チャプター15「変化」
オークと戦っている最中、ビルの倒壊により、多田と分断された裕也はメインストリートを目指し走っていた。
(もうすぐメインストリートだ…もっと急…)
「っ!?」
目の前の光景に驚き、物陰に隠れた裕也はドクドクと動悸が早くなり体も震え始めていた。
(はぁはぁ…落ち着け…落ち着くんだ…)
そうしてもう一度確認の為に壁を伝えながら左へと視線を動かし先の道を見る…
そこには見覚えのある…いや、裕也に衝撃をもたらした紫色のゲートが浮き上がっていた。
「ぐっ!?はぁはぁはぁ…」
その瞬間、裕也の脳裏には血まみれの那由多さん、襲ってきたキメラを思い出す。
少し抑えた鼓動は先程よりも早くなり、思考は真っ白へとなっていく。
足に力が入らず裕也はビルの壁にもたれそのままズルズルと崩れ落ちる。
(落ち…着…け…今は…こんな…ことをしている…暇は…ないだろ…)
(僕も…那由多さん…も無事…だった…大丈夫だ…)
と自身へと呼びかけ少しずつ鼓動を収める。
「はぁはぁ…はぁはぁ…くっ!?」
(とにかく別の道だ…早く移動しよう…出てくる前に…)
汗をかきながらも立ち上がり、紫色のゲートを避けるため、別の道へと向かい始める裕也。
(鼓動がうるせぇ、早く静まってくれ…)
…
…
「はぁ…はぁ…」
…ギ
…ギャ…
ギギャァ!!
「っ!?しまっ!」
トラウマを思い出し万全ではなかった裕也は攻撃を仕掛けられるまで近くにいたゴブリンに気づかず不意をつかれてしまう。
「くっ!!」
ゴブリンの攻撃をバックステップで避ける裕也に合わせて更に攻撃を仕掛ける。
「グギャギャ」
と笑いながら攻撃をするゴブリン。
「なっ!めん…なぁ!!」
何度も攻撃をしてきたゴブリンの動きを見て裕也はタイミングを合わせ地面に攻撃が向かうよう受け流す。
今まで防戦一方だった裕也が突如動き受け流しを行ったため、ゴブリンは対処出来ずそのまま地面に倒れ込む。
その一瞬を狙い裕也は核を踏み潰す。
「はぁはぁ…どうにかうまくいったな…」
(こんなことじゃ駄目だな…早く落ち着いてメインストリートに向か…)
襲われたことで思考が上手く回るようになってきていた裕也はふと今自分がいる場所が何処なのか気がつき冷や汗をかく。
ふと紫色のゲートを確認していた左側を確認すると、目の前の道には何もなかった。そうして、ドクドクドクドクとより鼓動が高鳴りながらも確認した方向の反対側へと視点を動かすとそこには5つのゲートがあった。
そう、裕也はゴブリンの攻撃を避けるためバックステップで後ろに後退しながら戦った為、気づかないうちにゲートのある道路へと飛び出してしまっていた。
そしてそのゲートからモンスターが5体…キメラや1つ目の巨人、角が生えたモンスターなどが現れていた。
その光景をみて、もう一度那由多さんの光景などを思い出しその場に膝から崩れ落ちてしまう。
意識は茫然とし、ドクドクドクドクドクドクドクドクと早い鼓動しか聞こえない。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
手足は震え、尋常じゃない量の汗も出て裕也はうずくまり動けなくなってしまう。
そしてモンスターはそんな裕也にお構いなく近づき…1つ目のモンスターが裕也を潰す為、武器を上に上げ始める。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
怯えながらも近づくモンスターの方向へと顔ををあげる裕也の視界にはニヤリと笑みを浮かべながら武器を振り下ろそうとしている一つ目のモンスターの姿があった。
モンスターは裕也目掛けて武器を振り下ろす、裕也は死を覚悟し、視界をそらす。
モンスターの攻撃の衝撃で砂煙が巻き上がり周りが何も見えなくなる。
……
だが、次の瞬間裕也は目を開いていた。
(なっ何が…)
思考が混乱しながらも、裕也は目の前に立ち上る砂煙をみて、瞬時に移動したことを理解する。
「おい、大丈夫か?」
「はぁ…はぁ…」
状況の理解はでき、近くから声も聞こえるが、体は自由に動かず地面へと横向きで倒れて動けずにいた。
「っち、これは遊びじゃないんだ、怯えるて動けなくなるぐらいなら、最初から動くんじゃねぇよ…」
そういった後、助けてくれた人物は裕也の目の前に剣を投げる。
ぼやっとした視界で裕也は助けてくれた人物の顔をみる。
(なんで…あなたが…ここに…)
そこにいたのは夜桜事務所でたまたま出会った、高校生らしき青年であった。
「今は助けたが正直コイツら5体を相手にお前を守ることは出来ねぇ、自分の身は自分で守るんだな!」
そう言った青年はモンスター5体が並ぶ道の真ん中に立ち、剣を引き抜く。
(早く…おきあがらないと…ぐっ…)
一人で立ち向かおうとしている青年を見て、裕也も参戦しようと焦るが、体は更に動かなくなっていた。
(くそ…一人に任せるわけに…わ…)
そうしてぼやっと見えていた視界は更にぼやけ、黒み掛かっていく…
(だめ…だ…もう…)
右目が熱くなる感覚とともにそのまま裕也は意識を失ってしまう。
「次は俺だかかってこい」
そう言って武器を構える青年へと、一つ目のモンスターが声を上げ、飛びかかり、棍棒を振り下ろすが、青年は簡単に攻撃をそらせる。
「…」
その後、青年は首元へと恐ろしいスピードで移動し、攻撃を仕掛けようとするが、キメラが先読みし青年へと攻撃を仕掛けてくる。
「ちっ!」
と舌打ちをしながら、青年は一つ目のモンスターの肩を足場にして、キメラの攻撃を避けながら薄いがキメラへと攻撃を当てる。
「まだまだ!」
そのままビルの壁に着地した青年は角があるモンスターへと飛び込み、攻撃をしかけるが、
「っ!!」
攻撃を武器で防がれ弾かれたところで拳の一撃をもらい、ダメージを受けた青年はそのまま地面へと飛ばされる。
「ユウトに聞いていたがここまでか…一人ならなんとなくはなると思うがこの数はきついな…」
青年はそう言い、構えを戻す。
(やはりこれを使う必要があり…)
そう考えていると後方から剣を持った裕也が歩いてくる。
「…」
「おい!お前下…が…」
青年は裕也に何を感じたのか静かに見守る。
「…」
そして一つ目のモンスターの前に止まる裕也。
モンスターたちも一瞬裕也に何か感じたのか怯んでいたが、一つ目のモンスターが裕也に向けて棍棒を振り下ろす。
ガンと地面に棍棒が叩きつけられる音が響く。
裕也を倒したと感じ、笑い出す一つ目のモンスターだったが、
「何がおかしい?」
と裕也の言葉と共に棍棒が押し戻されていく。
「こんなものか」
と言った後、裕也は棍棒を引き、一つ目のモンスターをほぼうつ伏せ状態へとして腹に拳の一撃を食らわせる。
その後、一つ目のモンスターは一度も動かず徐々に消滅し始める。
「なっ!?」
裕也のあまりにもの変化に驚く青年を差し置き、残りのモンスターの近くへと歩き出す裕也。
そして、次の瞬間裕也はその場から消え、4体のモンスターたちは同時にダメージを受け倒れ、そのまま消滅し始める。
「一体…あいつは何者なんだ…」
呆気に取られながら一人その場には青年が残っていた。
もう一度発動した裕也の謎の力…これは一体なんなのか…
そして夜桜事務所にいた青年の正体とは如何に…
次回も良ければ見てください!それでは!




