動揺しながら安否を確認する。
「えぇ…こんなのどってことないですよ…」
「どってことないって…壁にめり込むぐらいなのよ!?」
「こんなの体験済みですよその時は木の壁だったけどね…」
「あ…あんた…この世界の人なの?」
「え?あっあぁ日本が出身だけど?てか見た目でわかるんじゃないか?」
「あー、うんん、なんにもないわ」
(この反応やっぱりこの世界の人間なのね…)
一通り裕也の行動を見て、月上は目を瞑る。
「…ちょっと予定が狂ったけれどまぁ、問題はない…わね…」
月上は巨大なモンスターの肩から降り、この場から去り始める。
「っ!!おい!待て月上!まだお前に聞きたいことが!」
裕也はそう言って、少し前に足を踏み込むが、目の前のモンスターが裕也の前に立ちふさがる。
「っ!!」
(こいつを倒さなければ月上には届かないか…)
「それでは、また何処か…で、会いましょ…今度は敵として…」
そう言って月上はその場から消えるのであった。
この現象を起こした張本人は月上有明だった…
裕也はそんな事実に動揺しながらも目の前に立ちはだかるモンスターへと対峙する。
ここまで見ていただきありがとうございます!
良ければ次回も見ていってください!




